
何らかの理由でガソリンを抜きとろうとしたところ、タンク内から雨水やサビ粉などの汚れが次々と出てきて、ビックリ仰天!!なんて経験をしたこと、ありませんか?特に、水分が混入してしまったガソリンタンクは、内部状況を詳しく確認して、早急に手当てしておきたいものだ。ここでは、ガソリンタンク内部の汚れを洗浄するときの「やり方の基本」を解説しよう。
ガソリンは腐り、性能低下するもの
しばらく乗っていなかったバイクや放置してあったバイクを動かしたいときには、最初にガソリンを抜き取ってみよう。ゴミが入っていたり、サビ粉が出てくるような時には、ガソリンをすべて抜き取り、タンク内部の状況確認を必ず行おう。ポンプで吸い上げた時に、ドロ水やサビ水が出てきたときには、すべてを抜き取り、その原因を突き止めたいものだ。何故!?雨水が混入したのか……。
汚れたガソリンタンク内部は洗浄しよう
タンク内部からゴミが出てきたりサビ粉が流れ出てきたら、徹底的にタンク内部の状況を点検&洗浄しよう。それがサンデーメカニック!!燃料コック不良やキャブレターからのオーバーフローの原因は、タンク内部に潜んでいることが多い。サビの除去ばかりに気を使うのではなく、サビの上の堆積残留しているような油分の除去しなくてはタンク内部をクリーンナップできない。強烈に頑固な油汚れや劣化ガソリンによるタールなどでなければ、中性洗剤を適量投入後に、お湯でタンクを満たして一昼夜待ってから本格洗浄に取り掛かるのが良い。
「サビ取り」するなら本気で「段取り」
ボルトで燃料コックを固定するタイプは、タンク本体がOリングやガスケットを受けるシール面になっている。このタイプはゴム板を挟んで、市販の金具を締め付けることで漏れ防止できる。タンク本体に凸ネジが溶接されている場合は「椅子の足ゴム」のようなキャップタイプのゴムを使って栓をして、ホースバンドで固定するのが一番良い。キャップが手元に無い場合は、突起パイプと合致するサイズのホースを差し込み、ホースを折り曲げてタイラップで固定するのが良い。しっかり段取りすれば、その後のサビとり作業も効率良くかつ効果的に行うことができる。
高性能「サビとり」ケミカルに頼ろう
タンク内のサビとり用として販売されている高性能ケミカル「花咲かGタンククリーナー」を使ってサビとり実践。高性能ケミカルは1液の中性仕様で環境にも優しい。サビの除去を行ないつつ、処理後の金属表面には酸化防止皮膜を形成する。ガソリンタンク専用のサビ取りクリーナーのパイオニア的存在が花咲かGタンククリーナーだ。サビ除去処理を終えたタンク内部は徹底的に水道水で洗浄しよう。単純に水を流し込むだけではなく、圧力を加えて徹底的に洗い流すのが良い。ロングノズルのエアーガン+水道水ホースで「うがい洗浄」するのも良いだろう。洗浄後は水分を抜き取り、タンククリーナー原液を5倍程度に薄めた高濃度な新品処理液を利用し、タンク内部に流し入れて、グルグル回して内壁全体に付着させたら抜き取り、タンクキャップを開けた状態でタンク内部を完全乾燥させよう。このような仕上げ処理は「リンス処理」と呼ばれている。
- ポイント1・タンク内部の汚れに気が付いたら慌てずに内部洗浄しよう
- ポイント2・ガソリンの油分落としに効果的なのがお湯と中性洗剤
- ポイント3・汚れを落としてから高性能サビ取りケミカルを使うのが効果的
ガソリンタンク内部は、常日頃からクリーンなのが正解。タンクキャップ穴から内部を覗き見したら「薄っすらと赤サビが……」といったときには、迷わずにタンク内部を洗浄しよう。この程度なら大丈夫!?と思ってしまいがちだが、それはあくまでオーナーにとっての希望に過ぎない。指先を突っ込んで、タンク内壁を撫でてみると「サビの粉が指先に付着した……」というケースでは、その赤色の粉がキャブレターへ流れ落ち、フロートバルブシートに引っ掛かるのは時間の問題。そのうちに、キャブレターからオーバーフローが始まってしまうことになるはずだ。
タンク内部が汚れていたり、薄っすらでもサビの発生に気が付いたら、迷わずにガソリンを抜き取り、タンク内部を洗浄しよう。最初からサビとりケミカルを利用するのではなく、まずは中性洗剤でタンク内部の油分を除去しよう。ちなみに、ガソリンによる油分はもちろん、表面の薄っすらサビ程度なら、中性洗剤に含まれる界面活性剤の効果でサビを除去することもできる。ひとつのコツとして言えるのは、中性洗剤を混ぜた水の温度を高めることだ。温度上昇によって、洗浄効果が高まるのだ。
タンク内部の油分を中性洗剤で除去したら、いよいよ高性能ケミカルの登場である。ここで利用しているのはタンククリーナーのパイオニア「花咲かGタンククリーナー」だ。
商品ボトルに添付されている解説書を読めば理解できるが、その使用方法は難しいものではない。初めて使ったサンメカでも、説明書にしたがって作業を進めれば、スムーズかつかんたんにタンク内部のサビを除去できるはずだ。一回目の処理で「まだ取り切れていないかな?」と思った時には、処理液をろ過後(ペーパータオルなどでろ過する)に再投入し、もうしばらく待てば良い。とにかく慌てず、焦らずに作業進行すれば、大きな効果を確実に得られるのがこの商品である。驚いたことに使用済みの廃液は、一般排水と同様に廃棄できることも特筆できる。同商品は、公的検査機関に廃液の成分分析を依頼し、まったくもって安全であることを承認された、成分分析通知表も明示している。
また、廃液は「再利用が可能」なことも知っておこう。サビの程度が軽いタンクを処理した液ならば、新品処理液に近い性能効能をまだ持っている可能性が高い。要するに、処理能力の強弱は、処理したタンクの「サビの程度」によって左右されるもので、利用回数ではないようだ。2回目、3回目と再利用できる例が多いのだ。ベテランサンメカは「希釈量を明示」しつつ廃液をポリタンクに保管し、再利用しているようだ。
高性能なサビとりケミカルでも、サビ以外のタンク内部の汚れに対しては、大きな能力を発揮できないので、サビ取り実践の前に、ある程度の前段取りは台所用の中性洗剤などで取り除くように使用。また、劣化ガソリンがワニス状になっている際には、キャブクリーナー(ヤマルーブのスーパーキャブレタークリーナー【原液タイプ】など)を積極的に利用し、ワニス汚れを溶解してから、油汚れを落とすのが良いだろう。
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