
DIYペイントを経験して、イイ感じの仕上がりを得られると「ペイントって楽しい!!」と、誰もが思うようになりますよね!?それは我々、編集スタッフも同様であります。過去には何度も失敗を経験しているので、次こそは「環境の改善」で、確実に良い仕上がりを得てみたい!!と考えるのは当然だろう。作業現場の見た目が悪くても、ペイント部品の仕上がりが良くなれば、それはOK!!我々サンデーメカニックは、そう思ったりしてます。
ブルーシートで覆った即席ペイントブース
ホイールを吊り下げる場所がガラス引き戸のフレーム枠だったので、ペイント作業者のポジション=立ち位置を基準にペイントブースのようなものをセットアップしていったらこのようになってしまった。エリア確保のためにオーニング(入口の日除け)を利用して、ブルーシートでまわりを囲ってみた。ブルーシートは眼がチカチカすりので、半透明の作業用シートの方が良いようだ。集合住宅用の換気扇を使って排気ダクトにしたが、ダクトホースエンドに切り込みを入れて、水を張ったバケツの中に差し込んで、ペイントミストとシンナーの臭いを可能な限り吸い寄せてみようと考えた。想定したとおりになってくれると嬉しいが……。
自家製「換気扇ブース」を応用利用
集合住宅の台所用レンジフード(換気扇)改によって、小物部品のペイントは確実に楽しめるようになったが、さすがに大型部品のペイントともなると、これまでのような作業手順ではうまくいかない。そこでダンボールダクトを追加し今回のような作業に。小型のバケツに排気ダクトを突っ込み、三角切り込み部分の2/3くらいが沈むように水道水を流し込む。要するに、レンジファンから吐き出されるペイントミストや臭いを水にぶつけてミスト吸着させてみようと考えた。土のう袋でバケツとダクトを覆い、大気開放された排気を土のう袋フィルターで可能な限りクリーンにしてみた。キャストホイールのペイントにはガソリンやパーツクリーナーなどの溶剤に対して強いデイトナ製の耐ガソリン性2液ウレタン缶スプレーを利用。サンドブラスト後に600番のサンドペーパーで表面を耐水研磨し、洗浄乾燥後に再度脱脂して仕上げ色を直接吹き付けた。下地作りをしっかり行ったので塗膜の喰いつきは上々のようだ。2液ウレタン仕上げなので溶剤やガソリンに強いのが絶対的に良い!!艶消し黒といっても、半艶仕上がりだ。ホイールの吊り方は、エアーバルブ穴に番線を通してS字フックへ引っ掛け行った。
外せるエンジン部品は焼き付けペイント
簡易ペイントブースながらエンジンカバー類をDIYペイントで仕上げることに。クランクケースカバーはもちろん、ヘッドカバーやオイルパンなどなど、エンジン搭載状態で取り外すことができる各種カバー類はすべて取り外して脱脂洗浄した。
サンドブラストで効率良く剥離
脱脂洗浄後、サンドブラストにて旧ペイントの剥離とパーツ表面に足付けを行なった。ピックアップカバーとオルタネータカバーには「Kawasaki」ロゴが入るが、鋳物ロゴの周辺は旧ペイントを剥がし難いもの。しかし、サンドブラスト後にワイヤーブラシで磨いたら、このようにきれいに旧ペイントを剥離することができた。
自家製ペイントもいろいろある
クランクケース側の各種カバー類にはカーベックが取り扱うガンコートのコールド系カラーをチョイス。ガンコート色の正式名称は、ブライトブラスと呼ばれている。ドライブスプロケットカバーのみガンコートのサテンブラック(8分艶仕上げ)でペイントした。ペイント後の高温乾燥にはカーベックが取り扱う温風循環乾燥機CV-600を利用。ヘッドカバー以外のパーツは、すべて小型のCVジュニアでも焼き付け乾燥できたが、大型乾燥機で一気に同時に終わらせた。
結晶塗装専用の缶スプレー
ヘッドカバーにどのようなアクセントを付けようか最後まで悩んだが、今回は「結晶塗装」のブラックをチョイスした。タレないギリギリまで塗り重ねて、ある程度=30分程度自然乾燥させてから高温乾燥させるのが成功へのコツのようだ。
小物部品の焼き付け乾燥にはCVジュニア
クランクケースカバーやスプロケットカバー、旧モンキー系4ミニエンジンならクランクケースサイズでも乾燥室内に収めて作業進行することができる高温焼き付け乾燥器がカーベックのCVジュニア。電源は家庭用コンセントの100V仕様。使い勝手は良好だ。
取材協力/カーベック(ガンコート・CVジュニア発売元) www.carvek.jp
こんなペイント専用ブースもある
取材先で見かけた小物部品専用サイズのペイントブース(サイズ的には2畳サイズ)。撮影時は、カワサキZ1クランクケースのペイント段取りが進められていた。厚手のビニール製カーテンを引いて閉じることでペイントブース空間が完成する。排気ダクトの処理さえきっちり行なえば、満足度が高いペイント環境を得ることができる。ペイント台はネット状になっていて、フィルターを介して排気ダクトへ導かれる。正面のネットにもフィルターが仕込まれていることから、フィルター&排気容量はかなり大きい。本体フレームに沿って自在に動かすことができる赤外線ヒーターは魅力的な装備だ。パーツをプリヒートしてペイントの密着を良くでき、ペイントの垂れ防止に効果的な使い方ができる。排気ダクトへ導くシロッコファンは、リニアに回転数を設定変更できる。もっともっと簡易的なペイントブースが市販されると良いのだが。
- ポイント1・ちょっとの配慮でペイント環境は改善する
- ポイント2・ペイント環境の改善で、ペイントの仕上がりは断然良くなる!!
- ポイント3・ 小物部品なら専用の高温乾燥器で美しい焼き付けペイントも可能
数年前から妄想していた簡易ペイントブースを自作してみた。ペイント機会がある都度、即席で組み立て、自分なりにペイント実践を繰り返し、使わないときにはガレージの棚の上に仕舞える作りにしてみた。ときには他人が使っている様子を見て、ペイントミストやシンナー臭がどのように流れていくのか? その様子も観察している。
ここでは、カワサキW650に装着しようと準備していた、カワサキ純正7本スポークデザインのキャストホイールのペイントを実践してみた。このホイールは、サンドブラスト専門工房で段取り作業が行われ、旧ペイントはすべて剥がされた状況で持ち込まれた。作業当日は、600番の耐水研磨紙で全体を磨き、さらにママレモン+スポンジでホイール表面をしっかり洗い流し、完全乾燥後にペイント作業へ進行した。段取りベースで考えれば、晴れた日が良いに決まっているが、季節によっては「高温多湿な日」もあるため、そんな日の作業は避けたいもの。高温多湿な日に作業すると、吹き付けと同時にシンナーがフッ飛び、顔料がささくれ状態になってザラザラ表面になってしまうことがある。また、真夏だと気温が30℃オーバーは当たり前なので、どちらかと言えば晩秋から冬、そして春先の乾燥したシーズンがペイントには向いている。
デイトナ製の耐ガソリンペイント「つや消し黒」を利用して作業進行。アルミ地肌のキャストホイールは、作業進行によって序々に黒く染まっていった。気温が高い中で塗るとムラが出易いので要注意。吹き付け時は、全体的に薄く薄く何度も塗り重ねるように仕上げ、最後にやや厚めに塗料が垂れないよう仕上げ、前後2本のキャストホイールを塗り終えることができた。
作業の一部始終を客観的に見ていて感じたことは、小型簡易ブースは、完全に「役立たず」だった!?ようだ。要するに、ホイールのような大物部品をペイントするには、もっと広い作業環境が間違いなく必要である。レンジファンによって吸い込まれたミストやシンナー臭は、蛇腹ダクト内を通過してバケツフィルター!?を通過した後に大気開放したが、ガラス引き戸のすぐ横で開放したので、シンナー臭が風に流されたてガレージ内へ……。一方で、ペイントミストはレンジフィルターとバケツフィルターがしっかり除去吸着してくれていることを確認することができた。
取材先で見つけた「小型ペイントブース」は、あくまでプロユース用。ペイント後はカーテン内部でヒーターを作動させ、強制乾燥できる仕様となっていた。自動車鈑金工場で似たようなペイントブースを見たことがあるが、そんな機器を見た時に思いついたのが、ビニールハウスを改造したペイントブースだった。過去にはサイクルポートを使ってペイント実践したことがあるが、空気の流れを考えずに作業したため、サイクルハウス内はペイントミストがこもり、作業後の地面は顔料だらけに……。ペイント前の地面に打ち水することと掃除機ノズルをハウス内に突っ込むことで、内部で浮遊するミストはかなり集塵できることが後々わかった。アイデアを具現化することで、間違いなく作業環境は良くなるもの。色々チャレンジしてみよう。
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