
バイクの駆動系の要であるドライブチェーンを交換する際、販売店などで売られているパッケージ製品を購入するとリンク数(コマ数)を調整する必要があります。その一方で、販売チャンネルによって購入時にリンク数を指定できる場合もあります。あらかじめ愛車が必要とするコマ数になっていれば切断に必要な工具類も不要になり、特に原付モデルに多いクリップジョイントチェーンにはメリットがあります。
汎用性を重視したパッケージ製品とリンク数指定で購入できるオーダー品

旧車でも絶版車でも、プレートやブッシュが錆びたりシールチェーンのグリスが漏れた状態のドライブチェーンを使い続けるのはNGだ。チェーンが伸びたり錆びたりしている時はスプロケットのコンディションも確認して必要に応じて交換すること。

汎用の箱入りチェーンは100、110、120リンクなど「キリ」の良い数字になっている。愛車のリンク数がそれと同じならコマのカットは不要だが、それ以外の場合はリンクピンを押し抜かなくてはならず、専門工具のチェーンカッターが必要になる。チェーンカッターは切断だけでなくジョイントプレートの圧入、ピンのかしめもできる。
ノンシールとシールの違い、シールタイプでもOリングの形状やプレートのカラーなど、ドライブチェーンを交換する際にはいくつものポイントがありますが、最も重要なのはリンク数を間違えないことです。
前後のスプロケットの歯数が純正ならばリンク数も純正と同じになります。一方で歯数を変更した場合は必要なチェーンの長さが変わるのでリンク数を変更することが必要です。
リンク数の変更に対応できるよう、また市販車のチェーンのリンク数は機種によってさまざまに異なるため、バイク用品店などで箱入りで販売されているチェーンのリンク数は100リンク、110リンク、120リンク……といったように汎用性を持たせた設定をされています。
したがって愛車のチェーンが106リンクだった場合は110リンクを購入して4リンク分をカットして使用することになります。チェーンの切断とはリンク同士を連結するピンを抜いてリンクを切り離すことで、プレートに圧入されて両端がかしめられたピンを抜くには専用工具のチェーンカッターを使用します。ちなみに用品店で購入して交換も一緒に依頼する場合はリンク数調整の心配は無用で、店舗によっては切り売り用のドラム巻きチェーンを用意しているところもあります。
リンク数が決まっている箱入り汎用タイプに対して、Webikeの用品通販サイトでは必要なリンク数を指定して購入することができます。チェーンサイズや銘柄ごとに分類された商品ページには、リンク数を選択するプルダウンメニューがあり、2リンクごとに選択できるようになっています。価格もリンク数で決まっているため、先の例で106リンク車で汎用品の110リンクを購入して捨てていた4リンク分の無駄がなくなり、106リンク分の金額でチェーンを購入できます。
チェーンと同時にスプロケット交換も行い、さらにその際に歯数を変更するような場合は現物合わせをした方が無難ですが、スプロケットの歯数を変更していて純正リンク数ではない場合も、現在のリンク数を1コマずつ数えてオーダーすれば間違いありません。
- ポイント1・バイク用品店の店頭で購入できるパッケージ入りドライブチェーンは、多くの機種に対応できる汎用性を重視してリンク数を設定している
- ポイント2・WEB上の通販サイトでは指定したリンク数でチェーンを購入できるサービスが展開されている
切断工具は不要だがシールチェーンはカシメ工具が必要

1970年代の原付バイク、ヤマハチャピィ50のチェーンは420サイズは88リンクで、箱入り製品で最もリンク数が少ない100リンクを購入しても12リンクが余分になる。ウェビックのサイトで注文するとメーカーオーダーになるため納期がかかる場合があるが、無駄なく購入できる。

前後スプロケットの歯数が純正通りなら、パーツリストに記載されている純正リンク数で過不足なくチェーンを張ることができる。歯数の増減によってリンク数が変わっている場合は、コマ数を手でカウントして確定させてから注文すればよい。

ノンシールチェーンの場合はジョイントプレートとピンにクリアランスがあるので、プレートを手でセットできる。プレートの脱落を防ぐクリップもプライヤーでカチッとはめるだけなので専用工具は不要。クリップをはめる際はU字部分を進行方向に向けること。
リンク数指定でチェーンを購入できれば、汎用品から余分なリンクを切断するためのチェーンカッターは不要です。しかし、チェーンをつなぐ際には専用工具が必要な場合もあります。
ここで紹介している原付用のノンシールチェーンのクリップジョイントは、外プレートとピンにクリアランスがあるため、プレートを手でセットできます。またプレートの抜け止めとなるクリップもプライヤーなどの汎用工具で取り付けることができます。
これに対してプレートの間にOリングでピンとブッシュの隙間のグリスを封入しているシールチェーンは、ピンにプレート取り付ける際も、プレートが抜けないようピン先をかしめる際にも専用のチェーンツールが必要です。シールチェーンの中にはクリップジョイントやスクリュージョイントなど、ピンかしめ工具が不要なタイプもありますが、大半のシールチェーンは専用工具でつなぐように設計されています。
したがって、リンク数指定で購入することでコマ数合わせの切断作業は不要になるものの、シールチェーンにおいては専用工具まで不要になるわけではありません。ただ、必要なリンク数ぴったりで購入できることで、わずか数コマ分とは言え余計な出費が抑えられるのは確かなので、特にノンシールチェーンユーザーは活用を検討してみてはいかがでしょうか。
- ポイント1・チェーンをつなぐジョイント取り付けで専用工具が不要なノンシールチェーンは、リンク数オーダーで購入したチェーンをハンドツールで取り付けできる
- ポイント2・WEBシールチェーンをつなぐ際はプレートの圧入やジョイントピンのかしめがあるのでリンク数指定で購入しても専用工具が必要
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