1980年代のレーサーレプリカブームをきっかけに普及したのがエアプレーンタイプの燃料キャップです。タンク上面がフラットになりスタイリッシュなのが魅力ですが、キャップ周辺の排水機能に不具合が生じると雨水などがタンク内に入りやすいという問題があります。タンク腐食の原因となる水分混入を防ぐには、給油口外側のドレンパイプの機能を確認することが重要です。

タンク上面より給油口が低ければ浸水するのも必然!?

気付かぬうちにタンク内が水たまりに!?エアプレーンタイプの燃料キャップはドレン通路に要注意


エアプレーンタイプの燃料キャップはキャップ外周のヘキサゴンボルトで固定されている。キャップを開けただけではドレンパイプが確認しづらいので、すべてのボルトを抜いてキャップ本体を取り外す。

気付かぬうちにタンク内が水たまりに!?エアプレーンタイプの燃料キャップはドレン通路に要注意

このタンクは内部のサビが著しいが、キャップ周辺も湿った状態でサビの破片や汚れが抜けきっていないことが分かる。撮影アングルによって給油口の上方にドレンパイプが見えているが、実際にはサンドスタンドで駐車した際に低くなるタンクの左にある。パイプが詰まっていなければ、露天駐車で雨に降られてもキャップの隙間から流れ込んだ水滴はパイプを通じて車体下部に排出される。

燃料タンク上面に給油口が出っ張り、その上にキャップが被さる旧車や絶版車の燃料タンクに対して、タンク上面とキャップが「ツライチ」になるのはエアプレーンタイプの燃料キャップの特長です。

そもそもは機体表面の出っ張りをなくしたい航空機産業で普及した形状で、バイク用としてはレーサーレプリカブームが到来した1980年代半ばから採用が進みました。現在ではレプリカのみならずツーリングモデルやスクーターにも使用されており、多くのライダーにとって馴染みのある燃料キャップ形式になっています。

バイクの免許を取得した時にはエアプレーンキャップがスタンダードだったという世代にとっては当たり前の装備でしょうが、それ以前の時代を知るライダーにとっては特異というか独特の構造であることに気づくかも知れません。それはタンク上面と燃料キャップの給油口の位置関係です。

タンク上面より突き出た昔ながらのキャップなら、キャップ周辺に掛かった水はタンク表面を伝って下部に流れていきます。しかしエアプレーンキャップの場合、タンク上面より給油口の方が低い位置にあるため、タンク上面に降り注ぐ雨や洗車時に掛かる水は必然的に給油口の周辺に溜まることになります。

その状態でタンクキャップを開ければ、溜まった水はガソリンタンクに流れ込みます。雨天未使用で室内保管という理想的な環境にあるバイクなら心配はありませんが、ツーリング中に雨に降られた状態でガソリンスタンドに入るような時、給油口周辺の雨水をエアーブローしなくてはならないようでは面倒で仕方ありません。

そうならないよう、エアプレーンキャップにはドレンパイプが付いています。このパイプは給油口の周辺からタンク底面に向けて内部を貫通し、パイプに差し込まれたゴムホースで車体下部まで導かれて開放されています。車体から燃料タンクを取り外す際に、燃料コック部分のガソリンホースと負圧ホース以外に、タンク自体に差し込まれたホースが給油口のドレンホースです。このおかげで、キャップの外周部分から流れる雨水は給油口周辺に溜まることなく排出されるのです。

POINT

  • ポイント1・航空機用装備として登場したエアプレーンタイプの燃料キャップはタンク上面に沿ったフラットなデザインが特長
  • ポイント2・タンク上面とキャップ上面が同一面にあるため、走行時の雨水や洗車時の水がキャップより低い位置にある給油口近辺に溜まる

給油口周辺の水たまりを回避するにはタンク内部を貫通するドレンパイプが重要

気付かぬうちにタンク内が水たまりに!?エアプレーンタイプの燃料キャップはドレン通路に要注意

ドレンパイプはキャップ部分から底面(または後部)に向かってタンク内を貫通しているが、途中で曲がっている物もある。そのため貫通確認を針金で行うと途中でつかえてしまうことがある。また硬い金属棒を差し込んでパイプ内壁を傷つけると、その傷からサビが発生することもあるのでエアーブローが最善。

気付かぬうちにタンク内が水たまりに!?エアプレーンタイプの燃料キャップはドレン通路に要注意

詰まり気味のドレンパイプをエアーブローすると湿った泥汚れが噴射されて一気に開通。エアーだけではパイプ内壁に張り付いた汚れがすべて流れていない可能性もあるので、シリンジに入れた水などを圧送して洗い流しておく。タンクのドレンパイプだけでなく、パイプの先のゴムホースもエアーブローすると同時に、クランクケースやスイングアームなどに挟まって潰れていないかも確認しておく。

気付かぬうちにタンク内が水たまりに!?エアプレーンタイプの燃料キャップはドレン通路に要注意

キャブレター車の燃料コックやインジェクション車の燃料ポンプはできるだけ低い位置に取り付けるのが理想だが、デザインが複雑なバイクの燃料タンクでは必ずしもそうなっていないこともある。コックやポンプより低い位置にあるガソリンは使い切れないため死にガスと呼ばれる。タンク内がすべてガソリンで満たされていれば死にガス分も含めて混ざり合うが、ガソリンに比べて重い水分は底部に溜まり続けるため、燃料コックを取り外して振ると、溜まった水分と泥とサビがまとまって排出される。

気付かぬうちにタンク内が水たまりに!?エアプレーンタイプの燃料キャップはドレン通路に要注意

水分を含むタンク底の沈澱物とガソリンは明確に二層に分離している。燃料コックが沈澱物の上に出ている間は、沈澱物がキャブレターに流れることはないはずだが、走行中のバイクの動きに合わせてある程度はかき回されるのでフロートチャンバー内にも汚れが溜まり、水分によってタンク自体の腐食も進んでしまう。燃料キャップを開けっ放しにしているわけではないのにいつの間にか浸水しているような場合は、ドレンパイプ閉塞によりキャップ開閉時に僅かずつタンク内に水分が入っていないかを確認する必要がある。

裏を返すと、一度ドレンパイプが詰まると給油口周辺の雨水や洗車時に掛けた水は逃げどころがなくなります。するとキャップを開けるたびに周辺の水は燃料タンク内に流れ込んでしまいます。

タンク底面の中で最も低い位置に燃料コック(インジェクション車の場合は燃料ポンプ)が取り付けられている場合は、ガソリンに水分が混入することで一時的にエンジンの調子が悪くなるかもしれませんが、給油口から入った水は短期間でタンク外に出ると考えられます。

しかしタンクの最低部が燃料コックや燃料ポンプの取り付け位置よりもさらに下にある場合、ガソリンより比重が重い水はそこから流れることなくその部分に留まり続けてしまいます。その水分がタンクを腐食させる原因になったり、浮きサビが燃料コックのフィルターに詰まったり、キャブレターのフロートバルブに引っかかってオーバーフローを起こす原因になることもあります。

タンク底に溜まる水分は機種によってまちまちですが、1リットル近くまで浸水しても水面が燃料コックに届かないものもあります。

給油口部分のドレンパイプが開通していれば浸水問題は発生しませんが、車体に砂ホコリが掛かりやすい環境や、雨ざらしのような状況で保管しているバイクだとパイプに泥汚れが詰まってオーバーフロー状態になり、給油のたびに少しずつ浸入することになります。

ガソリンスタンドで燃料キャップを開けなくても、給油口周辺のたまり水がキャップ本体のエアー抜き通路を逆流する可能性もあります。エアー抜き通路には逆止弁が付いていますが、常に水に浸っていることを想定しているわけではないので、100%完全に遮断できるとは限りません。

浸水経路をあれこれ考えるより、先にやるべきことはドレンパイプの詰まりの解消です。給油口近辺にボルト穴とは異なる入り口らしき穴があれば、十中八九それがドレンパイプの入り口なので、エアーブローガンで空気を送り込んで貫通するか否かを確認します。針金を通して確認することもできますが、ドレンパイプがタンク内を真っ直ぐ貫通しているとは限らないので、途中で引っかかってしまうリスクを避けるにはエアーブローの方が良いでしょう。

給油口周辺に溜まった水が抜けない原因はドレンパイプの詰まりであることは間違いありませんが、タンク下のゴムホースの取り回しが悪く途中で折れ曲がったり潰れていることもあります。機種によってドレンパイプがタンク後部から出てくるものもあり、シートを取り付ける際にホースが潰れて水の抜けが悪くなっていることもあります。

タンク底面のパイプにホースを差し込む機種の場合、ホース長の関係からタンクを大きく持ち上げることができず手探り状態で作業を行い、折れ曲がりに気づかずマウント部分のボルトを締め付けてドレンが詰まるというパターンもあるので、タンク固定後にドレンパイプに水を流し込み、車体下部からちゃんと排出されることを確認しておくぐらいの慎重さがあっても良いでしょう。

エアプレーンタイプの燃料キャップはタンク内のガソリンが容易に流れ出さないように設計されていますが、雨水等がキャップの周辺に溜まるのはタンク上面と給油口の高低差を考えれば致し方ありません。重要なのはドレンパイプを詰まらせず、水が溜まらずスムーズに抜ける状態をキープすることです。

ドレンパイプをエアーブローするためにキャップ自体をを取り外さなくてはならない機種もありますが、製造から長い期間を経た絶版車であれば一度は確認しておいた方が良いでしょう。

POINT

  • ポイント1・給油口周辺のドレンパイプが泥汚れなどで詰まるとキャップを開けた際に周辺の水がタンクの中に流れ込んでしまう
  • ポイント2・ドレンパイプをエアーブローして詰まりがないかを確認し、詰まりが原因でタンク内に水が溜まっている時は水抜きと洗浄を行う

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