
皆さん、「プラグの向き」って気にしたことありますか?
「プラグって何?」と思った人は、まず下の記事を読んでください。
「アレに方向とかあるの?」と思った人、「常識だよ!」と思った人にとっては、今回の【MOTO HACK】で紹介する「イカベル」さんの実験はなかなか興味深い結果となっています!
エンジンの燃焼のために欠かせない着火の機能をもつ「スパークプラグ」、よく見るとその先端は「コ」の字をしていることがわかります。これがエンジンの中でどっちを向いているかによって、燃焼の具合が変わるというのはその構造を考えると明らか。燃焼室全体をまんべんなく使い切れる、理想的な「プラグの向き」というのは確かに存在します。

一般的なプラグの先端には電極が伸びている。これが障害物となり、燃焼室の状態に影響を与える。
そういうことを知識として知っている人も、しかし「プラグの向きを変えてみて、シリンダーヘッドの具合を目で見てチェックする」という実験をした人はなかなかいないのではないでしょうか。バイクメーカーのマニュアルにも「プラグの向きはこう指定する」といった指示はなく、普段使いで「プラグの向きが悪いからパワーダウンした……」ということも起こりはしません。ですので、そこまでチェックする機会も少ないものです。
ところが、「イカベル」さんは愛車グロムのプラグの向き、そして燃焼室の構造に疑問を持ち、実際に様々な向きをテスト。
燃焼室についたカーボンの具合を見て、「プラグの向き」が与える影響はなかなか無視できないものだとハッキリわかる、素晴らしいテストになりました。レースやチューンナップに挑戦するライダーにとっては興味深い実験結果ですし、「知識として知っていることを実際にやってみる」というチャレンジスピリッツからは、新たな発見が生まれること間違いありません!
目次
燃焼効率の良いスパークプラグ外側電極の向きについて
2022年05月31日 イカベルさんの整備日記より
最初に言っておきますが、これは独自の実験で、しかも実験途中の知見・見解なので参考程度にとどめておいてください。
実践する際は各自の自己責任でお願いします。間違った見解でも責任とれませんから(笑)
燃焼効率が最も高いスパークプラグ外側電極の"向き"や"高さ"が存在するってことは既知であるとして、JC92Eの場合、ヘッドドームのスパークプラグ穴横に土手があるんですよね。たぶんこの土手もありきで爆発(爆風)の効率を上げているんだと勝手に解釈してるんですが、これも踏まえてベストなスパークプラグ外側電極の向きが存在するはずです。ベストな爆発(爆風)をしてくれる外側電極の向きはどこでしょうかねぇ。※今回、高さについては話しません。
JC92を購入してはや1年、何度かシリンダヘッドを外す機会があり、その時にスパークプラグ外側電極の向きを何個か試してみました。
検証したのは、
・外側電極をEX側(トップ45度)に配置
・外側電極を土手側(トップ180度、ピストン側)に配置
ちなみに、ベストな爆発(爆風)の仮定は、以下とします。
・爆風がドーム内にまんべんなく広がり
・爆風によるベクトル(ここでは力の大きさと向きのこととする)がピストン側にたくさん向くこと
まだ全角度を試したわけではないのですが、現状の知見・見解としては、外側電極を土手側(トップ180度、ピストン側)に配置した場合が最も良さげです。
走行した体感も、エンジン鼓動が一番元気でトルク感が違います。
今後もいろいろ試行錯誤して遊んでみましょう(笑)
外側電極をEX側(トップ45度、赤矢印)に配置した場合(1)
一般的に、自動車の場合は、EX側に外側電極を向けるのが良い(逆だったかも)とされています。
しかしながら、土手向こう側、外側電極の右側にカーボンが付着してません。
つまり燃焼ムラが発生してます。
走行した際、エンジンには特に異常はないです。フツーでした。
でも、こんなに燃焼ムラが発生してるんですね。
外側電極をEX側45度に配置した場合(2)
プラグから遠いところで、カーボンが広範囲に付着していない箇所が存在。
つまりは、爆風が回り込めていないってことなんでしょうね。
外側電極を土手側(トップ180度、ピストン側)に配置した場合と比べて、バルブのすすこけ方に差があります。
IN側に不完全燃焼の傾向がみられるってことでいいかな。
フツーに走れてたんだけどなぁ…
つーことで、外側電極をEX側に向けるのはイマイチだぞっと。
外側電極を土手側(トップ180度、ピストン側)に配置した場合
外側電極をEX側に配置した場合(1)と比べて、燃焼ムラが明らかに少ないですね。
外側電極をEX側45度に配置した場合(2)と比べてもドーム遠方のカーボンの付着量が多いです。
でも、プラグから距離がある分、プラグ周辺よりカーボン付着量が少ない傾向にあります。
理想はドーム全体がムラなくカーボンが付着してることなのですが…
現状、試したのはこの2パターンのみ。
いまのところの見解としては、外側電極を土手側(トップ180度、ピストン側)に配置するのが良さそうです。
実際に走ってみた体感も、エンジン鼓動が一番元気でトルク感もあります。またその分、エンジン音が一際大きく感じました。EX側45度に配置した場合よりも良好です。
また機会があれば、トップ0度、90度も試してみますかね。
外側電極の向きを上手に配置するための手順
さて、ここからは、スパークプラグ装着時に外側電極の向きを上手に配置するための手順について解説。
まずは、写真赤矢印のように外側電極の位置が把握できるようにマジックでマーキングしましょう。
あと、ネジ目にはスレッドコンパウンドを薄く塗布しておくこと。ネジ目焼き付き防止もありますが、熱伝導率が向上します。
マーキングしておけば、こんな感じで外側電極の位置が把握できます。
スパークプラグ締め付けのトルクは16Nm。
これを基準に外側電極の位置を合わせるために、銅ワッシャー(10mm)を使いましょう。
銅ワッシャーなのでより熱伝導率が向上してプラグの排熱に貢献してくれます。
土手っていうのはこれのことです。
今回の「MotoHack」では「イカベル」さんの「燃焼効率の良いスパークプラグ外側電極の向きについて」を紹介しました。レポートをありがとうございます!
これからもこのコーナーでは、Webikeユーザーの皆さんの、ちょっと便利なアイデアやグッズをどんどん紹介していきます。次回もお楽しみに!
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スパークプラグメーカーはネジ部に潤滑剤や焼付防止剤を塗る事は基本推奨していません。またネジ部にスレコン等を塗布した状態で標準の規定トルク(マニュアルに記載されたトルク等)で締め付けると高確率でオーバートルクになり最悪、ネジ部を傷めたりネジ切れる可能性がありますのでどうしても塗布したい場合は自己責任でトルク値では無くてスパークプラグメーカーが記載している締付回転角を参考に締め付ける様にした方が良いです。
随分と昔から理論上は電極の開いている側をエキゾースト側に向けるのが理想的と言われています、但しペントルーフのセンターにプラグが配置されているエンジンでの話ですが、マツダのスカイアクティブ2でもプラグの向きは指定されています。