不動車再生時に見て見ぬふりをできない部品がキャブレター。完全固着でスロットルを開閉できない!?といった例も決して珍しくは無い。エンジンから取り外したまでは良いが、固着部品をどのように分解したら良いものか……?。ここでお勧めしたいのが、鍋とお湯を使った釜茹でによる分解段取りだ。ここでは、固着している4気筒キャブレターの分解チャレンジの様子をリポート。この作業段取りにご注目いただきたい。

固着の度合いで作業方法も異なる


バイクから外されたまま納屋の中で放置され続けてきた!?と思わしき4連キャブレター。スロットルバルブやバイスターター機能は完全固着していて、オーバーホール以前にバラすことすら大変なのが、このキャブレターだった。ここでは「丸洗い=釜茹で」という荒業洗浄にトライしよう。

スムーズに分解できないときは!?




↓↓↓固着状態で無理やりコジるのはダメ!!↓↓↓


実は、完全固着の状況に気が付き、スロットルバルブ周辺に防錆潤滑浸透スプレーをたっぷり塗布し、ボディをヒートガンで温めてみたが、スロットルバルブの固着は改善されなかった。ここまで酷いキャブの固着は久し振りだが、キャブメンテナンスにヒートガンは必要不可欠。しかし、酷い固着には歯が立たないこともある。完全固着状態の中で無理強引な分解作業はいけない。スロットルバルブのカッタウェイにドライバーを引っ掛けて「テコの応用」で無理引き抜こうというのはもってのほかだ。

釜茹で「洗浄前の段取り」



固着の原因がスロットルバルブだけではないこともあるので、トップカバーを取り外してスロットルリンケージを外し、ピストンをフリーにしてみた。この段階でスロットルバルブは完全フリーのはずなのだが、バルブは一番下まで降りていて完全固着状態。動く形跡はまったく無い。ドライバーなどで無理やりこじってはいけない。仕方ないので、固着したバルブはそのままに、分解できる部品はすべて分解した。エアスクリューはスムーズに外れ、ニードル先端が潰れているようなことも無かった。完全固着ながら、基本的な程度は良いキャブレターなのかも?各気筒の分解パーツをしっかり管理復元できるように、ペットボトルをカッターでカットして、仕分け容器を自作した。

鍋と水道水とケミカルと






小型寸胴鍋を使ってキャブレターを丸洗いすることに。携帯ガスコンロで温めたお湯の中に花咲かGマルチクリーナーを混ぜ、お湯+洗浄ケミカルで効果的な固着溶解に挑んだ。寸胴鍋が大きくないので4連キャブレターを一度に丸ごと洗うことができなかったので、2気筒ずつ洗浄。熱湯でボディ全体を温めながら丸洗い。反対側もひっくり返して引き続き洗浄した。片側を洗ったところで撮影してみたが、その違いは明らかだ。1/2番が洗浄前で3/4番ボディが洗浄後である。その違いは明らか!!この「丸洗い=釜茹で」は、様々な場面で応用できると確信。

最後の仕上げは再度ケミカルで






4連キャブレターすべてを釜茹で洗浄。スロットルバルブは僅かに動くようになった。そこで、キャブクリーナー用のクリーニングケミカルを吹きつけた後に、ヒートガンでボディを温めてみた。ケミカルをブシューッと吹き付け、しっかり浸透させながらヒートガンでピストン周辺やボディーをさらに温めると、スロットルバルブが粘りながらも動くようになった。ここで初めて、ドライバーでスロットルバルブをこじると、チカラを入れずもバルブがスーッと持ち上がった。分解成功!!


ここまでの作業で、ようやく分解段取りができたカワサキ空冷4気筒用ミクニ製キャブレター。これから本格的な分解&オーバーホール作業に取り掛かる。分解前の画像と比較すれば、その違いは明らかだろう。それでも「分解段取りの完了」に過ぎない。

POINT

  • ポイント1・金属部品の分解時は無理にバラさず熱を使って温め、潤滑ケミカルを浸透させようよう 
  • ポイント2・釜茹で時は沸騰させずに70~80℃前後で効果あり
  • ポイント3・動き始めても無理しないでクリーニング進行

以前はエンジン始動後から快調だったのに、しばらく乗らなかったことでキャブレターが不調になりアイドリングが不安定になったり、始動性が悪くなったりすることがある。まずは「はじめの一歩」から、ということで、4連キャブレターの分解メンテナンスを実践することになった。見るからに要オーバーホールなキャブレターだが、見た目だけではなく、スロットルバルブは開閉せずに完全固着していた。そこで、分解作業の段取りとして「丸洗い」することに。この丸洗い=釜茹でによって、後々の作業性=分解作業が間違いなくしやすくなるのだ。

コンプリートバイクの状態で長期間放置されていた部品と、単品部品状態で長期間放置されていた部品では、仮に、同じ保管場所だったとしても、パーツのコンディションには違いが出て当然だろう。特に、キャブレターのような部品は、大きな違いが出てしまいやすい。車両に装着されていると、キャブ本体の前後はインシュレーターやエアインレットパイプでふさがれていて、直接的にキャブ本体内へ水分や汚れが入り難い。その一方で、キャブとガソリンタンクはフューエルチューブで連結されているので、ガソリンが流れ込んでしまう状況も考えられる。

キャブ単体のままで放置されると、キャブ内部に水分やホコリなどの汚れが入り込み易くなり、想像以上にコンディションが悪化してしまうケースもある。そんな意味でも、部品単位でパーツを保管する際には、できる限りビニール袋や紙袋、状況によっては梱包固定用のラップでグルグル巻きにしておいても良い。もちろん、フロートチャンバーを取り外してガソリンを抜き取り、エアーブローすることも重要だろう。要するに、現状コンディション以上に悪化しないような保管が重要なのだ。

ここで分解メンテナンスする4連キャブは、カワサキ空冷4発のミクニ製。車両放置ではなく、パーツ単品で放置していたそうだが、放置期間が長い上にキャブ内にはガソリンが残留していたため、残念ながらスロットルバルブは完全に固着した状況だった。その他も含めて、稼動部分はことごとくロックしていた。

このようなキャブレターは、オーバーホール以前に、分解すること自体が面倒な作業になる。強引かつヘタに分解すると、大切なパーツに「大きなダメージ」を与えてしまうことも考えられるので要注意だ。このようなキャブAssyを分解する際に、極めて大きな味方となるのが「熱」である。固着したキャブレターの多くは、ボディを全体的に温めることで、固着の原因であるガソリンワニスやタール成分が解けて、固着していた稼動部が動き出すことが多い。ここでは熱の利用、キャブ本体を全体的に温めることができる「丸洗い=釜茹で」作戦で分解段取りした様子をお届けしよう。

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