原付からビッグバイクまで500機種以上に対応するキースターの燃調キットの中で、代表的な人気製品のひとつとして挙げられるのがカワサキバリオス用です。1990年代にデビューした250ccネイキッドモデルは、登場から30年を経てもなお若いライダーを中心に絶版車市場で高い人気を誇っています。レーサーレプリカ譲りの高回転高出力エンジンの本領を楽しむためにも、4連キャブレターのメンテナンスやセッティングは不可欠です。

不調や不具合に気付かないまま乗り続けられることも多い250ccクラス

生産期間が1991~2007年と長く、性能・スタイル両面で今も人気が高いカワサキバリオス。ネイキッドデザインの車体に搭載された250cc4気筒エンジンはレーサーレプリカのZXR250用がベースとなるため、キャブレターは大きく斜めに傾いたダウンドラフトタイプが装着されている。

ガソリンタンクの下には大容量のエアクリーナーボックスがある。エアクリーナーエレメントを交換するにもガソリンタンクの着脱が必要で、メンテナンスに無頓着なオーナーが乗り続けた車両の中には、スポンジタイプのエレメントがボロボロに崩壊しているものもある。そんな車両はキャブの状態も推して知るべし。

ダウンドラフトタイプのキャブレターはインテーク部分がほぼ真上を向いているのが特徴。ボディが水平で車体サイドから見えるホリゾンタルタイプに比べてキャブに到達するまでに掛かる手間が多い分、メンテナンスが行き届いていない車両もある。

現行車、絶版車を問わずすべての排気量、あらゆるジャンルのバイク人気が高止まりしている昨今。新車の生産が滞り納車までの期間が極端に長くなる中、ライダーの目は自然と絶版車にも向いています。

絶版車に対する人気は10年以上前からずっと続いていますが、かつては1970年代の大型車中心だったものが今では400cc、250ccクラスにも波及しており、時代も2000年代車まで下ってきています。ベテランライダーにとっての2000年代はつい最近ですが、冷静に見ればすでに20年が経過しており、若いライダーには懐かしさの対象となっているのも無理はありません。

そうした「新しめの絶版車」の人気筆頭株といえばカワサキバリオスです。1980年代のレーサーレプリカブームが沈静化しかかった1991年に登場したバリオスは、レプリカモデルのZXR250用4気筒エンジンを搭載したネイキッドモデルでした。フライホイールマスを増やしカムシャフトのプロフィールを穏やかにするなど、ベースとなったZXR250をデチューンしたように見せかけながら、実は低速からパワー感のある走りを見せつけたバリオスは、その後2007年まで生産が続くロングセラーとなります。そして最終モデルが発売されてからすでに15年を経た現在でも、絶版車市場では相変わらず好調な売れ行きを見せているようです。

ところで軽二輪の250ccとそれ以上の自動二輪の絶版車では、車検の有無が大きな違いとなっています。排気量が何ccであれ必要なタイミングで必要なメンテナンスや整備が必要なことに変わりはありませんが、2年に一度の車検制度が存在する250cc以上の自動二輪車は、結果的に車検が整備を行う機会になります。

対して250cc以下には整備状態を確認する車検制度がないため、ともすればルーズになりがちです。その上、売買に関するハードルも自動二輪に比べて低いため流通する車両のコンディションはまさに玉石混淆状態となります。

キャリア豊富なライダーであれば、調子の悪いバイクに乗れば悪いポイントを指摘できるでしょうが、さまざまな経験値が少ないライダーにとっては、自分が乗っているバイクの調子が良いのか悪いのか判断できないこともあります。それはフレーム、サスペンション、エンジン、そしてキャブレターのコンディションにも当てはまります。

スロットルをひと捻りすれば易々と1万5000rpmまで吹き上がる高回転型エンジンがバリオスの魅力のひとつですが、一方でギアを1速に入れてクラッチをつなぐアイドリング付近がギクシャクして乗りづらいという思いのまま「高回転型の絶版車だからこんなものだろう」とあきらめているユーザーも少なくないようです。

しかし30年近くを経過した絶版車とはいえ、1990年代に新車で発売された市販車で低速が扱いづらいなどというモデルはまずありません。乗りづらさを感じるとしたら、何かの原因でどこかがおかしいと考えるのが妥当です。

純正部品の入手方法が分からなくても燃調キットを買えばすべてが揃う

キースターの燃調キットはキャブレター1個に対して1セット必要で、4連キャブのバリオスは4セット使用する。ガスケットやフロートバルブ、パイロットスクリューやスターターバルブなど、メンテナンスやオーバーホールで重宝するパーツも多数含まれているのがありがたい。

純正サイズを中心としてメインジェット6個、スロージェット3個、ジェットニードル4本でセッティングを行う。ジェットの穴径やニードルのストレート径やテーパー角度はキースターが蓄積する独自のノウハウで決定されているため、キャブレターメーカーの設定とは異なることもある。

上からチョークレバーと連動するスターターバルブ、メインジェットを取り付けるジェットホルダー、フロートチャンバードレンスクリュー、パイロットスクリュー。スターターバルブ内部のゴムシールが劣化するとチョークレバーを戻しても若干チョークが効いた状態が続いたり、パイロットスクリューの細い先端が傷つくとアイドリング付近の混合気に影響が出ることもある。これらはメンテ不足のキャブのコンディションを回復するために重要なパーツとなる。

フロートバルブ先端の摩耗やフロートチャンバーガスケットの劣化によるガソリン漏れは、セッティング以前に対策が必要。純正部品番号が分からない場合でも、機種ごとに設定された燃調キットを購入すればパーツ選定は間違いない。

ここではキャブレターに原因を絞って、絶版高性能250ccモデルのメンテナンスを考えてみましょう。レーサーレプリカであるZXR250用の高回転型エンジンを転用したカワサキバリオスは、負圧式ながらダウンドラフトタイプのケーヒンCVKキャブレターを装備しています。エンジンが4気筒なのでキャブは当然4連です。

250ccクラスゆえビギナーユーザーにも扱いやすいようセッティングされていますが、高性能エンジンのパフォーマンスを存分に引き出せるよう入念なセッティングが施されています。そのため、先のように250ccクラスにありがちな乗りっぱなしの車両には、30年近い時間の経過もあり相応の不具合が生じても不思議ではありません。

例えば長期放置期間を経験した車両では、キャブレター内部に残ったガソリンが劣化してジェットやニードルにこびり付いたり、通路を塞いでしまうことがあります。そうした汚れは浸透性の高いキャブレタークリーナーで溶解除去してあればまだしも、針金などの硬い金属を通してしまうとジェット内径を傷つけてしまうと、それがきっかけでキャブセッティングが変調する場合があります。

キャブレター内部のスロージェットやメインジェット、ジェットニードルやニードルジェットはそれぞれがガソリンや混合気を計量する精密部品であり、4連キャブの場合は4つのジェットの内径、ニードルの形状が同一でなければなりません。ひとつのキャブのジェットだけ針金でつついて内径が拡大されていたら、エンジン性能も正しく発揮されることはありません。

ここで紹介するバリオスもまさにそうした1台でした。オーナーによれば、キャブレターもエンジンもとりたてて不具合を感じることはないとのことですが、ガソリンタンクとエアクリーナーボックスを取り外してみると、キャブの入口付近にはエンジン側から吹き返してきたであろうガソリンの汚れがびっしり付着しています。またフロートチャンバーの底部にもガソリンタンクから流れ込んだ錆や泥のような汚れが溜まっています。

肝心なのはキャブ本体のエアーや混合気の通路、ジェットの穴径がいじられていないかですが、ノーメンテナンスの状況証拠から判断すると、少なくとも程度良好とは言えません。ジェット類の状態を判断しようとも、1/100mm台の精度で加工された穴径を目視で確認するのは不可能です。オーバーホールを行うなら内部パーツ一式が必要ですが、それらをどのように手配すれば良いか分からないライダーも多いはず。

そんなときに重宝するのがキースターの燃調キットです。吸排気系パーツを交換したりエンジンの仕様を変更した際のキャブレターセッティングに必要なスロージェットやメインジェット、ジェットニードルをまとめたのが燃調キットの特長であり美点ですが、フロートチャンバーガスケットやフロートバルブ、パイロットスクリューや4連キャブのフューエルジョイントOリングといったオーバーホールやメンテナンスに必要なパーツ一式も入っています。

つまり燃調キットを購入すれば、キャブ内部の細々としたパーツをひとつずつリストアップする必要はなく、作業の途中で買い忘れたパーツに気づいて落胆したり余儀なく一時停止となる心配もないというわけです。

まずはスタンダード状態でオーバーホールして、必要に応じてセッティングを行う

ガソリンタンク、エアクリーナーボックスを外したら、キャブレターをシリンダーヘッドに取り付けるインテークマニホールドのバンドを緩めて、フレームの隙間から上方に引き抜く。ゴム製のマニホールドにひび割れや亀裂があると二次空気を吸い込む原因になるので、劣化が進行している場合は新品部品に交換する。

混合気の吹き返しによると思われるガソリン汚れが付着している。すべてが同程度の汚れなら納得できるが、特定のキャブだけ汚れが目立つ場合はキャブやエンジンに不具合がある可能性もあるので要注意。長期間ガソリンに触れていたせいか、エアクリーナーボックスとの間のガスケットが膨潤している。このガスケットは燃調キットに含まれないので、純正部品を入手して交換する。

事前に普通に走行できると聞いていたが、フロートチャンバー内部はガソリンタンク内の錆と汚れが溜まってこの通り。このような状態だと、過去にジェットやエアーの通路が詰まったことがあるかもしれないと疑い、外せるパーツはすべて外して内部を徹底洗浄した方が良い。

アイドリングやスロットル開度が小さい領域の混合気量を決めるパイロットスクリュー。パイロットスクリューで計量した混合気の出口であるパイロットポートは、スロットル操作で開閉するバタフライバルブよりエンジン側にあり、アイドリング時に大きな負圧が加わる。そのためスクリュー先端には、キャブ外部からの二次空気の吸入を防止するためのOリングが付いている。経年劣化によってOリングが硬化してシール性が低下するとアイドリング領域の混合比に影響するので、スクリューを取り外したらOリングを新品に交換する。

フロートの浮沈で開閉するフロートバルブは、先端の円錐部分の状態が重要。ボディ側のバルブシートと当たって摩耗すると気密性が低下して、見かけ上バルブが閉じてもフロートチャンバー内にガソリンが流れ込んで油面が上がったり、オーバーフローの原因となることもある。このキャブレターのバルブシートは着脱可能で、燃調キットにも新品バルブシートが入っている。

キャブレター内部のパーツは柔らかい真鍮系の合金を使用しているため、鉄製のビスのように扱うと簡単にネジ溝を破損してしまう。メインジェットを取り外す際はジェットホルダー部分をめがねレンチで固定して、マイナス溝にぴったり合ジェットドライバーを使用する。スロージェットはメインジェットより細く溝の幅も狭いので、ドライバーの扱いには慎重さが必要だ。

ジェットニードルはトップカバーを外し、バキュームピストンの底から引き抜く。長期放置でフロートチャンバー内のガソリンが劣化しているキャブでは、ジェットニードルも腐敗したガソリンに浸り、異物が付着している場合もある。フロート室内ばかりに気を取られてニードルのチェックを忘れると、汚れたニードルで中間開度以上の混合比が不安定になる事があるので、オーバーホール時には必ず確認する。

ハンドル部分のチョークレバーを操作するとスターターバルブが開き、冷間時の始動性を向上させる濃いガソリンがエンジン内に吸い込まれる。ガソリン流路を開閉するのはバルブ先端のゴムパッキンで、経年劣化でゴムが硬化するとチェークレバーを戻してもガソリン漏れで混合気が濃くなり、スロー系のセッティングと誤解する原因となる場合もある。燃調キットにはこのバルブも含まれている。

キャブボディから取り外した部品は、元のボディの位置が分かるように区別しておく。4連キャブの中には、純正で外側2個と内側2個のジェットのセッティングが異なる機種もあるので、入れ違いを起こさないことが重要。そのような機種向けの燃調キットは、外側用と内側用で異なるセット内容で販売されている。

フロート室内の汚れが顕著な場合、キャブボディのガソリンとエアー通路の徹底洗浄が必要不可欠。一般的なブレーキ&パーツクリーナーではなく、ガソリン系の汚れを溶解できるフォームタイプのキャブレタークリーナーやエンジンコンディショナーを通路という通路内に吹き込み、見えない汚れを除去する。キャブクリーナーの使用後、すぐにキャブを組み立てて走行する場合は良いが、しばらく乗る予定がない場合はキャブクリーナー成分をパーツクリーナーやガソリンですすぎ洗いしておくと良い

キャブレター外部の汚れもキャブレタークリーナーで洗浄する。4連キャブのバタフライバルブ連結部のビスは同調調整用なので、バキュームゲージを所有していない場合はドライバーで回さないこと。

フロートチャンバーの溜まった汚れがジェットから吸い上げられると、せっかくキャブボディ内部を洗浄しても台無しになるので手を抜かず洗い流す。1990年代モデルになればほぼ問題ないが、1970~80年代の樹脂製フロートの中にはパンクとは別に樹脂自体にガソリンが浸漬して重量が増え、フロートバルブが閉じづらくなるものもある。変色が著しかったり違和感がある場合、それぞれの重量を測定して確認しておこう。

オーバーホール目的で燃調キットを活用する場合、最初からサイズを変更すると基準が分からなくなってしまうためジェットやニードルはスタンダードサイズを装着する。過去の整備で穴径が傷つけられてしまったかも知れない純正ジェットやホルダーに対して、キースターの新品パーツをセットするのは実に気持ちが良い。ジェットホルダーの筒部分の小さな横穴は、ガソリンと空気を混合するブリード穴と呼ばれる重要な部分。穴が詰まったままだったり、汚れを取り除く際にピンバイスなどで拡大してしまうと、メインジェットサイズとは違う部分で混合比が変化してしまう場合があるので絶対に傷つけないこと。

燃調キット内の新品ガスケットを使用してフロートチャンバーをボディに取り付ける。完成したキャブレターを取り付けてエンジンを始動したら、パイロットスクリュー調整を行う。パイロットスクリューは軽く締め込んだ位置から1・3/4回転戻した位置を標準としてアイドリング状態で1回転をめどに開閉し、それぞれのキャブごとにエンジン回転数が最も上昇する位置にセットする。

純正キャブレターのセッティングを変更できるだけでなく、オーバーホールに必要なパーツまで揃うキースターの燃調キットは、整備状況が怪しい絶版車のキャブのメンテナンスにも最適な製品です。ここで紹介するカワサキバリオスのような、プロの手による定期的な整備を受けてこなかったような絶版車にもまさにうってつけです。

オーバーホール前にスパークプラグがかぶるほど混合気が濃かったり、逆に電極が真っ白になるほど薄くなければ、燃調キットのジェットやニードルは純正サイズを使用して整備を行います。マフラーを交換している、エアクリーナーボックスを加工したりパワーフィルターに交換しているからといって、最初から純正と異なる番号のジェットやニードルを組み込んでしまうと、評価の基準点が定まらなくなってしまいます。そもそも分解前のジェットやニードルがすでに傷んでいる可能性もあるので、スタンダードセッティングでスタートするのがセオリーです。

一方、メンテナンス状態が良好で組み込まれたジェット類を信頼でき、セッティングのために燃調キットを使用するのであれば、スパークプラグの焼け具合を観察してジェットサイズを変更します。

純正キャブレターから取り外せる部品をすべて取り外し、エアーやガソリン通路をキャブレタークリーナーで入念に清掃したら、純正と同じスロージェット#38、メインジェット#98、ジェットニードルN76Xを選択して組み付けます。これらはキャブセッティングを左右する重要なパーツですが、メンテナンス視点ではフロートバルブやパイロットスクリューを新調できることも見逃せません。

フロートバルブはフロートチャンバー内のガソリン油面を決める、キャブセッティングにとっても重要なパーツです。チャンバー内にガソリンが流れ込みフロートが浮き上がり、フロートバルブがバルブシートに接触するとガソリンの通路が閉じる仕組みですが、バルブの先端が劣化して正しく閉じなくなるとガソリンタンクからチャンバー内にガソリンが流れ続けて油面が高くなったり、オーバーフローを起こす原因になります。

燃調キットはキースターの特許技術であるAA(アンチアルコール)ニードルを採用し、キャブレターの種類によってはバルブシートも入っています。この2点を交換することで、オーバーホールやセッティングの土台となる油面の安定化を図ることができます。

スロージェットで作られた混合気の供給量を調整するパイロットスクリューも、アイドリングやスロットル開度が小さい領域で重要な働きをするパーツです。スクリューを締め込んで止まった位置から緩める(戻す)回転数で調整するパイロットスクリューは、強く締め込みすぎるとスクリューが傷んで混合気の供給量に影響を与える事があります。このパーツを新品に交換することで、スロットル低開度領域のコンディションが回復するため、スタート時のフィーリングが改善されます。

絶版車のコンディションを左右する鍵を握るパーツのひとつがキャブレターであることは疑いようのない事実です。キャブレターパーツ一筋に製品開発と製造を行ってきたキースターの燃調キットは、純正キャブレターをセッティングできるのが最大の特長ですが、同時にメンテナンスやオーバーホールなど整備作業で重宝するのも大きな魅力で、多くの絶版車にとって頼りになることは間違いありません。

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