スプロケットの交換時期は、具体的に「○○kmで変える」といった明確な基準があるわけではありません。
なぜならサーキットやオフロード、そして街乗りといったシチュエーション、更には日常のメンテナンスの度合いによって大きくスプロケットの寿命が左右されるからです。
そのため交換時期を自分で判断しようにも、自分ではなかなか判断がつかない……
そんな時に助けになるのが今回紹介するアイテムです!

まずはスプロケットの摩耗についておさらい

スプロケットの交換時期はいつ? 

冒頭に書いたように、一概に距離を目安に交換時期を断言することは出来ません。
なのでスプロケットの摩耗度合いはスプロケットの「歯と谷」を目で見て判断します!
ドライブチェーンによってスプロケットは摩耗していくため、スプロケットの山と歯は形が変化していきます。

極端な例ではありますが、スプロケットの歯と谷が限界まで摩耗すると、画像のような「剣山」もしくは「手裏剣」と表現されるような状態になってしまいます。

このような状態になってしまうともう手遅れで、スプロケットの歯が折れてしまったり、最悪の場合は歯が折れてチェーンが外れてしまいます。
チェーンが外れてしまうと、大事故に直結する可能性もあり、スプロケットがこのような状態になってしまう前に予防交換が必要です!

スプロケットの摩耗→チェーンの劣化→スプロケットの摩耗という無限ループ

スプロケットの摩耗とチェーンの劣化、どちらが先かはさておき、どちらか一方の摩耗はもう一方の劣化を加速させてしまいます。

チェーンのピンが摩耗し、チェーンの全長が伸びてしまうことで、スプロケットとチェーンの咬み合わせ時のクリアランスが広がります。

本来チェーンとスプロケットがピッタリと噛み合っているはずが、クリアランスが広がってしまうと、チェーンのローラーがスプロケットの谷の側面に接触することになります。

そうすると、スプロケットは歯と谷の側面が削れていき、次第に尖った形状になっていくのです。

実際に同サイズの新品スプロケットと、摩耗した中古のスプロケットを比較するとこのような違いがあります。

更に摩耗したスプロケットのシルエットを新品に重ねて見ると、このように摩耗していく部分がよく分かります。

またチェーンの劣化によるスプロケットの消耗に対して、反対にスプロケットが既に摩耗している場合は、チェーンのローラー・ピン側面に大きな力がかかるため、チェーンのピンが摩耗してしまいます。
このようにどちらか一方が新品で、もう一方が既に摩耗してしまっていると、チェーン・スプロケットを同時交換した場合に比べて寿命が短くなってしまいます。
なので、スプロケットもしくはチェーンを交換する場合は同時交換がオススメです!

スプロケットの種類で摩耗のしやすさは変わる?


スプロケットの材質には一般的に「アルミ」と「鉄」があります。
アルミスプロケットのメリットは軽量なこと、デメリットとしては鉄スプロケットに比べて耐久性に劣ることが挙げられます。
反対に鉄スプロケットのメリットは、純正採用されているスプロケットがほぼ鉄製であるように、耐久性に優れます。デメリットとしてはアルミに比べて重いことです。
耐久性にそれぞれ違いはありますが、摩耗に関して共通する点として「表面処理された部分が摩耗しきってしまうと、加速度的に摩耗スピードが上がる」という点です。

アルミスプロケットでは硬質アルマイト、鉄スプロケットでは高周波焼き入れなど、各スプロケットメーカーでは摩耗対策としてスプロケット表面の耐久性を上げる処理をしています。
ですがあくまで表面処理のため、表面処理を行った層が摩耗しきってしまうと、一気に摩耗が進んでしまうのです。

目視しても交換時期がよくわからない!

スプロケットの状態は距離ではなく、状態を目視して判断する必要があるというのは分かったものの、バイクのプロではない我々には基準がイマイチわかりません…
そんな時に目安になるのがこちらの「X.A.M スプロケット摩耗チェッカー」なのです。

X.A.M スプロケット摩耗チェッカー

こちらはカラーオーダーシステムによるこだわりのスタイルや、肉抜きと特殊メッキが特色の「タフライトスチール」シリーズなどのスプロケットを展開している「X.A.M(ザム)」が配布しているアイテムです。

こちらの摩耗チェッカーは、愛車のスプロケットにあてがうだけで摩耗の目安が分かってしまう優れもの!
消耗の診断基準に関しては、チェッカー上部にある説明書に記載されています。
普段はイベントなどで、X.A.Mのブースで配布されているチェッカーなのですが、今回は画像データを使用しDIYスプロケット摩耗チェッカーを自作します!
摩耗チェッカーの画像データはX.A.M JAPAN様に提供していただきました。ありがとうございます!
読者の皆様も、こちらの画像をご自由にダウンロードいただけます!

スプロケット摩耗チェッカーを作ってみよう


まずは頂いた摩耗チェッカーの画像データ保存し、「はがきサイズ」で印刷します。
今回はA4サイズの用紙に摩耗チェッカーを印刷したので、ここからチェッカーの形に沿って切り出していきます。

コピー用紙のままでは、紙が薄く強度が無いため、今回はゴミ捨て場に転がっていたダンボールを台紙にします。

糊を使って摩耗チェッカーを台紙に貼り付け、そこから更に切り抜いて行きます。

最後に説明書部分とチェッカーを切り離したら完成です!
台紙の切り抜きに少し時間はかかるものの、大した手間はかからず摩耗チェッカーを自作出来てしまいました!

ポイント
・測定器具なので基準が大事。「はがきサイズ」で印刷することによって、きちんと原寸大で印刷できます。
・台紙は厚すぎず薄すぎないものを選びましょう。厚すぎると切り抜きが大変ですが、薄すぎてもしなって正確に計測出来なくなってしまいます。

いざ測定!


それでは実際にスプロケットに摩耗チェッカーを使用してみましょう!

1.新品


まずは新品のスプロケットにあてがってみます。
スプロケットチェッカーは三面にそれぞれのチェーンサイズに合わせた計測面があり、サイズにあった面をあてがいます。
今回は新品のため、さすがにほぼ隙間はありません。

2.極限まで摩耗したスプロケット


次は記事冒頭に登場したこちらの芸術的なまでに摩耗したスプロケット。

というか摩耗チェッカーを使うまでもなく「こりゃダメだ」と分かるレベルなので、あまり参考になりませんね……

3.若干摩耗しているように見えるスプロケット


今度は若干の摩耗は目視でわかるものの、ハッキリと交換時期かどうかは分からないくらいのスプロケットです。

スプロケットの歯の状態は悪くありませんが、摩耗チェッカーで見てみると谷の部分が摩耗しているのがよくわかります。

スプロケット摩耗チェッカーにある基準を見てみると、この場合Bの「そろそろ換え時」の一歩手前くらいの摩耗度合いでしょうか。

4.サーキットで500km程度走行したスプロケット(車両:S1000RR)


こちらはサーキットで使用されていたスプロケットです。

谷はそこまで摩耗してはいないものの、歯の部分がかなり摩耗していることがわかります。
大パワーのバイク、更にサーキット走行というシチュエーションになると、このように短い走行距離でも激しく摩耗します。

5.ふと不安になって見に行った自分のバイクのスプロケット


ふと自分のバイクに関して、スプロケットの状態をチェックしたことが無いのを思い出してしまいました。
不安になったので即チェック!
見た目に反してあまり摩耗はしていませんでした。安心。

もう一台のオフ車もスプロケチェック!
若干摩耗しているかな、とは思っていたのですが、思っていたよりも摩耗が進行していました……
ちょうど交換時期に来ているくらいといえます。

スプロケットの歯の部分に関しては、チェッカーが無くても歯の尖り具合から摩耗の度合いをイメージしやすいです。
ただ谷の部分に関しては、新品スプロケットが手元にあるといった場合を除けば、判断が難しい部分になります。
今回ご紹介したチェッカーがあれば、普通であれば目視で判断がしにくいスプロケットの摩耗も一目瞭然です!
ぜひこちらからダウンロードして、摩耗チェッカーを自作してみましょう!

スプロケットが減っていたらチェーンも同時に交換するのがおすすめ!

チェッカーで測定し、スプロケットが減っていたらチェーンもまとめて交換しましょう!
記事前半で解説しましたが、スプロケットの摩耗はチェーンの劣化を、チェーンの劣化はスプロケットの摩耗を促進してしまいます。
なので、どちらか一方を交換するより、同時に交換してしまった方が寿命が伸びてお得です!

SUNSTAR:サンスター チェーン&スプロケット 3点セット


そんな時に便利でお得なのがこちらの「サンスター 3点セット」です。
前後スプロケット、チェーンがセットで車種別に適合設定があるので、これを買うだけで駆動系がフルリフレッシュ可能!
年式別含め500車種の適合と、幅広いラインナップも魅力的です。
こちらに詳しい解説記事があります。ぜひご覧ください!

XAM:ザム タフライトスチール リアスプロケット


今回のスプロケット摩耗チェッカーの画像を提供していただいたX.A.Mのスプロケットの中でもおすすめなのがこちら!
まずは大胆な肉抜きに加え、色合いが特徴的なスタイルが目を惹きます!
この色合は「陽極亜鉛プレーティング処理」という特殊なメッキによるもの。
耐久性に優れる反面、重量が重くなりがち、そして見た目も地味になりがちスチール製スプロケットですが、タフライトスチールは一味違います。
新設計のライトニングホールによる軽量化とスタイリング、更には特殊メッキと強度に優れる鋼鉄材料によって耐久性も両立います!

DID:ダイドー ZVM-X2シリーズチェーン


チェーン選びに迷ったらおすすめなのはこちらのチェーン!
2022年10月に7年ぶりのモデルチェンジを果たしたDIDのフラッグシップモデルです!
motoGPからの技術フィードバックにより、圧倒的な剛性と長寿命を実現したシールチェーンの最高グレードです。
モデルチェンジの内容はチェーンの幅狭化によって更に向上した剛性、DIDの特許技術「X-リング」の進化によりフリクションロスが低減されました。

スプロケット・チェーン交換におススメな「Webike PIT inサービス」


Webikeで購入した商品を取り付けしてくれるお店にWebikeが発送!
購入・依頼者は予約した日に店舗へ行って、取り付けをしてもらうというサービスです。
チェーン・スプロケット交換はしたいけど、自分でやるのは時間や手間が……という方にはうってつけです!
Webikeショップナビからお店に事前に問い合わせをして、バイクの写真や状態を事前に共有。
作業工賃目安の見積もりをしてもらえるので安心!お店から同意が取れたら商品を購入すればOKです!

ショップナビを活用してショップ選びをすれば、持ち込みタイヤ交換やカスタムパーツの取り付けの可否だけでなくお店の雰囲気まで分かります。
商品の中から好きなものを選択して、手ぶらでお店にバイクを持っていくだけで消耗品の交換やカスタムパーツの取り付けが可能となります。

スプロケット、チェーンはバイクの駆動力を伝える大事なパーツです。
駆動系が摩耗していれば、いくらエンジンにパワーがあっても、いくらグリップするタイヤを履いていても、バイクが本領を発揮することはありません。
愛車の魅力を100%引き出すためにも、駆動系リフレッシュで健康的なバイクライフを送りましょう!

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