
バイクをトランポへ積むときに取り外したり、普段から調整する機会が多いのがバックミラー。
ロックナットを緩めずにグイッと無理にやってしまったことで、ネジ山がナメ気味になり、ネジ込む途中のバックミラーがガタガタに…… なんて経験、そんなバイク、ありませんか?
ここでは、バックミラーマウントのネジ山修理、一部始終をリポート!!
部品単品にして=取り外して作業すれば確実だが、一方で作業台や万力が必要不可欠になる。
ここでは部品をハンドルに取り付けたまま、周囲を養生マスキングで作業進行。
リコイルはキット販売品が便利
今回利用したリコイルはバックミラーのネジ山サイズ、M10P1.25。
10ミリのネジ径で山の間隔=ピッチが1.25ミリの意味。
バイクに使用されている10ミリネジは、特定部位以外1.25ミリピッチが多い。
表記サイズのネジ山を修理するために必要なツールをキット化して販売。
もちろん挿入リコイルが不足した時にはリコイルのみ購入できる。
一般的にキットに含まれるリコイルはネジ径の1.5倍の深さにあたる1.5D。
キット商品にはネジの太さに対して1.5倍の長さにあたる1.5Dリコイル(挿入状態で約15ミリのネジ深さになる)が入っている。
別売りで1.0Dや0.5Dの商品があるので、ネジ穴が浅い場合や薄板にリコイルしたい際には短い商品を購入しよう。
薄板に挿入したい際には0.5Dも販売されている。
今回使用したリコイルキットはこちら
Webike掲載中のリコイルキット一覧はこちら
ネジ山の補修方法は様々。
ここに紹介するリコイル以外に、ほぼ同タイプの商品も存在する。
リコイルは他の商品と比較して、作業性が良く関連ツールがシンプルなこと。
現在では、数多くの工具ショップが積極的に取り扱っている。
リコイルのようにバネ状の補修コイルを挿入するのではなく、ネジ座全体を挿入する修理ツールもあるが、様々に状況下で臨機応変に使えるリコイルは、実に頼もしい存在だ。
ネジ穴が浅い場合や薄板にリコイルしたい際には短い商品を購入しよう。
・ネジ山の再生で一番安定し、耐久性も申し分ないのがリコイル
・楽だからと思い利用したものの、耐久性が弱く後々面倒なことになることもある
・ネジ強度が必要な個所には初めから恒久対策!!
実作業の手順
キットに同梱される下穴ドリル(10.25ミリ)を使い、ゆるくなったネジ山を削り落とす。
作業前に周辺を切粉で汚さないようにマスキングテープや養生マスカーで周囲を保護しよう。
ドリル作業時は、自分自身でドリルの左右倒れを確認しつつ、誰かに前後の倒れを確認してもらいながら作業進行すると失敗しにくい(下穴が斜めにならない)。
タップ立て角度にも注意。
まっすぐに立てたドリル穴にならい、まっすぐにタップを立てながら押し付けて回し、ネジ山を作っていく。
タップ作業の終了直後はこのような感じに仕上がっている。
あわてて作業するとドリルやタップの切粉が邪魔してリコイル挿入に失敗してしまう。
事前段取りで必要不可欠なのが、ネジ穴内部の掃除。
今回はエアーブローしたが、パーツクリーナーで洗い流しても良い。
今回は市販キットに同梱されているリコイル1.5Dサイズをそのまま利用。
先割れ部分がリコイルのタン部分に引っかかるように(その引っかかりを利用して回す)、挿入治具のストッパーを調整する。
入口部分ではリコイルを押し付け、ネジ山に掛かってスムーズに入り始めたら、あとはゆっくり、押し付けずに回していく。
エンド部分が端面からひと山入ったらタンを同梱棒でたたき切る。
同梱のたたき棒を使ってリコイルの曲がり部分=タン部分を軽く叩くことでタンが折れる。
折れたタン破片はたたき棒先端のマグネットに吸い付けて必ず取り除こう。
・リコイルを挿入する前に必ず作業部分をクリーニング
・汚れたままではスムーズにリコイルを挿入できない
・挿入後はタンを必ず切り取り除去しよう
挿入不足も、挿入し過ぎもダメ
左が挿入不足で右が適正挿入。
左のようにリコイルエンドが飛び出している際には、もう少し回して挿入しよう。
すでに底付しているときには飛び出した部分をプライヤーでつまんでリコイルを引き抜き、リコイルエンドの無駄な分をカットしてから再挿入しよう。
・端面寄りのひと山よりもリコイルエンドが沈むように挿入する
・底付して最後まで入らないときには、入らない巻き数を数えてからプライヤーでリコイルを引き抜き(バネを伸ばすように抜き取る)入らない巻き数分、あらかじめカットしてから再度挿入してみよう
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