
GSX-R1000譲りの水冷4気筒エンジンを、ストリートファイター風デザインの車体に搭載したGSX-S1000。
アップハンドルのポジションは街中やツーリングで快適ですが、いざスロットルを大きく開ければ10000rpmで最高出力109kwを発生するエンジンが本領を発揮します。
6000kmごとのオイル交換と1万8000kmごとのオイルフィルター交換で、高性能エンジンを快調に楽しもう。
目次
1.高回転高出力エンジンだからこそ、エンジンオイルの管理が重要
GSX-S1000や新型カタナのエンジンは、現行型GSX-R1000よりボアが小さくロングストローク傾向のK5/K6型GSX-R1000をベースに、より実用域での力強さをアピールしたセッティングとなっているのが特徴です。
排気量やカテゴリーを問わず、すべてのエンジンにとってエンジンオイルはきわめて重要な存在で、 潤滑や冷却、密封や防錆などいくつもの役割を果たしています。
エンジンオイルの役割
エンジンオイルの役割 | |
---|---|
潤滑 | エンジン内の金属を滑らかに動かす |
密封 | エンジンの密封を保つ |
冷却 | 発生した熱の吸収と冷却 |
洗浄 | エンジン内部に付着する汚れを落とす ※使用済みオイルが無い理由 |
防錆 | エンジン内部に油膜を作り錆びを防止 |
ピストンやカムシャフトやバルブなど、エンジン内部では数多くの部品が働いていますが、エンジンオイルも同様にエンジン部品のひとつであると喩えられることがあります。
特に高出力を発生する高性能エンジンにとっては、エンジン回転数が高い領域でも油膜性能が持続することが必要です。
ここで紹介するスズキGSX-S1000は、スーパースポーツモデルであるGSX-R1000(K5/K6)用エンジンをベースに、街乗りやツーリング向けのチューニングを施して搭載しています。
とはいえ109kwの最高出力を発生する際のエンジン回転数が10000rpmと高回転型なのはGSX-R1000譲りであり、オイルの管理が重要なのは間違いありません。
取扱説明書によれば、エンジンオイルの交換時期は初回が1ヶ月または1000km、それ以降は6000kmまたは1年ごとと指示されています。
またオイルフィルターの交換時期は初回が1ヶ月または1000km、それ以降は1万8000kmごととなっています。
1000ccで1万回転まで回る高性能エンジンとはいえ、冷却系は温度管理に優れた水冷であり、燃料供給もフューエルインジェクションを採用しているため、空冷キャブレター時代のビッグバイクに比べて冷間温間時のピストンクリアランス変動が少なく、したがってブローバイガスによるオイル汚損もある程度コントロールできるのでしょう。
そうはいっても、冷間で始動してチョイ乗りが多い、油温が高くなりがちな夏場の渋滞路走行が多いといった乗り方によってオイルの劣化状況は変動するので、状況に合わせて指定距離よりも短いタイミングで交換することで、より長くエンジンの好調さを持続できるという安心感が生まれるのもユーザー心理としては事実でしょう。
・高回転型エンジンはオイル管理が重要
・エンジンオイルの交換時期は初回が1ヶ月または1000km、それ以降は6000kmまたは1年ごと
・オイルフィルターの交換時期は初回が1ヶ月または1000km、それ以降は1万8000kmごと
2.オイルパンに横向き、前向きに付くドレンボルトは新型カタナと共通
- V字断面のオイルパン形状により、ドレンボルトは進行方向に向いて取り付けられている。着脱時は力をしっかり伝達できるメガネレンチを使おう。
- ドレンボルトがオイルパンの底部にあるため、古いエンジンオイルが残留せずしっかり排出できる。廃油受けはドレンボルトよりかなり前方に置く。
- 金属系のスラッジをキャッチできるよう、ドレンボルトにはマグネットがセットされている。復元前にパーツクリーナーで洗浄して、ガスケットも新品に交換する。
オイルドレンボルトはエンジンの中でも最も低い位置にセットされていますが、GSX-S1000のドレンボルトはオイルパンの前方に横向きに付いているのが特徴です。
深いバンク角を実現しながらオイルポンプの吸い上げ能力を確保し、なおかつ大きな純正マフラーを配置するためにレイアウトをせめぎ合った結果と思われますが、実はこの前向きドレンボルトは新型カタナも同様です。
そもそも新型カタナはこのGSX-S1000をベースに開発されているので、当然と言えば当然ですが。
エンジンオイルを抜くには、エンジンが暖まりオイルの粘度が低下した状態で行うのがベストですが、走行直後は油温が90℃近くまで上昇していることがあるので、しばらく待ってから作業すると良いでしょう。
ドレンボルトにメガネレンチを掛ける際、下向きより横向きの方がボルトを目視できる分、ボルトの頭をなめるリスクが低いのは確かです。
しかしスパナやモンキーレンチなど、ボルトと2面でしか接触しない工具ではなく、メガネレンチやソケット工具を使って行いましょう。
前向きで横向きのドレンボルトを外すと、当然ながらオイルは前方に排出されるので、廃油受けはエンジンの真下よりも前方にセットするのがポイントです。
オイルパンの底部がV字状になったGSX-S1000は、オイルパンが平らなエンジンよりオイルの抜けが良好で、ドレンボルトを外した状態で車体を左右に傾けたり前後に揺すっても追加で排出される分はかなり少ないようです。
オイル交換時にはできるだけ古いオイルは残したくないのが心情ですから、その点でもかなり優秀と言えるでしょう。
・ドレンボルトはオイルパンの前方に横向きに付いている。
・オイルパンの底部がV字状になったGSX-S1000はオイル抜け良好
3.オイルフィルターの着脱は専用のカップレンチを付けて行う。
- エキパイとの干渉を避けながらオイルフィルターを取り外すため、アンダーカウルとともにエンジン右側の冷却水リザーバータンクを取り外す。
- オイルフィルターにカップ状のフィルターレンチをセットして、メガネレンチでフィルターを緩める。Oリングが密着している間の抵抗がなくなれば、手で軽く回して取り外すことができる。
- エンジンとオイルフィルターの両方から内部に溜まったオイルが流れ出して、マフラーの集合部に滴り落ちる。マフラーの油分を除去するにはパーツクリーナーをスプレーしなくてはならないので、あらかじめウエスを敷いておこう。
オイルフィルターの底部にはフィルターとは別に円筒形の部品がありますが、これはハイパフォーマンス系エンジンに多い水冷式オイルクーラーです。
筒の内部にはエンジンを冷却するクーラントが流れ、熱交換器を介してエンジンオイルと接する事で油温を管理しています。
オイルフィルターを外すにはフィルターレンチ、カップレンチと呼ばれる金属製の工具を使用します。
フィルター自体はエキパイの曲線の間から確認できますが、カップレンチをかぶせるとエキパイとの間のクリアランスが小さくなるので、エンジンサイドからメガネレンチで回すと良いでしょう。
またオイルフィルターを外すと、オイルラインに残ったオイルが流れ出してマフラーに掛かるので、あらかじめウエスを置いておくとマフラーを汚さずに済みます。
オイルフィルターを取り付ける際は、Oリングにエンジンオイルやグリスを薄く塗っておくことで、水冷式オイルフィルターとの接触面でゴムが食いついてねじれることがなく、なおかつ接触面で滑ることで適正な締め付けトルクが得られます。
4.オイルは多すぎても少なすぎてもNG! 適正量は点検窓で確認しよう。
- エンジンオイルはいきなり規定量を入れることはせず、ある程度注入したら点検窓出確認して、不足しているようなら追加する。
- サイドスタンドでは車体が左に傾き、見かけ上のオイル油面が下がって正しくないため、点検窓を確認する際は車体を垂直にする。
取扱説明書によれば、オイル交換時は2.8リットル、フィルターも交換する際は3.4リットルとなっており、確かにクランクケース右側の点検窓の横には2800mlと刻印されています。GSX-S1000のオイルパンは残留オイルが少ない形状であることは、先に述べたとおりですが、それでもエンジン内部には若干のオイルが残っているかもしれません。
もちろん、交換時の所要量は残留分を見越した容量になっていると思われますが、点検窓のオイルレベルによって判断するのがベターです。
そのためには、最初から定められた容量すべてを入れてしまうのではなく、2.8リットル中2.6リットルを入れた段階で車体を垂直に立てて、点検窓に表れる油面を確認します。
常温のオイルは粘度が高いため、注入直後には正しい油面を示さないこともあるので、しばらく待ってから確認します。
またオイルフィルターを外した場合は、3.4リットルのうち3.3リットルを入れたら一度エンジンを始動して、新しいフィルターにオイルを循環させるのも効果的です。
規定量より若干少ない状態で点検窓を確認して、下限のL線(ロアレベル)と上限のF線(アッパーレベル)の間に油面が入るように微調整を行います。
この時に油膜切れが心配だからといってアッパーレベル以上にすると、クランクケースブリーザーからオイルミストを吹きやすくなったり、クランクケース内圧が上昇する原因となるばかりなので、ロアレベルを上回っていれば充分です。
エンジンオイル漏れや過不足は大きなトラブルの原因となるため慎重さは必要ですが、作業自体はさほど難しいものではないので、自分でやってみたいというバイクユーザーは一度チャレンジしてみることをおすすめします。
誰もが実感できるオイル交換の効果。高性能モデルだからこそ定期的なメンテナンスを実践したい。
すべてのバイクにとって欠かせないエンジンオイル交換。
スムーズな乗り心地とエンジン内部パーツの保護のためチェックと交換は定期的に行おう。
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