
購入直後の新品部品のような輝きは望まなかったとしても、現状のヤレたままの状況から、少しでも輝きを取り戻すことができれば……。そんな想いは、数多くのバイクオーナーが持っているはずだ。「おっ、磨けば輝く!!」と感じられる作業ができれば、誰もが嬉しいものだろう。小さな作業の積み重ねで、バイクはいつしか輝きを増すものなので、ちょっとでも気になるスクラッチキズは、まずは磨いて状況確認してみよう。ここでは、定評のケミカルと極細目耐水ペーパーで下地作りを行い、ポリッシャーで磨いてみたら、輝きが増した実例をリポートしよう。
気になるスクラッチキズが消せるのなら
細かなスクラッチキズやツブツブのサビによって、今ひとつ輝きを失っていたウインカーボディ。アンチモニ(アンチモン)と呼ばれるダイキャストにクロームメッキを施した部品だ。単純なワックス掛けや手磨きだけでは現状維持がやっとで、それ以上に輝きを増すことができない。そんなときにはポリッシャーを利用した磨きによって、細かなスクラッチキズを消し(すべてではないが)、輝きを増すことができる。
磨き作業前の下地作り=段取りが大切
一般的なサンドペーパーに対して、さらに細かなシート状の研磨剤がバフレックス。耐水研磨ペーパーと同じように、霧吹きで常に水分を吹き付けながら(霧状の水で研磨汚れを洗い流す)磨くのが重要なポイントである。2種類の硬質スポンジを組み合わせた研磨パッドにバフレックスをセット。シートの裏面が粘着テープになっていて、スポンジに接着しながら使えるようになっている。油汚れやゴミを除去してから、まずは霧吹きで水を吹き付けて、研磨パッドを使って平均的かつ均一に磨きを入れよう。
花咲かGワックス+ポリッシャーの実力
霧吹きで常に水分を与えながら研磨ブロックで表面を磨き終えたら、小型ポリッシャーにネルバフをセットする。ここで利用したのが、チューブ入りの花咲かGワックス。研磨粒子が小さく、連続的に磨き処理することで、研磨粒子が潰れて仕上げ磨きができるため、磨き表面にスクラッチキズを付けてしまうことが無い。この作業進行時に、小型エアーポリッシャーがあると大変便利なことを改めて思い知ることができた。バイク磨きでは間違いなく「使える」工具だ。榮技研から発売されている花咲かGワックスはソフトチューブ入りで大変使い易い。回転バフを併用することで、研磨効果は数倍になる!!
- ポイント1・ダイキャスト+クロームメッキ仕上げ部品はスクラッチキズが付きやすい
- ポイント2・ダイキャスト部品のクロームメッキ表面は磨き方次第で輝きが増す
- ポイント3・ 手磨きでは歯が立たなくても機械磨き=ポリッシャー利用で輝きは確実に増す
旧車と言えば、小型車から大型車まで、キラキラ輝き、まるで鏡のような映り込みを見せるクロームメッキ部品が多かった。高級感の演出や防錆を目的にクロームメッキは幅広く使われていた。ホンダのレジャーバイク「モンキー」シリーズに、クロームメッキ仕様のリミテッドバージョンがあったことでも知られるように、クロームメッキが多いバイク=高級車の証、と考えられた時代もあった。
しかしながら、サビが発生するとこれがまた大変。サビの除去作業は、一筋縄ではいかないことでも知られている。鉄部品のクロームメッキ仕上げではなく、アルミ製の部品やアンチモニと呼ばれる合金ダイキャスト製部品にクロームメッキを施す例もある。ウインカーボディや燃料タンクキャップには、そのような部品の採用例が多かった。
目立ったサビやブツブツ腐食が発生していなくても、長年に渡る使用によって、メッキ表面には細かなキズ(スクラッチキズ)が付き、輝きが落ち、曇ってしまう部品も数多い。そんなアンチモニ+クロームメッキ部品のスクラッチキズや擦れ曇りをどうにか磨き落とせないものか?そんな作業を実践してみた。まずは細かなサンドペーパー(バフレックス)で耐水研磨を施し、スクラッチキズの磨き込みから作業開始。全体的に平滑に磨いたら(決して深く磨かないのがコツ)、ポリッシャーにウールバフをセットして、高性能キズ磨きワックスとしても知られる花咲かGワックスを利用して、磨き込みを行なってみた。すると、かなり良い感触の輝きを得ることができた!!
小さなブツブツサビがあったので、細かな耐水ペーパー(1500~2000番程度)で磨いたところ、ブツブツ部分が削れて平坦になり、さらにポリッシャー+ケミカルで磨き込むことで、ブツブツ痕は目立たなくなった。細かなスクラッチキズに起因する曇りの除去には、花咲かGワックスが極めて効果的である。上手に応用することで、思いも寄らなかった良い結果を得ることができた。磨き込みだけでバイクを仕上げる「ヤレ感」が好きな者にとっても、このような磨き仕上げは参考になるはずだ。
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