
ヨーロッパ車やヨーロッパ仕様の逆輸入モデルに多いのが、オートリターン式のサイドスタンド。車体が直立すると自動的に格納してくれるシステムは、安全面では間違いなく優れているが、使い勝手という意味では、気が付いた時にはバイクが倒れてしまったり、立ちゴケしてしまうなどの経験をしたことがあるライダーも数多いはずだ。ここでは、カワサキ逆輸入車のサイドスタンドを取り外し、国内仕様用を自己責任において取り付け改造した一例をリポートしよう。
関連周辺部品がこんなにあった!?
面倒なサイドスタンドシステムが取り付けられている関係か、車高に対しサイドスタンドの長さが短めになっている感じ!?車体の傾きが大きく不自然だ、そこで本格的なモディファイ開始!!とにかくややこしいシステムを採用したサイドスタンド。安全性を優先した当時のカワサキの回答なのだろうが、これはちょっとひどいです。なによりパーツ点数が多過ぎます。関連部品をすべて取り外してフリー化したら、こんなにたくさんの不用部品が。サイドスタンドスイッチを取り外しただけでも、見た目がシンプルになった。
軸の太さ違いをブッシュ自作で対応
ピボットボルトのサイズ違いはリン青銅性ブッシュを削り出し、圧入することで解決することに。旋盤で素材をスーッと削ってドリルで中空にして圧入できるように。ボルトがガタ無くスムーズに差し込めることが基本になる。
ブッシュ圧入でサイドスタンドは稼働したが
完成したリン青銅製カラーをピボット部分に合わせ(外周端部はテーパーです)、叩き込むのではなく、カラー内径と同じ太さのボルトを差し込み裏側からナットを締め付け、圧入するように組み付けてみた。
ストッパーボルトの追加で角度調整
同系列モデルの国内仕様Z400FXのサイドスタンドを流用しようと思ったが、ピボット部分のフトコロが浅いため、単純に組み込めないことが判明。そこで、ディスクグラインダーを使ってフトコロを深くすることに。しかし、スタンドを出したときの角度がまったく合わない!!そこで、スタンドの「出」と「閉じ」を調整できるアジャストボルトを追加できるようにブラケットを加工した。さらにスプリングをセットできるように、スタンド取り付けブラケットにはM6のネジ穴を切った。
雰囲気良く収まり大成功!!
スタンドとしての作動性は実に良いが、サイドスタンドの形状が今ひとつで地面と空振り状態。そこで、サイドスタンド本体を油圧プレスで曲げて地面との接地角度を合わせてみた。プレスで曲げたことで、スタンドを閉じたらこのような感じに収まる。国内モデルとはスタンドブラケットの作りがまったく異なるため、帳尻合わせが大変になってしまった。しかし、完成後の達成感は素晴らしい!!
- ポイント1・便利で不便なオートリターン式サイドスタンドに満足してますか?
- ポイント2・流用するサイドスタンドの長さに注意!!利用時の寝過ぎや立ち過ぎで新たなトラブルの要因に
- ポイント3・格納時と利用時の作動角度に要注意
大型車、中型車は当然のこと、原付モデルでも「メインスタンドが欲しい!!」と考えているのがワタクシです。バイクいじりのときに、あると本当に便利なのがメインスタンド。メーカーのニューモデル開発者の中には「最近はパンクしないから、メインスタンドは不要です!!」と本気で言い切る方がいるようですが!?そんな考えが今の世の中なのでしょう。ちなみに、ぼくが所有するバイクのメインスタンド率は100%になります。
さてさて、ここではサイドスタンドのお話になります。ここで登場するモデルは、カワサキミドル4のZ550GPヨーロッパ仕様。国内ではZ400FXとして大人気を誇ったモデルの兄弟関係にあるモデルだ。当時のカワサキ製ヨーロッパ仕様車と同様に、ものすごく複雑な作り込みのサイドスタンドを採用しているのがこのモデル。「安全対策=走行時の格納忘れ対策」のために、このような複雑なシステムとなっているのだと思うが、メカニズムだけではなく、電気系、点火系にも影響するシステムが特徴となっていた。
ここは自己責任に於いて、国内仕様と同仕様のサイドスタンドに変更した様子をリポートしよう。つまり自己責任に於いて、安全対策をフリー化してみたのだ。その理由は単純。安全対策が使いにくく、電気系部品が壊れると、エンジン始動できなくなってしまうトラブルに及ぶからだ。そこで国内仕様のZ400FX用を加工して取り付けてみた。
ヨーロッパ仕様と国内仕様の大きな違いは、サイドスタンド取り付け部分の寸法だろう。ヨーロッパ仕様では、この部分に複数の部品が取り付けられるため、ピボットボルトが太く、穴位置が深いため、Z400FX用サイドスタンドのピボット部の奥行き=コの字が底付してしまう。そこで、国内スタンドのその部分を削り込み、奥行きを確保することで、取り付け可能にしてみた。
ピボット穴のセンター同士が一致するようにサイドスタンド干渉部分をディスクグラインダーで深く削り込み、センターを合わせた。次に、リン青銅棒を旋盤で削ってピボット部分に打ち込み、メタルブッシュとして穴寸法を合致させた。この作業でサイドスタンドを取り付けられるようになったが、スタンドの出/戻りの位置が合わない。そのアンマッチを改善するため、ストッパー部分にネジ穴を作り、ボルトを締め付けることでストッパーを追加した。ボルトにワッシャーを挟んで締め付けることで、ストッパー位置の微調整も可能になる仕組みだ。
最後の仕上げが、サイドスタンド利用時の車体角度との傾き調整である。現状のままでは傾き角度が大きくなってしまうので、サイドスタンドを油圧プレス機で曲げて立ち角度を微調整。これらの作業によって、使いやすいサイドスタンドにモディファイすることができた。
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