キャブレターの不調原因のひとつにガソリンが溢れ出たり、漏れてしまう「オーバーフロー」がある。オーバーフローの原因も様々だが、キャブレター本体の分解洗浄&復元時に必ず実践しなくてはいけないのが、フロートバルブの作動性とフロート油面の調整である。ここではその基本作業ややり方を再確認しておこう。

フロートの重要性を伺い知ろう

静的ながら油面の高さを目視確認することができるため、利用してみたのが口広瓶。瓶にはフタがあり、ネジ部分が細くなっていてキャブのフロート室が収まらなかった。そこで、ガラスをカッティングするグラインダーディスクを使って瓶をスパッとカット。フロートチャンバー座面でキャブボディを保持することができたので、フューエルチューブでガソリンを注ぎ入れてみた。するとフロートが浮き、フロートバルブを閉じることで、ガソリンは落下せずオーバーフローしないことが分かった。こんな状況をクリアフロートチャンバーがあれば簡単に確認することができる。

基本的調整は「静的」作業で

フロートレベルゲージというと、静的確認用として作られたノギスのようなデザインタイプと、チューブをドレンポートに接続してドレンプラグを開放し、実油面を目視確認することができるクリアチューブタイプの2種類が代表的。この2タイプがあれば、トラブル原因を追究しやすい。

フロートバルブの追従性に注目!!





フロートバルブの油面高さ調整以前に、フロートバルブが機能していなければ、しっかり調整したとしても思ったように事が運ばないもの。バルブプランジャの先端がフロートと接触したときに、スプリングのチカラでピョコピョコ動くのが正解だ。フロート支点を真上にしてキャブを横向きにしたときに、バネのチカラでフロートが押されていれば良いが、フロートの自重でバルブ内のプランジャバネが伸び切れないときは(押されっ放し)、フロートバルブ内プランジャバネのヘタリと考え、フロートバルブを再洗浄(バネが汚れで張力を失っていることがある)もしくは、程度の良い部品に交換、もしくは、新品部品に交換しよう。油面高さの確認調整時には、ゲージ高さを求めるデータに調整し、メインジェットの位置でフロートチャンバーガスケットの座からフロート端面の高さを確認しよう。ゲージの測定子がフロート端面とわずかに触れる程度に調整しよう。

ドレンポートを利用した「実油面」確認



空き瓶をカットして作ったクリアボウル




ドンピシャサイズの透明もしくは半透明の容器があれば、落下するガソリンに対してフロートが浮き、フロートバルブを閉じる様を目視確認することができる。実油面データが公表されているモデル用のキャブレターには、チューブ型油面ゲージをセットできるドレンパイプとドレンプラグを標準装備しているが、すべてのキャブにドレンパイプが装備されているわけではないことも知っておこう。クリアチャンバーがあれば、キャブを水平にしたときに、チャンバーガスケット面からの実油面の高さを確認することができる。

チューニングキャブ用の油面確認パーツ



4ミニ用カスタムパーツコンストラクターとして知られるみニモトから発売されている、台湾のOKO社製クリアフロートチャンバー。半透明のクリア樹脂製なので、内部のガソリンフロー状況を目で見て知ることができる便利なパーツだ。実走行用ではなくあくまでセッティング確認用パーツである。適合キャブのユーザーなら是非とも欲しいパーツだろう。

POINT

  • ポイント1・オーバーフロー原因は様々。一点固執は遠回りの原因
  • ポイント2・特殊工具があると作業性が向上し「安定調整」が可能になる
  • ポイント3・実油面測定時のフロートチャンバー座面は水平状態にしよう

キャブレターの分解洗浄を終え、組み立て完了したら、次はセッティングになるが、フロートチャンバー内の油面高さの調整=組み立て時にフロートレベルの調整を間違えると、「えっ!!」と思えるほどの不調に陥ってしまうことがよくある。そんなトラブルを回避するためには、フロートレベルの調整作業が必要不可欠である。

技術的過渡期だった70年代には、ユニークなパーツが数多く登場した。キャブレターのフロートチャンバーに透明もしくは半透明樹脂を採用した「クリアフロートチャンバー」も、そんなユニークなパーツのひとつである。クリアなフロートチャンバーを標準装備したキャブと言えば、アメリカのレースシーン(スノーモービルやマリンスポーツやバイクレース)で大活躍したレクトロン社製キャブレターが有名である。国内では、ホンダが誇る耐久レーサー、初代RCB481でもケーヒン製CVキャブにクリアフロートを組み合わせていた時期があった。イタリアンバイクを例にすると、ドゥカティやモトグッツィでお馴染みのデロルト製キャブレターにも、クリアなフロートチャンバーがメンテナンスツールとして販売されていた。

これらのパーツは、いずれも「メンテナンス&セッティング用パーツ」と考えるべきだろう。アルミ鋳物製フロートチャンバーとは異なり、ボルトの締め付けトルクを間違えると割れてしまい、実に危険な目に遭ってしまう可能性もある。レースシーンでは実用化されていたが、それは厳密なメンテナンスが前提のレースシーンに限ったことであって、ストリートでの恒久利用は避けなくてはいけない。

現在では、4ミニパーツで知られるミニモトが、台湾のOKO社から発売されているクリアフロートチャンバーを取り扱っている。同社製キャブ専用部品として発売されており、近年、OKO社製キャブのユーザーが増えているため、セッティング確認用に取り扱われているようだ。適合キャブのユーザーなら、セッティングやメンテナンス時に試してみても良いだろう。経験値が増えることになるはずだ。

静的測定時のゲージ油面と「実油面」の具体的な違いはもちろん、エンジン回転に反応して油面の高さが変化する様は、実に興味深いものである。メンテナンス&セッティングを行なう上で、経験値を高める「面白い」パーツが、このクリアフロートチャンバーと言えるのかも知れない。

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