
こんにちはred_oneです。ホンダ初の水冷直4リッターバイクのCBR1000F(SC21)を試行錯誤しながら綺麗にしていく様子を報告しています。
第4回目の今回はDIYではちょっと厳しいかもしれない状態のフロントフォークの補修、O/H(オーバーホール)の様子を報告します。
自分は過去にフロントフォークのO/Hは2回ほど行ったことがあるのですが、インナー、アウターチューブともに錆びている長期保管車両は初めて。ストローク部分(煽動部)の錆びは比較的少なく見えたので、今回は再メッキはあえてしない方向で再生してみます。
完成後試乗して錆の影響でフォークオイルが漏れるかどうか?を確認する意味も含めての作業ですので、ご理解いただけますと幸いです。
目次
不安いっぱいのスタート

入手直後のフロントフォーク周辺
引き回し時の印象ですと普通に機能している感じでしたが、カウルの中のフロントフォークを最初に見たときは、絶望的な景色……。
かなり大きな錆があちらこちらに広がっていて……これは再メッキするしかないのでは?
という印象だったのですが、周辺の部品を外して、高圧洗浄機をかけてみたところ、煽動部にはそれほど大きな錆はなくもしかしたら何とかなるのでは?という気になってきました。

高圧洗浄後のフロントフォーク周辺
フォークを取り外し、エンドボルトをインパクトレンチで緩めた後、分解。オイルシールを抜いてみたところ、中のオイルはいたって普通。悪臭を放つこともなく機能的には問題がなさそうです。
このモデル(初代CBR1000F)にはアンチノーズダイブなる独自の機構が搭載されているため、その周辺の部品も分解。アウターチューブはブレーキフルードの付着は避けられないので、ブレーキキャリパー同様ガンコート塗装をしたいと思います。
ガンコートの詳しい作業は以前の記事でご紹介いたしましたので今回は割愛しますが、とにかく塗膜が薄いため下地が凸凹しているとそのままの段差が付いてしまいます。
今回はアウターチューブの塗装を剥ぐと同時に下地を整えるためにサンドブラスト。インナーチューブには金属への攻撃性がほぼ無いソーダブラストを行うことにしました。

分解後のフロントフォーク
サンド&ウェットブラスト~ガンコート塗装
アウターチューブの塗装はところどころ剥げてはいるもののやはり強固なのでサンドブラストの力で研いでいきます。一応フォークの中にメディアが入るのを避けるためにマスキングをして、アンチノーズダイブの基部にあるニードルベアリングも新品が入手できたので抜きました。
購入した後に調べたら、廃盤になっていたので……もしかしたら国内最後の1個?だったのかもしれません。(アンチノーズダイブの機構がレアなため他車種との互換性が低い部品は注意が必要です……)
この時代のバイクはばらす前に部品の入手が可能か先に確認することが大切みたいです。

交換のために入手した純正部品
クリアケースを活用したキャビネット内でのサンドブラストは無事に成功。パーツクリーナーなども使って徹底的に洗った後、艶消し黒のガンコート塗装を行って簡易オーブンで焼き付けました。
できたと思って取り出してみたところ……油脂のついた手で触ると目立つことが発覚……。再度、艶ありのサテンブラックを塗りました。
地味な経験値上げの日々は続きます……。

1回目の塗装前後
一番の懸案であったインナーチューブの方はソーダブラストをしてみたところ面で錆びているのではなく、数多くの点錆の上に錆が形成されていたことがわかり、メッキがはがれているという感じでは無かったため再メッキに出さずに再利用することにしました。
とはいえ煽動部分にも点錆は存在していますので完成してからも慎重に確認したいと思います。
トップボルトやフォーク内の細かい部品もソーダブラストしたのちに磨いて組み上げに備えます。

錆が激しかった箇所
点錆の再発防止
煽動部分より上の部分の多くの点錆をどうやったら目立たなくできるのか?錆の再発生を防げるのか?いろいろ考えてみたのですが、今回は試しに亜鉛メッキ塗料を塗ったのちに金属用研磨剤で磨いてみることにしました。
研磨の煽動部に傷をつけないようにマスキングをして作業をしました。
亜鉛メッキ塗料とクロームメッキは似て非なるもので、亜鉛メッキ塗料は錆を防ぐ効果は強いですが、放置するとマットグレーになります。
錆び転換剤で黒錆化するよりはマシか?と思って試してみましたが研磨すると黒に近い印象……。組み上げてからプラモ用のメッキ風塗料を試してみようか…と思っております。

補修完了後の煽動部
アンチノーズダイブ機構のメンテナンス
レアなアンチノーズダイブ機構は正常な状態を維持したいのでOリングやピストンブーツなどゴムパーツは新品部品に置き換えています。今後入手が難しいかもしれないニードルベアリングはボルトとワッシャーで圧入しています。
また、プラスネジで締められていた部分はヘキサボルトに置き換えて、指定トルクで正確に締められるようにしました。

綺麗になったアンチノーズダイブ機構部
フォークの組み上げ
ばらしたフォークを元通りにしていきますが、フォークの煽動部にあるガイドブッシュなる部品の内側が削れていたので一応交換しています。錆による影響があるのかどうかは次回のO/Hの時にわかるはずです。

交換したガイドブッシュ
今回フォークを分解するときシートパイプの供回りが無かったので助かったのですが、フォークエンドのポルトにネジ止め剤を塗りすぎるとインパクトレンチを使ってもネジが緩まず、特殊工具を作る羽目になる場合もありますので(YZF-R15でハマリました)定期的に確認ができる方はネジ止め剤は軽めの塗布にしておくのが良いかと思います。
アウターチューブを万力に挟んで垂直に立てた状態にして元通りに組み上げていきますがオイルシールを組みこむ際、傷防止のためラップをインナーフォークのトップにかぶせ、オイルを塗ってから滑り込ませています。
途中錆びいてる箇所をくぐらせましたので効果は??ではありますが…。

フロントフォーク組み上げ中
また今回は純正のオイルシールを使用しましたが、安価な社外品よりも圧入に力を必要とする印象があり、違いを実感。
オイル漏れを起こさないという意味では純正部品が出るうちはそれを使用したほうが良い……という先人の方々の言葉を再認識しました。
シールを打ち込む際、フォークの太さにあった塩ビパイプを活用する事例もあるようですが、一応工具を持っていたのでそちらを使用しています。

オイルシールプッシャー(フォークシールプッシャー)
オイルはホンダ車ではありますが自己責任でYAMALUBEのG-10を使用。メーカーによって違う?といった記述もWEBでは目にしますので、気になる方はメーカー指定のオイルを使用してください。
エアを抜きながら、マニュアルの指定通りの高さまでオイルを入れて新品のOリングを使ったトップボルトを締めればとりあえずFフォークのオーバーホール作業は完了です。

オイルレベルアジャスター(油面調整器、フォークオイルレベルゲージ)
作業まとめ
フロントフォークのアウターはそのバイクの歴史を感じさせる大切なものなので、年式相応、当時モノを重視するオーナーさんは中身だけをO/Hされる方も多いと思います。
自分は今回DIYでどこまで綺麗にできるかをテーマに作業をしておりますので、サンド&ソーダブラストによる錆取り、洗浄、ガンコートによる塗装をプラスアルファで行い、交換推奨部品を交換しました。
インナーチューブの状態は完璧ではないため、しばらく様子を見ていくことにしています。この辺りはDIYならではの判断だと思います……。気になる方はインナーチューブの交換、もしくは再メッキ加工を依頼するのが良いかと思います。
正立フォークの場合作業自体は単純で、交換部品が入手できれば難易度はそれほど高くないと思いますのでDIY整備の第一歩としてチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

O/Hが完了したフロントフォーク
まだまだ前途多難のCBRのDIYレストア作業……、次回はリアのリンクとサスペンションのリフレッシュをご紹介する予定……です。
使用した工具、備品
高圧洗浄機
ソーダブラスト工具一式
ガンコート環境一式
電動インパクトレンチ
亜鉛メッキ塗料
金属用研磨剤
Fフォークオイルシールプッシャー(フォークシールプッシャー)
Fフォークオイルレベルアジャスター(油面調整器、フォークオイルレベルゲージ)
万力
購入した部品
SC21 純正部品
Fフロントフォークシールセット、Oリング
Fフォークガイドブッシュ
アンチノーズダイブ関係ゴムパーツ
キャリパー取付基部ニードルベアリング
汎用銅ワッシャー
フロントフォークオイル(YAMALUBE G-10)
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はじめましてREDさん
富山県住みのBFと言います
小生も同じバイクを譲り受けて乗っていまが、sc21は部品がないのと情報が少ないので苦労しますね
REDさんに教えていただきたい事があります
フロントフォークのオイル量とレベルを教えてください
オーバーホールしましたが、オイル量がどうしてもわかりません
よろしくお願いします