
エンジンの駆動力を後輪に伝えるドライブチェーンは、自転車時代から使われてきた歴史のある動力伝達手段です。
スーパーカブから世界最高峰のMOTO GPマシンまで大半のバイクが採用するチェーンにはメンテナンスが欠かせません。
定期的な洗浄と注油で、燃費向上やチェーン寿命の延長につなげよう。
目次
チェーンの洗浄と注油は走行500kmごと、または雨天走行後
▲ チェーンの汚れにはチェーンクリーナーを使うのが定番。だが粘土のように堆積したオイル汚れには、ゴムシールにダメージを与えない浸透潤滑剤も効果的だ。
加速時のトルクで引っ張られ、減速時のバックトルクでもまた引っ張られるドライブチェーンには、常時大きな力が掛かり続けています。
1970年代後半以降にピンとブッシュの間に潤滑用グリスが封入したシールチェーンが登場してからは、耐久性も大幅に向上しています。
シールチェーンによってチェーン自体のライフが長くなったのは確かですが、チェーン自体のメンテナンスが不要になったわけではありません。
チェーン内部のピンとブッシュの隙間はグリスで潤滑しますが、スプロケットの歯と接するローラーの間、ローラーとブッシュの間、チェーン両側のリンクプレートに挟まれたゴム製のシー
ルに関しては適宜洗浄を行い、外部から油分を与えることが必要です。
チェーンメーカーによれば、洗浄と注油は走行500kmごと、または雨天走行後に行うことを指定しています。
「エンジンオイルは入っていないけど、たぶんエンジンは壊れないだろう」などと考えるライダーはいないはず。
「シールチェーンだから、もっと走っても平気だよ」と思う方もいるでしょうが、スプロケットとローラーの間に油分が無ければ、金属同士がダイレクトにこすれ合って摩耗が進んでしまいます。
そうした事態を防ぐためにも、チェーンのメンテナンスは不可欠なのです。
・スプロケットとローラー、ローラーとブッシュ、チェーン両側のシールは注油が必要
・洗浄と注油は走行500kmごと、または雨天走行後に行う
・チェーンの摩耗を遅らせるためにもメンテナンスは不可欠
洗浄はゴムシールを痛めないクリーナーで行う
▲チェーンクリーナーや浸透潤滑剤で汚れを浮かせたら、チェーン洗浄用ブラシや歯ブラシで汚れをこすり落としてウエスで拭き取る。汚れの上にチェーンオイルを塗布しても浸透しないため、効果は限定的。
走行中の埃や砂利、雨天走行後ならば巻き上げられた水分なども加わって、チェーンとスプロケットの表面には汚れが付着しています。
チェーンオイルを塗り重ねることで、油分自体が堆積している場合もあります。
汚れた油分は埃や砂利を取り込み、それ自体がコンパウンドのような作用をもたらすこともあるため、メンテナンス時には洗浄が重要です。
シールチェーンの場合はゴムシールにダメージを与えないクリーナーを選びましょう。
粘度の高い汚れを落とすことを優先してゴムを膨潤させる灯油などを用いることなく、チェーン用に開発されたクリーナーや、ゴムを冒さないケミカルを使用します。
ここでは強力な浸透性と潤滑性能、ゴムを膨潤させない浸透潤滑スプレーを用いて、狭い隙間に入り込んだ汚れを浮き上がらせた後にブラシで除去しています。
チェーンクリーナーはこちら
・メンテナンス時には洗浄が重要
・チェーン用に開発されたクリーナーがオススメ(灯油は✖)
・狭い隙間に入った汚れはブラシで取り除く
低粘度のチェーンオイルでフリクションロスを低減できる
▲スプロケットと接触するローラーは要潤滑ポイント。さらにローラーの内側のブッシュとの接触面にも油分が必要なので、たとえシールチェーンであってもチェーンオイルは欠かせない。
洗浄が終わったら注油となりますが、やみくもにスプレーすると新たな汚れの原因になるばかりなので、必要な潤滑ポイントを狙うことが重要です。
チェーンの構造上、潤滑が必要なのは金属同士が直接接しているスプロケットとローラー、ローラーとブッシュの2カ所に加えて、ひょうたん型の2枚のプレートに挟まれた左右のゴムシール部分となります。
ゴムシールに帯する適度な油分は、プレートとゴムの間に生じる抵抗の減少と、ゴムシールの摩耗低減に有益なのです。
ただし洗浄と同様に、使用するケミカルはゴムに悪影響を与えないことが大前提となるため、裏付けが取れない場合はチェーンメーカー製のオイルを選択するのが無難です。
チェーンオイルがどれだけ高性能でも、チェーンは常に露天にさらされているため潤活力の持続性には限界があります。
そのためチェーンメーカーが指定する距離を走ったら、また水分や汚れが付着した際にはそのまま放置せず洗浄と注油を行うことが重要なのです。
チェーンのメンテナンスは、チェーンの自体の温度が上がる走行後に洗浄と注油を行うことでケミカルが深く浸透するため、作業効率がアップします。
チェーンオイル・ルブはこちら
・チェーンへの注油は必要な潤滑ポイントだけを狙う
・メーカー指定のタイミングで洗浄と注油を行うことが重要
・チェーンの温度が上がる走行直後はケミカルが深く浸透する
シールチェーンにも注油は必要。定期的なメンテナンスで寿命を延ばそう。
金属同士がダイレクトに接するチェーンとスプロケットには適度な油分が不可欠です。
シールチェーン、ノンシールチェーンを問わず洗浄と注油は習慣的に行おう。
・洗浄と注油は走行500kmごと、または雨天走行後に行う
・メンテナンス時には洗浄が重要
・チェーンへの注油は必要な潤滑ポイントだけを狙う
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