エンジンメンテナンスでも車体のメンテナンスでも、ボルトの緩み止めや液漏れ&オイル漏れに対して、心強い味方かつ、抜群の働きを期待できるのが各種液状ケミカルだ。ベテランサンメカの多くは、各種液状ケミカルを巧みに使い分け、適材適所で最適のメンテナンスを実践しているものだ。ここでは、数多く存在する液状ケミカルの中でも、手元にあることで、安心していられる「=ココロの保険」にもなる、パーマテックス社製の商品をいくつか抜粋し、ご紹介しよう。

耐ガソリン性液状ガスケットなら……


液状ガスケットにも様々な使用途がある。エンジンオイルや冷却水の滲みや漏れ箇所を修理するために利用する商品と「ガソリンの滲みや漏れ」に利用する商品では、その成分が異なる。ここで注目するのは、耐ガソリン性=Fuel Resistant(フューエル・レジスタント)と呼ばれる商品。水やオイルに対して、ガソリンの成分が違うのは周知の事実。そんな耐ガソリン目的で利用できる商品があることも知っておこう。耐ガソリン性ケミカルの中でも、乾燥硬化によって性能を発揮する商品と、塗布したことで早期から効果を発揮する商品の2タイプがある。言わば、前者は接着剤のように、ある程度の硬化待ち時間が必要になる。その一方で、後者は比較的早期から耐ガソリン反応を発揮し、液状ケミカルが粘ることで漏れ滲み原因の隙間を埋め、ガソリンの滴りを防ぐという特徴がある。
ここに紹介する、パーマシールド・ガスケットドレッシング&シーラントという名の商品は、まさにその後者である。使ってからしばらく経過して、その後、分解したときに気が付くが、塗布した液状ガスケットが硬化せず、ベトベト感が残っていることに気が付くはずだ。耐ガソリン性だけではなくエンジンオイルの滲みや漏れにも使えるが、耐ガソリン性を目的に利用するプロメカニック&サンデーメカニックが多いようだ。



ワイヤーケーブルの取り回し変更やキャブ周辺メンテナンス時に、キャブレター本体を取り外すケースは多々あるはずだ。マニホールドとの締結箇所がフランジだったりバンド固定だったり、モデルによってタイプは異なるが、例えば、フランジ締結タイプのキャブを取り外したら、ガスケットのOリングが見るからに潰れていたり、ガスケット紙がカタカチに硬化していて取り外すことさえできないケースがある。そんなときには、決して無理をせず、Oリングやガスケットを取り外さず、Oリング周辺やフランジ面に、耐ガソリン性液状ケミカルを塗布することで、応急処置的なケアができる。新品Oリングや新品ガスケットへ交換するのがベストだが、必ずしも交換部品が手元にあるとは限らない。そんなときこそありがたい存在と言えるのが、液状ケミカルでもあるのだ。

キャブレターのフロートチャンバーガスケットの座面から、ガソリンが滲み染み出てくることはよくある。そんなときにも良い仕事をしてくれるのが、耐ガソリン性液状ケミカルなのだ。この商品は、指先に取って擦り合わせるとベトベト感が強く出ることに気が付くはず。そのため、ガスケット面に薄く延ばして塗り付ける作業が意外と難しく、必要以上に厚く塗ってしまうこともあるので要注意だ。ここでは、塗布時のコツをご覧いただこう。指先に取ったケミカルを軽く擦り合わせた後に、指先の腹部分でガスケット面を叩くようにペタペタと塗布するのが良い。こうすることで、無駄なく確実に液状ガスケットを患部に塗布することができる。

ウルトラシリーズは強弾力ゴムへ変化!!



ウルトラブラックという商品は、ズバリ「シリコン系液体ガスケット」を象徴した商品だ。新素材であるシリコンが一般的に普及し始めたのは1980年代の初頭。1960年代の前半以前は、動物性たんぱく質を煮詰めて作った「にかわ」と呼ばれる接着剤が液体ガスケットとして使われ、1970年代に入ると合成接着剤の液状ガスケットが利用されるようになった。そして1980年代に入ると、にかわや溶剤では得ることができなかった「耐熱性」に優れるシリコンを原料にした液状ガスケットが普及した。その耐熱性と充填性は圧倒的で、メンテナンスシーンでは欠かせない存在になったのがシリコン系液状ガスケットだ。充填性が良いため、ある程度広い隙間でも埋めてくれる特性がある。
例えば、エンジン部品の分解時に、再利用しようと思ったガスケットが切れてしまった!!本来なら新品ガスケットへ交換するのがセオリーだが、緊急事態の時には、パーツクリーナーでガスケット周辺の油分をしつかり脱脂し、切れた部分の裏表に液状ガスケットを適量塗布し(多く塗り過ぎると逆に良くない)、ジグソーパズルを復元するかのように慎重にピースをセットしてカバーを載せ、ボルトを締め付けることで緊急脱出に成功できることもあるので知っておこう。

スペアのガスケットが無いときには、ガスケットを利用せず、エンジンカバーに直接的に液状ガスケットを塗布することでシール性能を得られることもある。これは旧車のクラッチカバーで、ガスケットベース紙からキリ抜いてカバー形状のガスケットを自作していたが、ガスケット紙が在庫切れで手元に無かったのと、切り抜き作業が面倒だったこともあり、充填性が高い液状ガスケットをダイレクトに塗って利用してみた。すると、何事も起こらずオイル滲みも発生しなかった、このような使い方が可能なことも覚えておこう、実践の際には、ガスケット座面双方の汚れやガスケットのカスをスクレパーで除去したら、オイルストーン(オイルを必ず塗布して利用)で双方のガスケット座面を面だし。それから液状シリコンガスケットを薄く延ばして塗布すれば良い。

エンジンばかりではなく、例えばウインカーやテールランプレンズの内側が曇っていたり水滴がある際には、ガスケット座面に入るOリングに液状ガスケットを薄く塗って併用するのが良い、Oリングが入らないタイプのレンズでも、ウインカーボディのレンズが収まる部分に液状ガスケットを塗布することで好結果を得ることができる。

熱焼き付きを防ぎたいときには







マフラーのエキパイフランジを締め付け固定するボルトやナットは、熱で焼き付きやすい。緩めるときに「キーキーッ」と不快な音を発することがよくある。熱源に限ったことではなく、様々なボルトを緩めるときにキーッと音が聞こえてくるのは、その多くに放置車両履歴がある……?特に、露天放置されていた車両の場合は、雨水などの侵入によってボルトのネジ部分が腐食し始め、キキーツといった音が聞こえることが多い。完全にサビてしまったボルトは、ポキッと折れてしまうが……。
ボルトを緩める時に不快な音が聞こえたボルトやナットを復元する際には「アンチシーズ」と呼ばれる、ボルトやナットのネジ山焼き付き防止ケミカルを利用するのが良い。潤滑成分にアルミパウダーや銅パウダーを練り込んだ商品がアンチシーズ。この商品は、アルミニウムパウダーを含有した耐熱アンチシーズで、エキパイフランジはもちろん、O2センサーの組み立て復元時などでは、次回のメンテナンス時にスムーズな脱着が可能になるように、事前塗布によるケアをあらかじめ行うことができる。トップフブリッジやステムブラケットのクランプボルトやブレーキキャリパー関連のボルト復元時などにも、積極的に利用することができる。ボルトはスムーズに脱着したいものだ。

シールテープ代わりの液状ガスケット





熱源であるエンジン周辺には、冷却水やエンジンオイルなどのパイプやホース、それらを固定するフィッティングがある。国産車の多くは、フィッティングにはガスケットが入り、ホースやチューブの嵌合継手の内部にはオスメスの組み合わせで液漏れを防ぐ作りになっている。それでも経年劣化によって、どうしても液漏れやオイル漏れが発生するケースもある。そんなときに利用したいのがネジ部分に塗布して利用するシール剤だ。一般的には、薄いテフロンを巻いたシールテープを利用することが多いが、用途や場所によってはテープを巻けないこともある。そんなときでも液状ガスケットなら作業性は良好だ。パーマテックス製ねじシール剤は、耐熱性でもあり、困ったときに威力を発揮してくれる。

ネジの緩み防止剤にも種類あり!!





ボルト・スクリュー・ビスなどなど、使う部位や形状種類によって呼び名が変わるが、締め付けたあとにエンジン振動や走行振動などで緩まないようにするケミカルがねじロック剤だ。メーカーによって商品呼称は異なるが、ねじロック剤には、低強度、中強度、高強度の3種類があり、バイクの整備で一般的に使われる機会が多いのは中強度と高強度の2種類。ケミカルを色分けすることで、間違えて使われないような配慮がある。メーカーを問わず中強度は青色(ブルー)で高強度は赤色(レッド)のことが多い。なんでもかんでも塗布利用するものではなく、走行振動が多い箇所で利用することが多い。例えば、ライダーの荷重が掛かるステップブラケットの締め付けボルト、ドリブンスプロケットを締め付けるボルトやナットで利用するケースもある(緩み防止用の折り曲げ固定のロックワッシャー付なら塗布不要)。

どんな液状ケミカルでも「使う前の約束」

まずはボルトのネジ山洗浄がお約束!!


洗浄後はネジ山をクリーニング&点検

エンジンオイルや冷却水の滲みや漏れ箇所を修理する際には、液状ガスケットを塗布利用する前に、滲み漏れたエンジンオイルや冷却水の汚れを「しっかり洗浄するのが約束事」である。同様に、ボルトの復元時にカジリを防止するアンチシーズや緩み防止のねじロック剤を塗布するときには、取り外したボルトをパーツクリーナーで洗浄し、ネジ山をウエスでしっかり拭き取り、コンディションを整えてからケミカルを塗布しよう。汚れたままのボルトにカジリ防止剤を塗布しても、最大限のケミカル効果を得られなくなってしまうからだ。特に、ボルトの場合は、洗浄と同時にネジ山コンディションも確認し、完全にナメているボルトは要交換。ネジ山が潰れ掛かっていることに気が付いたら、ダイスを通してネジ山コンディションを回復させ、それから復元作業に取り掛かろう。

わずかなケアでも効果あり!?

使い終わった液状ケミカルを仕舞う前には、キャップの内側とチューブ側のネジ山をしっかりティッシュなどで拭き取るように心掛けよう。汚れたままでキャップをしてしまい、次に使おうとしたらチューブがカチカチに硬化して……といった経験のあるサンデーメカニックも多いはずだ。また、切り取ったビニールの端を重ねてネジ込むことで、硬化劣化を最小限に抑えられることもある。とにかく大切なことは、作業後ケミカルのキャップ周辺は、しっかりクリーンナップすることだ。

POINT

  • ポイント1・非常事態で威力を発揮「転ばぬ先の杖」としても所有しておこう
  • ポイント2・ 利用目的は同じでも複数種を使い分けて最善を尽くそう!!
  • ポイント3・ 使い終わった後のケアも忘れてはいけない!!

様々なハンドツールを所持していたことや特殊工具を持っていたことで、「ほんとうに助かったよ!!」といった経験を持つプロメカニック、ベテランメカニック、サンデーメカニックは数多いはずだ。
それと同様に、高性能ケミカルも様々なタイプを所有していたいものだ。古くは「にかわ」に始まった液状ガスケットの歴史だが、シリコン素材の普及が浸透して以来、商品のバリエーションは驚くほど増えている。
それでも、シリコン系液状ガスケットがあればオールマイティ!?という訳ではないことも知っておこう。充填効率が良く、硬化後はしっかり部材に食いつき弾力性もある、まさにゴムのかたまりとなるのがシリコン系液状ガスケットの特徴だ。

しかし実は、ガソリンに対しては弱点がある。ガソリンが付着したことで簡単に溶けてしまうことは無いが、いわゆる「膨潤(ぼうじゅん)作用」が発生し、ゴムのかたまりの腰が無くなり、ブヨブヨにふやけてしまう状態になるのだ。これによって密着充填性が低下し、ガソリン滲みや漏れには効果を発揮できなくなってしまうのだ。
エンジンオイルや冷却水には高い効果を発揮できても、ガソリンには弱いのがシリコン系液状ガスケットの特徴でもある。したがって2ストエンジンのように、クランク室=一次圧縮室内に混合気を充填するクランクケースの合わせ面のシール剤には、耐ガソリン性良好な液状ガスケットを利用しよう。しかし現実的には、シリコン系液状ガスケットを利用している例が多いようだ。

シリコン系液状ガスケットにも様々なタイプ=カラーがあり、黒・白・クリアがあるが、シール座面の部品色によって使い分けることもできる。また、カッパー(銅パウダー)含有タイプなどがあるが、銅パウダーが耐熱充填性をより高めている商品もある。必要に迫られてマフラーやエキパイを取り外してメンテナンス進行することがあるが、エキパイフランジに入る使用済みの排気ガスケットに高耐熱液状ガスケットを併用することで排気漏れを防ぐことができる。また、エキパイや中間接続にマフラーを差し込み、バンドで固定するタイプでも、マフラー内側のカーボンすすをウエスでしっかり拭き取ってから高耐熱液状ガスケットを塗布することで、排気漏れ防ぐことができる、しかし、組み付け復元直後にエンジン始動したことで、充填したはずの液状ガスケットが排気圧力によって吹き飛ばされてしまうケースもあるので、排気漏れが激しいと感じた時には液状ガスケットが硬化してからエンジン始動してみるのが良い。

以前は冷却水漏れに悩まされたウェットライナータイプのシリンダースリーブでも、高性能シリコンで作られた液状ガスケットが登場したことで、シール性能が圧倒的に高まり「冷却水漏れに悩まされることが無くなった!!」と語るベテランプロメカニックも多い。液状ガスケットの世界も日々進化しているので、使用途に応じて使い分けながら「ケミカルの達人」を目指してみよう。

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