スマホ充電用のUSB電源からグリップヒーターまで、電気アクセサリーを取り付ける際の電源をどこから取り出すかは慎重に考えることが必要です。アクセサリー電源から分岐するのが一般的ですが、機種によっては専用ヒューズ付きのオプション電源が備わっている機種もあります。オプションカプラーにアクセサリーを接続する利点を解説します。

取り出す回路によってはヒューズ切れやハーネス焼損もあり得るアクセサリー電源

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電気系アクセサリーパーツの中で消費電力が多いグリップヒーター。左右グリップの配線を繋いだら、そこに電源コード(左右グリップの間にある赤と黒の線)を接続する。電源コードには5Aの管ヒューズが組み込まれており、車両ハーネスに割り込ませるためのエレクトロタップも付属する。このグリップヒーターはデイトナ製。

 

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サービスマニュアルの配線図に記載されているオプションカプラー。このカプラー用に専用ヒューズがあり、そこから赤/青のプラス電源が供給されている。ホンダ車なのでアースが緑で、桃/緑に電気式スピードメーターのパルスが来ている。グリップヒーターで使用するのは赤/青と緑。

 

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ホンダFORZAの場合、オプションカプラーはメーターパネル裏にあるので、フロントカバーやスクリーン等を取り外してメーターをずらす。

 

電気アクセサリーを追加する際、常時給電が必要ならバッテリー端子直結で、メインスイッチON/OFFと連動させるならアクセサリー(ACC)回路に割り込ませるのが電気いじりの定番となっています。
USB電源やグリップヒーターなど、メインスイッチOFFの際に通電する必要のない製品はACC系統から分岐するのが定番ですが、取り出す場所によっては思わぬトラブルにつながることがあります。

ACC系統を簡単に説明すると、バッテリーからメインヒューズを通ってメインスイッチの一次側に入った電気が、スイッチONで流れる先の配線や回路を指します。例えばテールランプやブレーキランプはメインスイッチを入れなければ電流が流れないので、それらの配線から並列で電源を分岐すればアクセサリー用の電源として使うことができます。
ヘッドライトやウインカーリレーの電源も同様ですが、ヘッドライト回路の場合はHI/LOWビームを切り替えるディマースイッチよりもメインスイッチ寄りで分岐しなければなりません。もしディマースイッチからヘッドライトバルブにつながるHIビーム配線を分岐すると、LOWビーム時には電気が流れないのでアクセサリーが使えません。

ウインカーリレーも同様で、メインスイッチONでリレーに電気が流れる配線ではなくリレーからウインカースイッチにつながる配線から分岐すると、ウインカーを作動させた時だけ断続的に電気が流れる状態になってしまいます。
またメインスイッチONで通電する回路から分岐する際は、そもそもその回路がどんな電気部品を受け持ち、どのヒューズが受け持ちになるかを考慮することも重要です。電源配線にヒューズが組み込まれている電気アクセサリーの場合、アクセサリーの消費電流がヒューズの容量を上回るとヒューズが切れて回路を保護します。
この時、車体側のACC系統に電気アクセサリーを取り付けると、車両のヒューズとアクセサリーのヒューズがダブルで付くことになります。一見すると二重の安全装置のように思えますが、組み合わせによってはそうとも言い切れません。

アクセサリーのヒューズが5Aで、これを10Aのヒューズが入った車両側配線から分岐した場合、アクセサリーに異常が発生した際は5Aのヒューズが切断します。これに対してヒューズが10Aのアクセサリーを5Aヒューズの車体側配線に結線すると、アクセサリーに5A以上の電流が流れると車体の5Aヒューズが先に切れてしまいます。
こうなると、5Aヒューズより先の車体側の電装品が作動しなくなってしまいます。電気系統が細かく区分されている=ヒューズの使用数が多い機種であれば、ヒューズ切れの影響範囲は限定的ですが、旧車や絶版車はヒューズの数が少ないので影響範囲が大きくなるため大変です。1970年代の原付バイクはたいていメインヒューズ1本のみですし、大型車でもカワサキZ1やホンダCB750 は電気系統の保護はヒューズ1本で行っています。
つまりウインカーがショートしても、イグニッションコイルが短絡しても、ヒューズが切れた時点で走行不能に陥るわけです。

POINT

  • ポイント1・電気アクセサリーを取り付ける際はメインスイッチONに連動するアクセサリー回路に接続することが多い
  • ポイント2・アクセサリーを接続する際は消費電力とヒューズ容量を考慮して回路を選定する

電力消費量の多いアクセサリーも安心して使えるオプションカプラー

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シート下のトランク底部のヒューズボックスに、オプションカプラー用10Aヒューズが設置してある。電気アクセサリーを取り付けるたびに追加ヒューズがゴロゴロ増えるものだが、オプションカプラーから電源を取れば純正ボックス内のヒューズをそのまま使えるのが嬉しい。

 

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メーター裏側にあるオプションカプラーは、容易に識別できるようにするためか赤色で、ご丁寧に防水キャップまで取り付けてある。念のため、赤/青と緑にサーキットテスターを差し込み、メインスイッチに連動して12Vが通電することを確認する。

 

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純正コネクターの根元をエレクトロタップで挟み込んで分岐しても電気は取れるが、それでは見栄えが良くないのでオプションカプラーのメスコネクターと合う防水コネクターセットを用意して、オスコネクターのみ使用する。

 

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左右のグリップヒーターの配線カプラーをつないで、新たに製作したサブハーネスのオス/メス端子に電源用のギボシ端子を差し込む。その上でオプションカプラーにサブハーネスのコネクターをセットする。グリップヒーターに付属する管ヒューズは、オプションカプラー用ヒューズが役目を果たすので不要となる。ただしボックス内のヒューズ容量は10Aから5Aに変更する。

 

こうした電気アクセサリー装着時の電源問題に対処できるよう、年式が新しいバイクの中には設計時からアクセサリー装着を前提とした配線が用意されている場合があります。ここで紹介するのは2000年代前半のホンダ製250ccスクーターで、配線図に電装品がつながっていないオプションカプラがあります。
このカプラーはバッテリー~メインスイッチ~専用ヒューズ~カプラーで回路が構成されており、ここに電気アクセサリーを接続した際も既存の車体側の回路に何らバッティングすることなく電源を供給することができます。

オプションカプラーは4Pベースで3本の配線がつながり、赤/青が専用ヒューズを経たプラス、緑がアース、桃/緑が速度センサーとなっています。したがって電気アクセサリー用の電源を取るには赤/青と緑を使えば良いことになります。
配線図上でオプションカプラーがあることが分かったら、実際の設置場所を見つけることが必要です。この機種の場合、メーター裏側の赤い4Pカプラーがオプションカプラーでした。シート下のトランク内にあるヒューズボックスに対してカプラーがメーター裏にあるのは、グリップヒーターもUSB電源などハンドル周りに取り付けるアクセサリーを前提としているからなのかもしれません。
せっかく4Pカプラーが敷設されているのに、アクセサリー側の配線がエレクトロタップではセンスが良いとは言えないので赤色カプラーと形状がマッチするコネクターセットを使って、グリップヒーターとに電気を供給するためのサブハーネスを製作します。消費電力にもよりますが、コネクターとグリップヒーターをつなぐプラス側の配線を二股にしておけば、オプションカプラーからグリップヒーターとUSB電源を同時に取り出すことも可能です。

オプションカプラーには専用のヒューズが組み込まれているので、後付けアクセサリーにヒューズが付いている場合、今回取り付けたグリップヒーターには5Aのヒューズが入っていますが、そのヒューズは使わずキャンセルできます。
ただしアクセサリーと車体側のヒューズ容量が異なる場合は注意が必要です。グリップヒーターのヒューズが5Aなのに対して、オプションカプラーのヒューズは10Aが入っており、この状態で使用するとグリップヒーターに5A以上の電流が流れてしまいます。バイク側のヒューズが10Aなら車体のハーネスは5A以上の電流を許容しますが、それではグリップヒーターにとって過電流となり破損の恐れがあるので、このような場合はオプションカプラーのヒューズを5Aに変更しておきます。
車体にオプションカプラーと専用ヒューズがあれば、電気アクセサリー装着時の懸念や不安が一掃されます。サービスマニュアルや配線図で確認するのが確実ですが、そうでなくてもヒューズボックスにオプション用ヒューズ(この機種の場合OP表記)があれば、車体のどこかに電装部品がつながっていない余りの回路があるはずなので、インターネットで同型機種の作業記事を検索したり、車体のどこかにある絶縁用の保護カバー付きカプラーを探してみると良いでしょう。

POINT

  • ポイント1・専用ヒューズが割り当てられたオプションカプラーがあれば消費電力の大きいアクセサリーも安心して取り付けられる
  • ポイント2・アクセサリーとオプションカプラーのヒューズ容量が異なる場合はアクセサリー側の容量に合わせる

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