ブレーキローターやパッド表面への油分付着が厳禁なのは常識ですが、不快なブレーキ鳴きを防止するには適材適所のグリスアップが必要です。

パッド交換時はもちろん定期的にチェックとグリスアップを行うことで、パッドとローターの共鳴が抑制されて異音や違和感のな快適なブレーキフィーリングを維持できます。

パッドとローターの「馴染みの悪さ」が鳴きの一因

摩耗したブレーキパッドを新品に交換したのに、ブレーキレバーを軽く握るとキーキーと異音が出て驚いたことはありませんか?

ブレーキが鳴く一因として「ブレーキローターと新品パッドの当たりの悪さ」が考えられます。

パッドによって削られたブレーキローターの表面は、大なり小なり摩耗して凹凸になったり筋状の傷が入っており、これまで使ってきたパッドの表面もローター表面の形状に合わせて摩耗しています。

ところがここで、パッドだけを表面が真っ平らな新品に交換すると、ローターと馴染んでいないため全体が均一に接触しません。

そのためブレーキング時に発生した振動がローターに伝わって耳障りな鳴き音となるのです。



パッドが摩耗してせり出したキャリパーピストンの外周には、パッド粉などの汚れが付着します。

新品パッドを装着する際は、ピストン周辺を洗浄してから押し戻そう。

専用のピストンツールを使えば、ピストンをこじったり傷つけることなく真っ直ぐ押し戻すことができます。

 

▼パッド交換時にキャリパーピストンを押し戻す専用工具▼

 

POINT

・ブレーキの不快な鳴きはパッドとディスクの当たりの悪さが要因

・特に新品のパッドは摩耗したディスクと均一に接触しないため異音が出やすい

 

パッドの振動を吸収してくれるパッドグリス

ブレーキ鳴きを低減させる有効な手段が、パッドの裏面に専用グリスを塗布することです。

パッドの表面がローターに馴染むまで振動は発生しますが、パッドの裏側に塗ったグリスがキャリパーピストンとの間に干渉膜を形成し、振動を吸収するのです。

もちろん、パッド表面にグリスが付着すると制動力が低下してとても危険なので、パッド裏側に使うのはブレーキ専用のパッドグリスです。

ここで使用しているデイトナ製のブレーキグリスは、スプレータイプで乾燥も早いので、ムラなく塗布できすぐに組み立てが可能です。



▲ペーストタイプの製品と比べて、均一に塗布できるスプレータイプのブレーキグリス。

表面に付着しないよう、裏向きに置いてスプレーしよう。

 

 

ペーストタイプのパッドグリスを使用する場合は、キャリパーピストンとの接触部分を中心に塗布します。

パッドの裏側だけでなく、リテーナーと呼ばれる薄い金属を曲げた部品とパッドの接触部分にも、グリスを塗布することで振動による異音を抑制できます。

パッドグリスを使用する際は、くれぐれもローターとパッド表面への付着に注意して、付着した場合は強力なパーツクリーナーで完全に脱脂洗浄して下さい。

また、貫通タイプのピンでパッドを固定しているキャリパーは、パッドピンの表面にもグリスを薄く塗布しておきます。



ブレーキパッドの位置を決めるパッドピンの段差や潤滑不足により、パッドの動きが悪くなりブレーキ鳴きの一因となります。

不織布などでピンの表面をならし、パッドグリスを薄く塗布して組み付けよう。

 

POINT

・鳴きを低減するには専用のグリスを使用するのが簡単

・パッド裏面にグリスを塗布することで振動を吸収、鳴きが改善される

・パッドだけでなくリテーナーやパッドピンに塗布するのも効果的

 

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