
ウインカーを出したつもりなのに点滅が不安定だったり、ホーンを鳴らそうとしたときに、ボタンを押しても「ピピーッ!!」っと元気良く音が轟かず……といったトラブルもあるが、明るく照らしてほしい「ヘッドライト」暗いのは、ライダーにとってはもっとも対策したい部分だろう。ここでは、アース回路をダイレクト化することで、ヘッドライド輝度=明るさが様変わりした一例をリポートしよう。
90年代以前車はボディアースのみが多い
バッテリーのマイナスターミナル部分へアーシング端子を集中させてしまうと、バッテリーの脱着時やメンテナンス時に面倒なことになる。また、何本ものケーブルがバッテリーターミナルに直接締め付けられていると、締め付けボルトに負荷がかかって緩みやすいので集中締結は良くない。アーシング回路を追加したときには、エンジンヤフレームの締め付け座へ集中的に締め付け、その1本をバッテリー端子とシリーズ接続にするのがベストだ。
アース強化で電気回路がイキイキする!?
対策部品のレギュレーターレクチファイアに交換されていたが、専用のアースコードはアース端子台に締め付けられ、確実に処理されていた。このアースコードを正しく処理せず適当に締め付け、塗膜問題でレギュレーターをパンクさせている実例は多いようだ。旧車のレストア時は要注意。ヘッドライトバルブにはH4のストレート端子が使われていた。旗型端子のスペアはあったが、H4バルブ用の大型ストレート端子のスペアが無かったので、今回は既存のアース線に割り込ませる回路でバッテリーへダイレクトアースを接続することにした。
DIYで自作アース回路も構築可能
カワサキ車へのアーシング追加なので、アースコード線色は黒に黄線がベスト。しかし、同色で太いコードが手元に無かったので、ここでは黒色で太さは2.0SQのコードを利用した。このコードでヘッドライトのアース回路に割り込ませてダイレクトアースとしてみよう。ヘッドライトバルブの配線3本は、スイッチのハイ/ロー切り替えとつながる2本とアース1本の合計3本だ。エンジン側のアースターミナルがM6ボルトで締め付けられていたため、M6ボルト用の丸型ギボシ端子を使ってコードエンドにカシメてみた。カシメ前に収縮チューブを通し、フレーム取り回し部の保護とした。太いエンジンマウントボルトと共締めにする例もあるが、カワサキ空冷Zシリーズの場合はエンジンマウント下部分にエンジンアースとして使うためのターミナル端子台がある。確実に締め付け、作業は終了。
ダイレクトアースの追加で明らかな効果

【作業前】

【作業後】
【作業前】
メインハーネスがリプロダクションパーツの新品部品に交換されていたことで、確実に通電状況は良くなっている。しかし、工場出荷当時の車両に取り付けられたメーカー純正メインハーネスのままでは、通電状況が減衰しているのが普通だろう。やはり作業後には効果が見られた。
【作業後】
撮影時のISO感度、シャッター速度、露出(絞り)を同一データのままで比較撮影したところ、ダイレクトアースによってヘッドライトは確実に明るくなった。仮に、メインハーネスが当時物純正部品のままだったとしたら、ならさらなる違いが出たはずだ。
- ポイント1・電気回路の成立に重要なアース回路だからこそ強化しよう
- ポイント2・キットパーツの購入とDIY自作もできる
- ポイント3・ヘッドライトのアースィングは効果が大きい!!
一時期、アーシングカスタムが大流行したことがあった。その理由はズバリ「効果が認められた」ケースが多かったからである。ある一定程度までは、確実な効果を得られるのがアーシングだが、過度に施しても、より一層の効果を得られないのが、アーシングの特徴でもある。
以前の出来事だが、カワサキGPz900R国内ニンジャの点火系パーツにダイレクトアースを行なったことがある。そのときの変貌ぶりは顕著だった。作業内容は、点火系各パーツのアース結線をバイパス回路でダイレクト化してみたのだ。マシンオーナーによれば、パーシャル状態からの追い越し加速時に、その違いが大きく変化したそうだ。
以前ならシフトダウンしつつ追い越し加速していたところでも、シフトダウンせずに「スロットル操作のみで加速力が確実に増した」そうだ。特に、渋滞まじりの市街地走行では、その違いが大きかったらしい。アース回路がスムーズになったことで、点火回路の通電状況が改善され、スパークプラグの着火力が強くなったのだろう。
トルクアップに大きく貢献するのが「着火力の向上」である。高性能プラグキャップなどの商品もあるが、いずれにしてもそれらは「着火力の向上」を狙ったパーツである。アース回路の見直しで着火力強化を得られるのだから、施さない手は無いだろう。
ここでは、薄暗く感じたヘッドライトのアース回路を「ダイレクト化」すことで、ヘッドライトの光量アップを図ってみた。車検時に光量不足を指摘される機会が多い旧車には、超お勧めの対策でもある。その結果は、【作業前】【作業後】の写真通りだ。仮に、この電気回路にヘッドライトブースタなどのリレーキットを追加装着すれば、バッテリー電源の入力系回路がより高効率化され、より一層ヘッドライトが明るくなるはずだ。
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