愛車のエンジンを好調に保つために欠かせないエンジンオイル交換。ドレンボルトやオイルフィルターを外す際にバイクや手が汚れるのは仕方ありませんが、身近にある物を活用することで汚れを軽減することも可能です。流れ始めたオイルを見て慌てるのではなく、起こり得ることを想定して準備することをおすすめします。

ドレンボルトは六角頭ばかりとは限らない

フルカウル仕様のYZF-R1ではエンジンの外観がほとんど見えないが、ネイキッドスタイルのMT-10だとしっかり分かる。クランクシャフトやミッションシャフトの軸配列や補機類の効率的なレイアウトによってコンパクト化を実現していることが理解できる。

オイルパンは先細りのサイフォン形状で、最下部は2、3番エキパイの間まで伸びてきている。オイルパンの底部が平らだと、車体姿勢によって油面が大きく傾いたときにオイルポンプが吸えないことが懸念されるが、部分的に深くしてオイル溜まりを作ることで潤滑を安定させる狙いがある。

オイルパン先端にあるMT-10のドレンボルトは六角頭ではなく六角穴なので、メガネレンチではなくヘックスレンチで着脱する。L字型の棒レンチでは作業しづらいので、スピンナーハンドルとヘックスビットを組み合わせるのがおすすめだ。

ヘックスビットで緩めて指先で回したドレンボルトがオイルパンから外れる瞬間、手前に引くことでオイルの直撃を避けられる。手の汚れが少なければ手を拭くためのウエスも節約できるし、オイルが伝ってドレンパンの周辺を汚す心配も少なくなる。

ガスケットはソリッドタイプで、締め付け時に自ら潰れて気密性を確保するクラッシュタイプに比べて見た目の変化は少ない。しかし使用品(右)はボルトが接触した線状痕があるので左の新品に交換する。

走行前にオイル点検窓やディップスティックでオイル量を確認してロアレベル以下の時は適量まで注油し、走行距離や使用期間に応じて交換する。4ストロークエンジンのエンジンオイル管理はバイクのメンテナンス項目の中で最も基礎的かつ重要な作業です。

オイル交換作業はエンジン下部のドレンボルトから古いオイルを抜き、新品のドレンボルトガスケットを使用してボルトを締め付け、新しいオイルを注入する単純な作業です。しいかしこの単純な作業の中にいくつもの落とし穴が隠れています。

要点のひとつが使用工具です。日本製バイクのドレンボルトには対辺14mmや17mmの六角頭ボルトが使われていることが多く、締め付けトルクもそれなりに大きく、作業時に逆さまの体勢になる場合もあるため、六角頭にしっかり掛かり外れにくいメガネレンチやソケットレンチを使用します。斜め状態でも掛かるスパナやモンキーレンチは力を加えたときに六角頭をなめるリスクがあるので使用を避けた方が無難です。

オイルパンやドレンボルトはエンジンの中でも一番低い場所にありますが、機種によってはその下側にマフラーがあり、メガネレンチでは干渉することもあります。その場合はディープタイプのソケットかスタンダードソケットにエクステンションバーを接続して、干渉物を避けつつ回すようにします。

ドレンボルトを外す瞬間の手さばきも重要です。ボルトを真下に取り外せば、当然ですが流れ出るオイルがボルトを持った手を直撃します。廃油処理箱を使っていても、手を伝ったオイルが箱の外に流れ出て周囲を汚す可能性もあります。これを避けるのは簡単で、オイルの軌道から外れるようにボルトを抜く瞬間に手を横に引けば良いのです。あるいは廃油処理箱が不織布やウエスを敷き詰めたタイプなら、ボルトは箱の中に落として手を引いてしまっても良いでしょう。ボルトやガスケットがオイルの中に沈んでしまうドレンパンに対して、廃油処理箱なら不織布やウエスの上に落ちるので回収も容易です。

ちょっとしたテクニックで作業の快適性や安全性が向上するエンジンオイル交換ですが、そもそもドレンボルトが六角頭ではない場合もあります。ここで紹介するヤマハMT-10はYZF-R1ベースのエンジンを搭載したネイキッドモデルで、R1と同じくエキパイの隙間に長い先端を持つサイフォン型オイルパンに取り付けられたドレンボルトは六角頭ではなく六角穴、ヘキサゴンボルトのようなデザインとなっています。オイルパンが平面でなくサイフォン型なのは、車体が深くバンクした状態でもオイルポンプが正常に機能し潤滑を保てるようにするためです。

目的はともかく、ドレンボルトの頭が六角穴である以上、着脱にはヘックスレンチが必要です。またドレンボルトのすぐ脇にはエキパイがあるので、一般的なL字型のヘックスレンチでは干渉する可能性があり、力を加えづらいという欠点もあります。したがってこのような機種では、ヘックスビットとロングタイプのスピンナーハンドル(ブレーカーバー)と組み合わせて作業するのがおすすめです。スピンナーハンドルでリーチを稼ぐことできつく締まったドレンボルトを楽に緩めることができ、締め付けトルクのコントロールも容易になります。

POINT

  • ポイント1・オイルドレンボルトを着脱する際はスパナやモンキーレンチではなくメガネレンチやソケットレンチを使用する
  • ポイント2・ドレンボルトは六角頭ばかりとは限らないので、初めてオイル交換を行う機種の場合はボルトの種類を確認する

横向きオイルフィルターカートリッジはオイル漏れキャッチで汚れを防止

クランクケースとエキゾーストパイプのクリアランスからすれば、オイルフィルターカートリッジがエンジン左側に取り付けられている理由も分かる。しかしエキパイの間を縫ってカップレンチや工具を挿入しなくてはならないクランクケース前面取り付けタイプより、メンテナンス性は上かも知れない。

何も考えずオイルフィルターカートリッジを緩めれば、座面から流れ出たオイルがエキゾーストパイプに直撃するので、ある程度の柔軟性とコシがあってオイルが染み込まない事務用品のクリアファイルをガイドとして貼り付けた。厚紙や段ボールだと硬くて樋としての道を作りづらいのが弱点となる。

思惑通り、カートリッジとクランクケースから流れ出たエンジンオイルはクリアファイルを伝ってオイルパンに流れてくれた。ガイドを取り付ける際は左右の幅と同時に後方(エンジン中央側)に傾斜しないように注意する。

オイルガイドは新しいフィルターカートリッジを取り付けるまで剥がさず、カートリッジ締め付け後に座面をパーツクリーナーで洗浄してから取り外せば、エキパイにはオイルもクリーナーも付着させずに済む。

エンジンオイルはフィルターカートリッジ交換時の規定量を一度に注油するのではなく、90%程度入れた状態でエンジンを始動してフィルター内に循環させてから、点検窓の油量を確認しながら追加する。上限と下限の中間まで入っていればオイル量は充分だ。

ドレンボルトと言えば六角頭という固定観念があるのと同様に、オイルフィルターカートリッジは下向きか前向きというのもまた思い込みのひとつかもしれません。クランクケース内のオイルポンプとオイル循環経路の関係上、オイルフィルターはどこにあっても構わないと言えばかまわないわけで、MT-10(YZF-R1も同様)のフィルターカートリッジはエンジン左側に横向きに装備されています。

フルカウルにカバーされたYZF-R1と異なりネイキッドスタイルのMT-10では丸見えとなるカートリッジに若干の違和感がありますが、エンジンにピッタリ沿って配置されているエキゾーストパイプを見ると、クランクケースの前方や下方にオイルフィルターが出っ張る選択肢はなかったのだろうと理解できます。

カートリッジ交換という作業だけを考えれば、着脱時に干渉物に邪魔されない横向きフィルターはむしろ好ましくもありますが、取り外す際にクランクケースとの合わせ面から流れ出すオイルがやっかいです。合わせ面の下にはエキパイがあり、垂れたオイルは確実にここに付着します。オイルで汚れたらパーツクリーナーで洗い流せば良いという考えもありますが、思いも寄らない場所まで流れるとパーツクリーナーとウエスで拭き取りきれず、エンジン始動時にマフラーから立ち上がる白煙で気づかされることになり、それがマフラーの汚れの原因にもなります。

あらかじめフィルターの下にウエスを置いて緩めるのも良いですが、想定より多くのオイルが漏れたときに染み出してエキパイやマフラーと汚してしまうリスクもあります。そこでお勧めしたいのが、垂れたオイルを流す「樋(とい)」をオイルガイドとして設置する手段です。ここでは事務用のクリアファイルをエキパイに張っていますが、カートリッジの座面から流れ出たオイルをドレンパンにスムーズに導くことができました。同様の機能を持つ工具として、薄いアルミ板をゴムコーティングしたプレートもあるので、コシの弱いクリアファイルでは心配というユーザーはそうしたアイテムを活用しても良いでしょう。

クリアファイルやプレートでオイルガイドを設置する際は、ガイドの幅や勾配を検討します。フィルターカートリッジの取り付け面やガイドを貼り付ける部分の傾きによってオイルがどの方向に流れるか、流れたオイルがガイドをどう伝わるかを想定し、マフラーやエキパイなどを汚すことなくオイルを排出すれば、ウエスやパーツクリーナーを節約でき作業時間も短縮できます。

フィルターカートリッジがクランクケース前方にあってもオイルパン底部にあっても、取り付け座面からオイルが流れ出した先にマフラーやエンジンやその他の部品があるなら、オイルの軌道を変えて汚れを防止することは有効です。「どうせ汚れるのだから、後で清掃すればいい」という考え方もありますが、汚す量を少なくすることで手間を減らせれば、それに越したことはありません。

POINT

  • ポイント1・カートリッジタイプのオイルフィルターを取り外す際は座面からカートリッジ内のオイルが流れ出る
  • ポイント2・カートリッジの座面から流れ出たオイルが車体に付着しそうな時は、フィルター取り付け部の下にガイドを設置してオイルを排出すると良い

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コメント一覧
  1. 匿名 より:

    良記事ですね。

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