中古車両の「コンディションチェック」を行ううえで、足周り部品もっとも気になってしまうのがインナーチューブの点サビだろう。旧車ファンの多くが、このサビの発生で困っている例が多いと思うが、ここでは、サビサビのインナーチューブでも、修理再生が可能な事実をリポートしよう。


一見だけで判断できないインナーチューブ 

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表面サビならポリッシュ作業でも除去することはできるが、メッキ層以下に達してしまったサビは、なかなか除去できず「虫食い状態」になってしまう。防止策は「日頃からの点検」である。汚れに気が付いたらウエスで拭き取ろう。ウエスだけでキレイにならない場合は、細目のボンスターなどでサビや汚れをこそぎ落したら、ウエスに防錆浸透スプレーを吹き付け、インナーチューブを磨いておくのが良い。しばらく乗らずに放置状態の車両でも、この作業を実践することで、最悪の事態を招かずに済んだ経験もうる。ボトムケースにダストブーツキャップがある場合は、キャップを外して上まで引き上げ、オイルシールリップ周辺の汚れも磨くように心掛けよう。


歪み修正→再メッキ→研磨仕上げ 

 

福岡県久留米市に本社工場を構える東洋硬化では、日本全国のバイクショップやサンメカからの修理再生オーダーを請け負っている。曲がったインナーチューブは補正後に旧硬質クロームメッキを削り取り、その後、再処理に入る。仕上げ寸法は純正部品よりも精密だ。作業前に曲がりや歪みを測定点検し、修正可能な曲がりは油圧プレスで修正。まっすぐになったら専用旋盤でサビや従来の硬質クロームメッキを削り落とし、再ハードクロームメッキを施す。そして、寸法通りに円筒研磨が行われる。


撮影協力/東洋硬化


精度管理されて仕上がり納品 

 

 

依頼するインナーチューブのコンディションや繁忙期にもよるが、おおむね2週間前後で処理を終えて納品される。サビは削り落としてしまえば良いが、曲がりは要修正となるため工程が増える。硬質クロームメッキのクォリティは高く、大変に評判が良い。メッキ膜厚が厚いので、新品のインナーチューブと比べて再処理後は錆び難いのも特徴である。依頼前と仕上げ後の詳細寸法を明記した精度管理表も納品時に添付されるので安心だ。旧車ブームになってから、インナーチューブの再生オーダー数は確実に増えているそうだ。嬉しい再生メニューである。


2本を重ねて隙間の有無を確認 

 

2本のインナーチューブをピタリと寄せれば、曲がりや歪みがあるかどうかを確認点検することができる。透かして見るかのように、蛍光灯の光を利用するのが良いだろう。作業依頼の前に、フロントフォークを分解したらしっかり脱脂し、まずは曲がりの有無を確認するクセを身に着けるのも良い。


組み立て前には周辺部品をチェック 

すべてのパーツ洗浄を終えて、ボトムケースの磨き込みも終えた。いつでも組み立てられる状況になっているスズキRG250E用フロントフォーク。もちろんボトムケースに組み込むオイルシール、トップキャップ用のOリング。ボトムボルトの締め付け部分に組み込むガスケットワッシャーなどの各種消耗部品もすべて準備した。



POINT
  • ポイント1・見た目で判断できる点サビの有無 
  • ポイント2・ 分解したらチューブの歪みは必ず確認
  • ポイント3・組み立て時には消耗部品を交換しよう

旧車の購入時や不動車の「見立て」をする際に、フロントフォークのインナーチューブは注視しなくてはいけない車体パーツのひとつ。旧車に限らず、長年放置されて続けてきた車両のインナーチューブには、点サビや虫食いが発生しているケースが多い。雨水や湿気による結露がその主な原因だが、室内保管でも、湿度が高い空間に長期間バイクを置かざるを得ないような際には、イナンナーチューブとガソリンタンク内のサビ発生には、十分な注意が必要である。

インナーチューブに施されるクロームメッキは、フェンダーやマフラーに施されている装飾系クロームメッキとはまったく異なり、金属地肌に硬いメッキを直接施す「硬質クロームメッキ」が採用されている。読んで字の如く、極めて「硬いメッキ層」を持つのが大きな特徴で、インナーチューブの他にバイク部品では、リアショックのダンパーロッドなどにも、この表面処理メッキ技術が採用されている。

ここでは「再生硬質クロームメッキ処理」でインナーチューブを修理再生した様子をリポートしよう。作業をお願いしたのは、福岡県久留米市の東洋硬化。バイク用インナーチューブの再生請け負いはもちろん、もっと太く大きな「重機の油圧シリンダーロッド」や「建機用ガイドバー」などの再生処理も積極的に請け負っている(そちらの需要が多くそれが本業)、硬質クロームメッキ業界では、全国的に名高い再生工場なのだ。


意外と知られていないがメーカー純正部品よりも、再生硬質クロームメッキ処理を施したインナーチューブの方が、メッキ膜厚が「厚い」。実は、純正部品はコストダウンを目的にメッキ膜厚が最低限しか確保されていないケースが多い。メッキ膜厚が薄いと「サビやすい」となってしまうのだ。そんな意味でも、メーカー純正部品以上のハードクロームクォリティを確保しているのが、東洋硬化による再生処理技術でもある。

旧車の場合は、おおむねΦ26~Φ41mm前後の正立フォーク用インナーチューブが多いが、軽量化のために薄肉設計されている倒立フォーク用インナーチューブの場合は、メッキ処理自体は可能でも「曲げ修正ができない」ケースが多い。オーダーしたい際には、事前の問い合わせをお勧めしたい。薄肉インナーチューブの場合は(一部の正立フォークにも薄肉タイプがある)、修正曲げ直し時にシワが出来てしまい、そうなると強度が低下するため作業進行できないのだ。わからないことや問い合わせがある際には、まずは確認から行おう。



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