エンジン始動前に様々なデータを収集確認しておくことで、将来的にトラブルが発生しても、そのシューティングに手間を取らなくて済むケースがある。ここでは、久しぶりのエンジン始動前に、点火時期の現状データや点火系周辺部品のコンディションを確認してみよう。単純なサビの発生で着火不良を起こすこともあるのを知っておこう。


角度ではなく上死点前「何ミリ」の場合は

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ヤマハ2ストロークエンジン用のヤマハ純正特殊工具だが、2ストエンジンモデルでBプラグを採用していれば、、その多くのモデルで利用することができる。各種ブラケットなども別売りされていたヤマハ純正特殊工具だ。ゲージホルダー単品のままでシリンダーヘッドへ締め付けてしまうと、ダイヤルゲージのセット時にフレームやタンクと当たってしまいセット不可能になってしまうことが多い。そこで、ゲージホルダーを仮にセットしてからシリンダーヘッドへ締め付けるのが良い。締め付け事前には、ピストンをほぼ上死点位置に移動しておこう。


ゲージをセットして「0」ポイント合わせ

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ダイヤルゲージとにらめっこしながらLシリンダーの厳密な上死点を見つけてマグネットローターを保持。このときに、ケージ指針と数値リングを「0」に合わせる。スズキRG250シリーズの場合は、ローターに埋め込まれたマグネットが締め付け刻線とほぼ一致するようだ。


フライホイール刻線と合わせマーク

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ローター前方の斜め上クランクケースにタイミング確認の突起がある。この突起とローター刻線が一致したときが点火タイミングだ。エンジン始動中は点火ストロボで確認することができる。刻線が一致した時に埋め込みマグネットはピックアップを通過する瞬間のようだ。ピックアップコイル本体とローター外周のギャップを念のために確認したところ規定値通り0.4mmだった。ローター外周がサビていると、このギャップが不安定になり点火不良を招いてしまう。


一次圧縮漏れの有無を事前確認

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点火時期の確認が済んだらアウターローターを取り外して周辺コンディションを確認しよう。まずはマグネットローターホルダーで保持しつつセンターのロックナットを緩める。フライホイールセンターのテーパーフランジ部には逆ネジが切られている。一般的なフライホイールプーラーは利用できないので専用工具が必要だ。ここでは3本のボルトをフランジにねじ込み(ねじ込み過ぎない)、センターボルトを締め込むタイプのプーラーを利用した。センターボルトに、しっかりテンションが掛かったら、ボルトの頭をハンマーでコツンコツンと軽く叩いてみよう。スズキの純正特殊工具は、スライディングハンマーを使って引き抜くタイプのようだ。5~6回叩いたらポコッとローターが外れた。確かに特殊工具が無いと取り外すことができない構造のようだ。内部コンディションは比較的良さそうに見える。コイルベースプレートを取り外す前に締め付けボルト部に注目。右上の固定部分にはクランクケース側、ベース側のいずれにも刻線がある。復元時にはこの刻線を一致させよう。コイルベースを取り外すことで、クランク室の一次圧縮が漏れていないか?オイルシールコンディションを確認することができる。シールは健全性が保たれていた。エンジン始動前にコンディションを知っておくと後々安心だ。コイルベースの復元時には、分解前に確認した「刻線の一致」を保持しつつボルトを締め付けよう。この刻線が一致していれば、原則「点火時期調整は不用」となる。


POINT
  • ポイント1・強い火花が飛んでも着火タイミングがズレていると始動性は著しく低下する 
  • ポイント2・上死点前「何度」ではなく「何ミリ」で調整する2ストエンジンの点火時期
  • ポイント3・フライホイールを取り外したらクランクエンドシールのコンディションを確認しよう

2ストエンジンは4ストエンジン以上に「点火タイミング」が重要である。いい加減な調整作業や間違った調整によって点火タイミングが上死点付近になると、なんとエンジンが「逆回転してしまう」ことがある。エンジン始動後にギヤを入れてクラッチミートしたところ、バイクが「バックした!?」といったお話は、昭和の時代では、決して珍しいことではなかった。2ストエンジンは4ストエンジンと比べてシンプルな構造のため、クランクシャフトが逆回転しても、吸排気タイミングは成立してしまうのだ。

ここでは、特殊工具のダイヤルゲージ&ゲージホルダー(手持ちのヤマハ製)を使って、正しい上死点位置を探し出し、その際にクランクケースの刻線や突起マークとマグネットローター側の刻線が一致するかなどなど、基本要素を物理的に点検してみた。正しいタイミングデータを知っておくことで、エンジン始動後に点火ストロボ(タイミングストロボ)を当てた際に、スパークタイミングと刻線のツジツマを確認できるからである。

RG250Eの点火方式は、絶版旧車に多いフラマグポイント式やバッテリーポイント式ではなく、スズキが独自に開発したPEI方式と呼ばれるCDI点火方式を採用している。キーポイントになるコイルベースとマグネットローターは、物理的に組めるようにしか組めない作りなので誤組は無いと思うが、ピストン上死点時にローターの位置がどのようになっているのかは、このような確認をしてこそ理解できるようになる。サンメカなら、モデルを問わずそのような状況を知っておきたいものだ。


また、スズキRG250Eの点火時期データでは「上死点前20度/4000rpm」となっている。タイミングライトを利用して、アイドリング時と4000rpm時の刻線状況を確認したら、エンジン停止時に、果たして上死点前「何ミリ?」なのかをデータ取りしておくのが良い。それによって、ヤマハやカワサキ車と同じような確認方法で点火時期を把握することができるようにもなる。



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