メインハーネスと車体各部の電装パーツの結線部分に使われているコネクター。スイッチ接点や電球とソケットの接点に比べると、一度結線したら長く取り外すことはありませんが、経年変化で端子表面が酸化して抵抗が増加し、場合によってはトラブルにつながることもあります。電装部品に不具合がないから大丈夫と決めつけず、端子やコネクター本体のコンディションをチェックすることも重要です。

接点が断続するスイッチに比べて見逃されがちなコネクターの端子も酸化劣化が進行する

接触不良や過熱の原因になることも。劣化が進行したコネクターや端子はリフレッシュしよう

かしめを起こせば容易に分解できた1960年代のイグニッションスイッチ。キーを回すと接点が回転して点火系、灯火系、発電系の回路ができる。回転する端子はスプリングとボールで基板側に押しつけられているが、酸化皮膜や摩耗といった経年劣化で接触不良を起こすことがある。キーが中途半端な位置で通電するような時は、接点の不具合が疑わしい。

接触不良や過熱の原因になることも。劣化が進行したコネクターや端子はリフレッシュしよう

経年劣化によって樹脂の粘りが低下して、ちょっと力を加えるだけで容易に割れてしまった。6極タイプの110型コネクターは汎用部品として存在するので、酸化した端子と共に交換する。破損したコネクターの成型色が緑や茶や黒など機種専用の場合、部品取り用の中古品を手に入れるか汎用コネクターに置き換えて対処する。

接触不良や過熱の原因になることも。劣化が進行したコネクターや端子はリフレッシュしよう

汚れと酸化皮膜に覆われた古いオス端子を切断して新しい端子に交換した。メス端子と接触している部分も含めて酸化しているため、それなりの抵抗になっていると想像できる。コネクターに対する端子位置は、組み立て時に迷わないよう分解前にスマホのカメラで撮影しておく。

バイクや自動車の電気回路で、電源となるバッテリーからヘッドライトやウインカーやイグナイターなど車体各部の負荷まで1本の配線でつなぐことは事実上不可能です。フレームに取り付けられたメインハーネス端部のコネクターに対して、ヒューズボックスやイグニッションスイッチボックスやハンドルスイッチ、コンビネーションメーターやウインカーリレーなどさまざまな電装品はギボシ端子やコネクターによって取り付けられています。

電気的な接点というと、イグニッションスイッチやハンドルスイッチ内部の接点を思い浮かべがちです。接点が可動するスイッチは物理的な摩擦による摩耗や、断続時に発生する電流変化によって電極が焼損することで接触不良や接点抵抗が増加し、電気部品の作動不良が発生することが多いのは事実です。

一方でコネクターの端子は、一度コネクターをはめれば頻繁に取り外す部分ではないので、接触不良は起きづらいと思われがちです。しかし現実には端子部分で発生する電気トラブルは少なくありません。

最も代表的な事例はオルタネーター配線のギボシやコネクター焼損です。現存する台数やユーザーが多いこともありますが、カワサキZ1のエンジン左側のオルタネーター配線立ち上がり部分の3本のギボシ端子のスリーブが真っ黒に焼けている例は少なくありません。

変色だけならまだしも、スリーブ内部で酸化した端子は接触面積が減少するため、発電電圧や電流が低下して充電不良の原因になったり、抵抗が増加することで発熱してハーネスが損傷することもあります。

カワサキZ1系の発電系に注目すれば、オルタネーター立ち上がり部分の3本のギボシ端子の他にもレギュレーターとレクチファイヤー部分でコネクターがあり、経年変化で酸化劣化した端子に大電流が流れることでコネクターが焼損してショートし、ボヤや車両火災の原因になることもあるので注意が必要です。

普段は抜き差ししないコネクターの内部でも空気に触れている端子の酸化は着実に進行して、酸化皮膜は抵抗増加の原因になることを理解しておくことは重要です。

POINT

  • ポイント1・電気接点の劣化や接触不良はスイッチ部分だけでなくコネクター内部の端子でも発生する可能性がある
  • ポイント2・コネクター内部の端子に酸化皮膜が生じて抵抗が増加すると発熱によってコネクターが損傷する恐れもある

端子の接触部分は僅かでも新品交換のメリットはある

接触不良や過熱の原因になることも。劣化が進行したコネクターや端子はリフレッシュしよう

コネクターの端子には抜け止めの爪があるので、精密ドライバーや端子抜き用の専用工具で爪を押し曲げてから引き抜く。コネクターの劣化が進むと、爪が食い込むだけで削れてしまい、オスメスを接続する際にコネクターが押し戻されて接触不良を起こすこともある。

接触不良や過熱の原因になることも。劣化が進行したコネクターや端子はリフレッシュしよう

配線の長さに余裕がない場合、できるだけ古い端子ギリギリの位置で切断したいが、芯線の酸化が配線の上流側に進行していることもある。せっかく端子を新調しても、かしめる芯線が酸化しているとリフレッシュ効果が低下するので、黄銅色が現れる位置まで切断してから端子を接続する。

接触不良や過熱の原因になることも。劣化が進行したコネクターや端子はリフレッシュしよう

酸化した端子を交換することで電気の流れは確実に改善される。イグニッションスイッチだけでなくオルタネーターやレギュレートレクチファイア、ヒューズボックスなど車体各部のコネクターやギボシの端子を交換することで、絶版車や旧車の電気系のコンディションがアップする。

非防水タイプで汎用性の高いポピュラーな110型や250型コネクターのオス端子は平型で、メス端子と接触する当たり面では酸化が進行しないのでは? と想像することがあるかもしれませんが、実際にコネクターから引き抜いた端子は全面に酸化皮膜に覆われています。

それでもサーキットテスターで導通を測定すれば抵抗値はゼロを示し、僅かに残る伝導部分を通じて電気がも流れます。しかし焼損したオルタネーターのギボシ端子を新調するだけでバッテリーの充電状況が改善する例からも明らかなように、流れる電流が僅かでユーザー自身が実感できないにせよ、表面が酸化した端子を交換するのはメリットこそあれデメリットは何もありません。

ただし専用形状のコネクターや端子を採用する機種や部分に関しては、純正スタイルが損なわれるという問題はあります。カワサキZ1系の場合、オルタネーターとレギュレーター、レクチファイヤーをつなぐセンターハーネスのコネクターや端子は専用品のため、純正スタイルで復元する際はリプロパーツを活用することになります。

一方ここで紹介している機種のイグニッションスイッチハーネスは6極の110型コネクターなので汎用部品(デイトナ製コネクターセットなど)で交換が可能です。酸化劣化した端子だけを交換するのか、それともコネクターごと交換するかは状況に応じて判断すると良いでしょう。

経年劣化で変色しているコネクターは流用しながら中身の端子だけ新調すれば、ヤレ感を生かしつつ性能回復を図ることができます。一方でこの機種のように硬化したコネクターがバリバリに割れてしまうような場合は、コネクターごと交換しなくてはなりません。

古い端子を切断して新たな端子をかしめるために被覆を剥がしたら、芯線の状態も確認しておきます。端子自体が酸化するのと同時に、端子にかしめられた配線の酸化が被覆の内側で進行していることがあるからです。被覆を剥いだ芯線に黄銅色の光沢がない場合はもう少し多めに切断しましょう。ただし切りすぎて配線長に余裕がなくなってしまうと本末転倒なので、慎重な確認が必要です。

アッセンブリー販売しかないスイッチ内部の端子や接点が摩耗すると、補修の際の部品調達に苦労しますが、コネクターが汎用品であれば部品交換は難しくありません。絶版車や旧車のコネクター端子が輝きなくくすんでいる時は、予防整備の観点からも新品に交換しておくことをお勧めします。

POINT

  • ポイント1・機種専用で形状が特殊なコネクターもあるが汎用の110型や250型であれば市販品で交換できる
  • ポイント2・新しい端子をかしめる際は芯線が酸化していない場所まで切断する

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