旧車に限ったことではなく、電装アクセサリー類を数多く取り付けたことで、充電系が弱く、エンジン始動時に「あれっ!? ヘンだなぁ!?」といった経験を持つライダーも多いはずだ。

ここでは、格安テスターひとつでも確認することができる「充電回路の基本」を点検してみよう。充電系は極めて重要だ!!

エンジン始動前にバッテリーの端子電圧を確認してみよう。12.2~12.4ボルトもあれば安心かも知れないが、12.0ボルトに満たない場合は、明らかにバッテリーが弱っている証拠である。

格安テスターで点検できる!!

今では様々なブランドから発売されているサーキットテスター。格安海外商品なら1,000円以下でも購入可能。選択時にはユーザーの評判を参考にするのが良いだろう。バイクメンテ好きなら、数種類は持っていたいものだ。

朝一でセル始動しようと思ったが「回転力が弱く今ひとつ始動性が悪い」といったバイクは四季を問わず数多い。単純にバッテリーの弱化なら、補充電によって蘇ると考えられるが、そんな補充電を繰り返し行うことで、いつしかバッテリー自体のチカラが無くなり、そのうち満充電表示が出ても、バッテリーが弱い症状に陥ってしまう。そうなったときには、バッテリーの寿命と考えよう。

バッテリーを長持ちさせるには様々な方法があるが(後々リポートしよう)、もっとも容易で、数多くのユーザーに実践されているのが、乗らないときや保管中は「充電器をつなぎっ放なし」にしておける充電器の利用だ。

ツーリングを終えて帰宅したら充電器を接続。すると、充電器がバッテリーコンディションを診断し、必要に応じて充電を行うバッテリーチャージャーがそれだ。

乗りたいときに最善のコンディションを約束してくれる高性能バッテリーチャージャーは、バイク乗りにとって、間違い無く「強い味方」である。

 

POINT
バッテリーは使い始める前、新品の時にしっかり補充電が必要だ。
補充電無しに使ってしまうと、将来的にバッテリーの寿命が短くなってしまうことを心得ておこう。

様々な状況下でのバッテリー電圧を比較してみよう

エンジン静止時の電圧に対してアイドリング時は一般的に充電回路が働いているため電圧が高くなる(旧外車ではアイドルチャージしないモデルも)。ご覧の通りエンジン始動と同時に電圧が上昇した。

 

エンジン回転を高めると電圧は17.10ボルトへ上昇!! アイドリング時から、約4.7ボルトも電圧は上昇した。つまり充電電圧がエンジン回転に合せて上昇していることになるのだが……。この数値は明らかに過充電!!

過充電トラブルが多い空冷時代のカワサキZ

充電電圧が低いトラブル以上に要注意なのが、過充電トラブルだ。レギュレーター故障によって高電圧になり、バッテリー液を干上がらせてしまうトラブルが、この時代のカワサキ空冷Zには多かった。

カワサキZ1/Z2の電装系トラブルでもっとも多かったのが「過充電」だった。異常な高電圧のまま高速走行したことでバッテリー液が干上がり、ブリーザーから噴き出しバッテリーケースや周辺部品をサビさせたり、マフラーのクロームメッキ層を剥離するなどトラブルを発生。対策パーツとして販売されているのが、専門店から発売されている対策型レギュレーター/レクチファイアである。

当時のカワサキ純正部品は、交流電流を直流に変換するレクチファイア(整流器)と電圧を制御するレギュレーターがそれぞれ別部品だったが、現代の対策部品は現行モデルと同タイプのレギュレーター/レクチファイアを採用。1ユニットで最善の仕事をする現代の対策パーツは、実に頼もしいものだ。充電電圧の上昇確認は基本中の基本だが、電圧が上昇しても、状況に見合った「電流」でチャージしなければ充電コンディションは決して良くならない。電圧が上昇しても配線の劣化などで電流値が上がらないこともあるので、その際には電流値も測定しなくてはいけない。旧車が誕生した当時には無かった「DCA(直流アンペア)クランプテスター」があれば診断は容易なのだ。

ここでは、あくまで現状の充電状況を確認したが、今回の点検によって、レギュレーターが壊れ、過充電になっていることが判明した。こうなるとダメージを受ける前に現代の高性能レギュレータ/レクチファイアに交換したい。それが必要不可欠なメンテナンスである。

POINT
旧車専門店から発売されている対策部品を使うことで電装系コンディションは必ず良くなる。
当時物メーカー純正部品にこだわりすぎると、トラブルの発生率が高くなるのも確かな事実のひとつである。

 

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