クリップジョイントではないかしめタイプのドライブチェーンを交換する際には、リンクピンをドライブチェーンツールで押し抜く作業が必要です。
この時、押し抜くピンのかしめの頭をグラインダーで削ってフラットにするだけで、チェーンツールへの負荷がグッと低下して、軽い力でピンが抜けるようになります。
作業時にはグラインダー使用時に飛び散る火花に充分に注意することが重要です。

シールチェーンを切断するにはリンクピンの押し抜きが必要


古いチェーンを切断するだけでなく、新しいチェーンのコマ数を調整するためにリンクを減らすこともある。
新しいチェーンは車体に取り付けて、ジョイントが使える位置でカットすることが重要だ。

洗浄や注油など定期的にメンテナンスを行っていても、金属同士がこすれ合いながら駆動力を伝達するドライブチェーンはある程度の距離を走行すると交換時期がやって来ます。
チェーンの繋ぎ方にはクリップジョイントとかしめジョイントの2タイプがあり、シールチェーンで用いられるかしめタイプを切断するには任意のリンクピンを抜く作業が必要です。
リンクピンはチェーンのコマを繋ぐ重要な部品であり、高速で回転するチェーンが分解しないように両端がガッチリかしめられているため、ピンを抜く際にはドライブチェーンツールが必要です。
グラインダーでリンクを切断してしまう手荒い方法もありますが、後の工程でシールチェーンを連結する際にピンをかしめる作業があるため、自分でシールチェーン交換を行おうとするなら少なくともドライブチェーンツールは持っておきたいものです。

ただチェーンツールを持っていても、そのツールでいきなりピンを切断するのではなく、その前にグラインダーでかしめられたピンの頭を削り落としておくことで、工具への負荷を減らすことができます。
バイクショップでもない限り、チェーン交換を頻繁に行うライダーは少ないでしょうから、ドライブチェーンツールも一度使えればそれでいいという考え方もありますが、せっかく手に入れた工具はなるべく大切に使いたいもの。

工具を守りながら楽に作業するためにも、グラインダーの一手間を加えてみましょう。

ピン頭の削り作業はチェーンツールを守るために有効


グラインダーでリンクピンのかしめ部分を削る際は、外プレートの上に被さった部分だけを削り落とせば良い。
ピンと外プレートがツライチになったら、チェーンツールでピンを押し抜いてチェーンを取り外す。
チェーンのカットは、古いチェーンを車体から外すだけでなく、98リンクの車両用に100リンクの箱入りチェーンを購入して2リンクカットするような、長さ調整にとっても必要な作業です。

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そして新品チェーンのリンク数調整を行う場合は、前後スプロケットを取り付けたバイクにチェーンを装着してから切断位置を決めることが重要です。
特にスプロケットの歯数変更によってリアスプロケットの歯数を増やした後のチェーン交換では、標準よりリンク数を増やさなくては届かないこともあるので注意が必要です。

切断するリンクピンが決まったら、いよいよグラインダーの登場です。
切削用の刃を取り付けたグラインダーでピンの頭を狙い、盛り上がったかしめ部分が外プレートとツライチになるぐらいまで削ります。

グラインダーの刃がピンに接触すると思ったより盛大に火花が飛び散りますので、火花の飛ぶ方向には可燃物を置かないようにして、削るピンの頭から目を離さず、なおかつ火花の行く先にも注意を払います。
かしめ部分の頭を削って外プレートとツライチになっても、ピンは外プレートに対して圧入されているので、チェーンツールで強制的に押さなくては抜けません。
しかし外プレートの上に広がったピンの頭を落とすことで、ピンを押す際にチェーンツールに加わる力は大幅に軽減され、ハンドルを回す力が軽くなると共に工具に加わる負荷も減るため、工具の寿命も長くなります。

新しいチェーンを装着する際にもかしめ作業を行う


チェーンのコマ数は、ジョイントリンクがセットできるようにチェーンの両端は内プレート同士になるように調整すること。
外プレートで終わってしまうと、ジョイントリンクが入らないので注意。


シールチェーンはすべてのピンとブッシュの隙間にグリスが封入されており、ジョイントリンクをセットする際にもピンとブッシュに専用のグリスを塗布して、外プレート内側のOリングで漏出を防止する。


クリップジョイントの外プレートはピンにスッと通るが、かしめジョイントの外プレートはセット時に圧入が必要。
最終的にピンの頭をかしめなくてはならないので、自分でシールチェーンを交換する際は専用のチェーンツールが必要になる。

今までのチェーンがシールタイプだった場合、新しく装着するチェーンもシールタイプであることが大半だと思いますが、ゴム製のOリングを挟み込むシールチェーンはジョイントリンクの外プレート自体を軽く圧入してセットします。
ジョイントリンクのプレートは裏表が平行になるよう、圧入後に狭すぎず広すぎないように隣の外プレートと幅を合わせてからピンの先端をかしめます。
この際もチェーンツールを活用しますが、かしめ量が不足していれば外プレートが抜けてチェーンが外れる危険性があり、逆にかしめ過ぎれば外プレートの幅が狭まりリンク自体のフリクションが増加してスムーズな動きを妨げる原因となります。
かしめ作業ではピンの頭をどれぐらい広げるかが重要で、チェーンメーカーによってはかしめ後の寸法の目安を明示している場合もあり、チェーンツールによってはかしめ量を測定できるゲージのついたものもあるので、入念に確認しましょう。

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引火や火傷への養生や注意は必要だがピンの頭を削ればリンク切断は容易になる

チェーン切断は単純だが、ジョイントがかしめタイプならリンクピンの頭を削ることで無駄な力を使わず作業できる。
グラインダー作業に不慣れな場合、車体を傷つけたり飛び散った火花による火災や火傷への配慮が必要だ。

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