
エンジンオイルはエンジン内部の潤滑や冷却を行いながら、その一方でエンジン内部に発生するスラッジや摩耗粉、ゴミなどを運びます。それらの異物を除去するパーツがオイルフィルターです。
オイルフィルターにはクランクケースに内蔵するものと、外部に装着するカートリッジタイプの2種類があり、SR400はクランクケース右側に内蔵式を採用しており、カバーのOリングに注意すれば簡単に交換できます。
▲SR400のオイルフィルターはエンジン右側に入っている。
その他にはクランクケースの前側、エンジン下部に組み込まれている機種もある。
目次
SR400のフィルターはオイル交換3回につき1回交換
▲オイルフィルターのろ紙は、ゴミや異物をキャッチする面積を増やす目的で蛇腹状に折りたたまれている。
フィルター交換時には大小のOリングも同時に交換しよう。
エンジン内部の隅々にまで行き渡るエンジンオイルは、シリンダーヘッドやシリンダーで高温にさらされ、ミッションのギアで強くこすり合わされるなど過酷な条件で仕事をしています。
そんな仕事の過程で発生した汚れを回収するのがオイルフィルターです。
エンジンオイルと同様に、走行距離や使用期間に応じて交換しますが、その交換スパンは機種によって異なります。
SR400の場合、オイル交換は3000km走行または1年ごと、オイルフィルターは9000kmごとと指定されています。
つまりフィルターは、オイル交換3回に1回交換するというわけです。
フィルターをくぐらせて不純物を取り除くオイルフィルターエレメントは、表面積を増やして圧力損失を低下させるために蛇腹状に折られたろ紙が用いられることが多く、エレメント自体をエンジン内部に収める内蔵タイプと、エレメントを金属製のケースに収めてエンジン外部に固定するカートリッジタイプに分類されます。
ここで紹介しているヤマハSR400の場合、エンジン右側のクランクケースカバーの一部がオイルフィルターハウジングとなっており、3本のボルトで固定されたカバーの奥に内蔵タイプのオイルフィルターがあります。
・潤滑中に発生したエンジンオイルの汚れを回収するのがオイルフィルター
・機種ごとに決められた走行距離や使用期間に応じて交換
・SR400の場合は9000km走行ごと、オイル交換3回に1回交換
フィルターカバー固定ボルトの1本にはオイルが通る
▲フィルターカバー下部のボルトを外すと、エンジンオイルが流れ出してくるが異状ではない。このオイルを受けるため、マフラーにウエスや段ボールでカバーすると良い。
さて、メーカーが9000kmごとの交換を指定しているSR400のオイルフィルターを取り外すにはクランクケース右側、フィルターカバーを固定している3本のキャップボルト(六角穴付きボルト)を外します。
この3本のうち、下側のボルトを外すとエンジンオイルが流れ出しますが、これは故障やトラブルでは無く正常です。
あらかじめボルトの下のマフラー部分にウエスを突っ込んでおけば、流れ出たオイルによる汚れも防止できます。
オイルフィルターを定期交換しないとどうなるか
オイルフィルターを定期交換しないとどうなるか? ということですが、それはエンジンオイルを正しく交換しているか否かで結末は異なります。
エンジンオイルの中には、汚れが一カ所に固まらないようにする清浄分散成分が含まれています。
そのためメーカーが指定する期間でオイル交換をしていれば、フィルターを詰まらせるほどの汚れはそう滅多に発生しないと言われています。
しかしオイル交換をサボったまま走り続けて、清浄分散成分の能力を超えるほどにオイルが汚れると、カーボンやスラッジといった固形成分が生成されてフィルターの表面に付着します。
その症状が進行して汚れが増えれば、フィルターの濾過性能はさらに低下するという悪循環に陥り、最終的にはエンジン内部の潤滑不良というトラブルを引き起こす危険性につながるのです。
ですから、オイルフィルターの心配も必要ですが、それ以前にまずはエンジンオイルの管理とメンテナンスをしっかり行うことを心がけたいものです。
・エンジンオイルには、汚れが一カ所に固まらないようにする清浄分散成分が含まれている
・メーカー指定の期間でオイル交換をしていればフィルターを詰まらせる汚れは滅多に発生しない
・オイル交換をサボると最終的にエンジン内部の潤滑不良を起こす危険性がある
・エンジンオイルの管理とメンテナンスが重要
フィルターカバーのOリングも交換しよう
▲フィルターを外したら、金属片やカーボンスラッジなどの異物の有無を確認する。またエンジン側のフィルターケース下部の汚れも拭き取っておく。
3本のキャップボルトを外すと、フィルターカバーと共に内蔵タイプのオイルフィルターを取り出すことができます。
それらと同時にフィルターを収めるハウジング内に残ったエンジンオイルも流れ出すので、ウエスで拭き取っておきましょう。
取り外したフィルターのろ紙部分に黒いカーボンスラッジや光沢のある金属片などが付着していないかの確認も重要です。
特にキラキラと輝く金属粉や金属片がある場合、今現在は異音などの具体的症状がなくても、エンジン内部でパーツが削れている証拠なので本格的な点検を行いましょう。
円柱状のオイルフィルターの端面は、片側には穴が明いており、もう一方は穴がありません。
気になる異変が無くオイルフィルターを新品に交換する際は、穴が明いた方をエンジン側に向けて挿入します。
フィルターカバーとエンジンの間には大小2個のOリングがセットされていますが、フィルター交換時にはこのOリングも合わせて交換します。
新品のOリングの断面は丸いですが、リング溝にはまった状態でエンジンの熱を受けながら長い間置かれると、変形したうえに弾力性が低下してしまいます。
するとエンジンとフィルターカバーの隙間からオイルが漏れるリスクがあるのです。
またフィルターカバーにOリングを取り付ける際には、リング溝からずれないように注意しながらエンジンにセットします。
オイルフィルターを交換した場合、エンジンオイル注入後の漏れやにじみチェックの際にフィルターカバーからにじみががないことを確認して作業は終了です。
フィルターカバー下部、オイルが通る通路には小さなOリングが入る。
長年使い続けると形状が変化してシール効果が低下するので、定期的に交換する。
フィルターカバー外周の大きいOリングも、エンジンに密着することで当たり面が平らになってしまう。
フィルターと同時に交換すれば安心だ。
・フィルターを取り外したらろ紙部分に目立つ汚れがついてないかチェック
・特にキラキラと輝く金属粉や金属片がある場合はエンジン内部で部品が削れているので要注意
エンジンオイルと共にオイルフィルターも定期交換が必要です
内蔵タイプ、カートリッジタイプを問わずオイルフィルターはエンジンオイルの汚れを取り除く重要なパーツです。
エンジンのコンディションを良好に保つためにも、オイルと共にフィルターの定期交換も実施しましょう。
・潤滑中に発生したエンジンオイルの汚れを回収するのがオイルフィルター
・オイルと同じく機種ごとに決められた走行距離や使用期間に応じて交換
・エンジンオイルの交換をサボると最悪の場合フィルターが詰まる可能性がある
・取り外したフィルターにキラキラと輝く金属粉や金属片が付着していた場合は要注意
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