
長年にわたって放置した結果、気づけばガソリンタンクがサビだらけだった……というのは、古いバイクによくあることです。タンクのサビ取りケミカルにはいくつもの種類がありますが、能力を最大限に発揮させる準備があるのを知っていますか? それが台所用洗剤による事前洗浄です。この作業でケミカルの効き方が断然アップするんです!
ガソリンの変化もタンク内のサビの原因のひとつ?

室内保管であっても、温度変化が大きいコンテナ内で長期間放置すれば、タンク内にサビが発生する場合がある。サビが混じった変質したガソリンはひどい異臭を放つが、正しい手順を踏んでサビ取りを行えば、再使用できるタンクも多いので諦めず対処しよう。
昼間と夜間の寒暖差による結露や、屋外保管時の雨水浸入などによって、いつの間に発生するのがガソリンタンクのサビです。
通勤や通学で日常的に使用したり、週末にツーリングを楽しんでいればサビが発生する間もありませんが、屋外で車体カバーを掛けっぱなしにして半年~1年もそのまま置いておくようなことがあると、キャップを開けた途端にガソリンが腐った独特のニオイが立ちこめ、のぞき込んだタンクの中には真っ赤なサビが発生ということもあります。
タンク内がサビるには空気と水分が必要条件となるので、長期保管時には空気を追い出すためにキャップ部分までいっぱいにガソリンで満たすというのが長年にわたる定説でした。
しかし現在はガソリンの中でもバイオエタノール燃料の普及が進んでおり、このバイオエタノール燃料が水溶性であるため、ガソリンを使わない状態が長く続くと吸湿した水分がタンクにサビを発生させる危険性があると言われています。
それゆえ現在では、ガソリンを完全に抜いた上で通気性の良い状態で保管するのがベターかもしれません。
また、長期保管時にタンク内に投入することでガソリンの変質を防止し、サビを防ぐケミカルもありますが、サビたタンクが目の前にある場合はまずはこのサビを除去するのが先決です。
今では環境に優しく高性能ぶりをアピールするサビ取りケミカルが数多く販売されています。
ただ、変質したガソリンと入れ換えるようにケミカルを投入するだけでは、最大限のサビ取り効果が期待できないこともあるのです。
サビ取りケミカルの前にキッチン用洗剤を使う理由とは?

古いガソリンを抜いて軽く水ですすいだら洗剤を注入する。タンク内に溜めてしばらく漬け置きするなら、あらかじめ水に溶かした方が濃度が一定になって良いが、高圧洗浄機の勢いを利用するなら原液のまま入れてもかまわない。
ガソリンタンクに投入したサビ取りケミカルが働くには、酸化し腐食しているサビの患部に触れなくてはなりません。
ところが変質したガソリンを抜いただけのタンク内部は、まだ腐ったガソリンによるコーティングが残っており、タンク素材から剥がれた浮きサビも混ざっています。
内部がこんな状態では、サビ取り反応が効果的に進まずケミカルがもったいないので、事前に下洗いをしておくのが効果的なのです。
そしてこの下洗いに適しているのが、私たちの身近にあるキッチン用の中性洗剤なのです。
洗剤の主成分である界面活性剤には、皿やフライパンから油汚れを浮かすように、金属表面とガソリンや浮きサビの境界に入り込み、分散させる働きがあります。
つまり洗剤でタンク内を洗浄することで、表面に付着した汚れが落ちて、ケミカルがサビそのものに反応できるようになるわけです。
洗剤を使用する際は、食器を洗う際にスポンジで擦った方が短時間で済むように、タンク内部になるべく刺激を与えたいのですが、スポンジやブラシは奥まで届かないので、ホースの水を勢いよく注入するか、高圧洗浄機を用いると効果的です。
特に高圧洗浄機は、洗剤を入れずに噴射しても軽度のサビなら吹き飛ばすほどの勢いがあるので、車やベランダ掃除用にも使える道具として持っていれば、サビ取りでも重宝します。

できるだけタンク内部全般に勢いの良い水が行き渡るように、ノズルの向きを調整しながら洗浄することで、タンク下部から剥がれた浮きサビが混ざった水が排出される。このサビは軽度で、わざわざサビ取りケミカルに処理させるほどではない。ということは、ケミカルは洗剤と高圧洗浄機で落ちない根の深いサビに集中的に反応することができ、結果的にサビの落ちが良くなるというわけだ。
高圧洗浄機があればさらに効果的

洗剤と水だけで赤サビがザクザク出てくる。新たなサビを防ぐにはサビ取りが不可欠だが、あまりに根が深いとカサブタ状のサビが取れると同時にタンク自体に穴が空いてしまうこともある。この穴は表側からハンダで埋められるが、周辺を含めて侵食が進んでいる可能性が高いので注意が必要。
キッチン用の中性洗剤と高圧洗浄機を併用したタンク内洗浄は、洗剤を滴下した後に高圧洗浄機の掛けるだけと、きわめて単純です。
漬け置きした方が汚れを浮かす働きが浸透するので、燃料コックを取り付けた状態(タンク底から洗剤が漏れない状態)で洗剤と水を入れて、タンクを振って行き渡らせた後にコックを外して、洗剤混じりの水が排出されるのに追い打ちを掛けるように高圧洗浄機を使えば、洗浄効率はさらにアップします。
また給油口と高圧洗浄機のノズルのサイズによっては、タンクの後部を狙いづらい場合もありますが、ノズルを前後左右に操ってまんべんなく高い圧力で水洗いするよう心がけ、タンクの上部は燃料コックのマウント部分から狙い撃ちします。
排出される内容物を観察すると、中性洗剤で洗っただけなのに多くの浮きサビが剥がれて出てくることに驚くはずで、軽い浮きサビ程度であれば大半が取れてしまうこともあります。
もちろん、洗剤だけで落ちないサビに対しては専用のケミカルが必要ですが、ケミカルを効果的に反応させるためには下洗いが重要であることを覚えておきましょう。

汚れと浮きサビを除去したところで、ようやく主役であるサビ取りケミカルの登場だ。榮技研の花咲かGタンク・クリーナーは環境への影響のない中性の成分で、サビ取り効果と再発生を抑える防錆能力の高さが好評。
ガソリンタンクのサビ取りは
一に中性洗剤、二にケミカルの順で進めよう。
環境に優しく、効果も高いタンクのサビ取りケミカル
その能力を最大限に発揮させるには、タンク内部の洗浄が重要。
キッチン用の中性洗剤で表面の汚れや浮きサビを除去すればケミカルの反応が向上してサビ取り効率がアップが期待できる。
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