ブレーキマスターシリンダー内部のピストンは、レバーやペダルに加えた力に比例したフルードを押し出すための重要な部品です。
ピストン本体とゴム製のカップシールのどちらかが傷めば作動不良やフルード漏れなどのトラブルにつながるため修理が必要。
ピストンを抜くにはCクリップを外しますが、ここで足の長いサークリッププライヤーがあれば、作業が一段とはかどります。

ピストン抜け止めのためのサークリップ。


マスターシリンダーのピストンが手前に抜けないようにセットされたサークリップは、スナップリング、Cクリップとも呼ばれる固定用部品の一種。
リング開口部の小さな穴に専用のプライヤー=サークリッププライヤー先端のピンを差し込んで縮める。
シリンダーの穴が深く、キャリパーピストン中心のロッドが邪魔して通常の穴用サークリッププライヤーが使えない。

マスターシリンダー内部に組み込まれたピストンは、レバーやペダル操作でブレーキフルードを押し出すだけでなく、レバーから手を離した時にはリザーブタンクのダイヤフラムとともにフルードを戻す働きをしています。
そのためピストン奥のリターンスプリングがあり、手前には抜け止め用にサークリップが組み込まれています。

外国製ブランドの一部のマスターシリンダーにはサークリップを使っていないものもありますが、国産車であれば原付からビッグバイクまでサークリップがあるはずです。
このサークリップ、Cクリップと呼ばれることもあるようにアルファベットのCのような形状で、開口部の小さな穴を専用のサークリッププライヤーで摘まんで着脱します。
サークリップには軸用と穴用の二種類があり、マスターシリンダーという穴には穴用サークリップがセットされています。
着脱時のクリップの動きが穴用と軸用では逆になり、穴用プライヤーはニッパやラジオペンチと同様に握ると閉じますが、軸用プライヤーは握ると先端が開くのが特徴です。

ディープな穴にも届く50mmの長足プライヤー。


デイトナから発売されているCクリッププライヤーは、先端部分が50mmもある足長デザインが特徴。
プライヤーの中にはプレスで打ち抜いて製造された製品もあるが、鍛造製法によってスリムながら剛性が高い。


穴用サークリップはフロントフォークのアウターチューブやスプロケットハブなどでも使われますが、とりわけ深い位置にセットされているのがマスターシリンダーのサークリップです。
直径が小さく深い穴の奥のサークリップは通常のプライヤーでは到底届きません。

ピストンの中心にはブレーキレバーに触れるロッドが立っているので、ロングノーズのラジオペンチも干渉してしまいます。
細身のピックツールを穴に引っかけて何とか内径を縮めようとチャレンジしようとする人もいますが、シリンダーやピストンを引っ掻いて傷だらけにしたり、ピックツールを曲げたり折ったりするのが関の山です。

このような場面で重宝するのが、先端部分が細くて長いサークリッププライヤーです。
デイトナから「Cリングプライヤー」の商品名で発売されているプライヤーは、90度に曲げられた先端部がスマートで50mmもあるのが目を引きます。
この先端は長いだけでなく充分な強度もあるので、サークリップの張力にもたわむことなく縮めることができます。
先端とグリップに90度の角度が付いているのは、深い穴にあるサークリップの扱いやすさ、ブレーキマスターシリンダーでの使い勝手を狙ったものです。

Cクリッププライヤーの特徴

・長いだけでなく充分な強度もあるので、サークリップの張力にもたわむことなく縮めることができる
・90度の角度が付いているので、深い穴にあるサークリップも扱いやすい

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狭い隙間に余裕で入る細足に感動。


ピストンはスプリングの張力でサークリップに押しつけられているので、ドライバーやピンポンチなどでピストンを押し込みつつプライヤー先端のピンをサークリップの穴にセットする。
サークリップ溝から外れても、開いたサークリップがシリンダー内壁を傷つける可能性があるので、完全に抜けるまでグリップを緩めないこと。

実際のマスターシリンダーを用いた使い勝手はどうでしょう。
サークリップをセットする部分にはシリンダー全周に幅の狭い溝が掘られており、ここにクリップがピッタリ収まっています。
またピストンはリターンスプリングによってクリップ側に押し戻されているので、この状態でプライヤーを使おうとしても、プライヤー先端のピン部分がサークリップの小穴に入らないこともあります。

そんな時は細いマイナスドライバーやピンポンチなどでピストンを少し押し込み、サークリップに掛かる側圧を取り除くことでプライヤーが掛かりやすくなります。
この状態でグリップを握れば、サークリップが縮んで溝から外れて手前に引き抜くことができますが、広がろうとするサークリップでシリンダー内壁を傷つけないために、溝から抜けてもプライヤーの握りを緩めず引き出すことが重要です。
外したサークリップに触れると片面の外周は端部が鋭く、反対面は角が丸くなっているので、復元する際は外周が鋭い側が外に向くようにセットするのが作業上のポイントです。
足長タイプのサークリッププライヤーは出番が限られますが、ディスクブレーキ車のメンテナンスでは欠かせないアイテムなので、マスターシリンダーのピストン部を確認してサークリップが深いタイプであれば用意しておくと良いでしょう。

深い穴の奥に届く足長サークリッププライヤーはマスターシリンダーOHの必需品

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