
偶然の出逢い=物々交換でゲットした1973年型のカワサキ製ビジネスバイク、90デラックス(モデル型式はG8S)。同系列のG8Tこと90SSとは大差が無く、ギヤパターンがリターンシフトのSSに対して、DXはロータリーシフトを採用している。エンジン始動を試みるのと同時に、ガソリンタンクのコンディションも徹底的に確認してみた。何故ならば……。
目次
タンク内の汚れゴミはエンジン始動の敵!!
ガソリンタンク内部には、見るからにサビが発生していて、何もせずそのまま使うことはできないレベル。サビ落しは簡単だが、それ以上に大変なのが劣化固着したガソリン不純物の除去だ。それはサビトリ作業前の段取りとして除去しなくてはいけない。1973年のG8S初期型から77年頃のKC90までガソリンタンクデザインは似た感じだが、この初期型デラックスのグラフィックは、500SS/H1-Dのそれと似ていてマッハシリーズと似た印象だ。タンク内部を覗き込むと側面には鉄板地肌が見えるが、タンクの底や溶接の付き合わせ部分には劣化ガソリンが固着しているようだ。その固着ガソリンを棒で突っついて剥がすと、その下にサビが現れた。僅かひと擦りだけで、これだけのスラッジが落ちた。
サビ取り前の「汚れ取り」が何より重要!!
燃料コックはすでにオーバーホール済みなので、栓として使うにはもったいない。凸ネジタイプの接続金具だったので、寸法が合っているチューブを二つ折りにして栓をした。栓をしたら花咲かGマルチクリーナーの原液をタンク内に流し込んだ。残っていたクリーナー原液は200ml程度だったので、15倍くらいに薄めて劣化ガソリンの汚れ落としから開始。ポットで沸かした2リットルの熱湯に水道水1リットル弱を足してガソリンタンク内に流し入れた。満タンにするのではなく、固着しているスラッジが浸る程度にして、しばらく放置することにした。
「ボルト&ナット」のガサガサはダメ!!
サビ取りの前に劣化ガソリンの固着スラッジを徹底除去しなくては、肝心のサビ取りに至ることができない。ここでは、物理的衝突ガラガラ作戦を実践するが、ボルトやナットを放り込むのではない。燃料キャップの裏側にハリガネを引っ掛けられる穴があれば良いが、このタンクキャップには特に無かったので、ゴム栓を使って太いハリガネに「ステンレス製のクサリ」を引っ掛け、タンク内の左右に振り分けて滑り落とした。クサリがタンク内で擦れることで固着スラッジが剥がれやすくなるのだ。2メートル程度のステンレス製クサリの真ん中から2つ折りにしてタンク内の左右に分けた。ゴム栓にウエスを巻いて液漏れしないように注意しつつ、タンクを前後に振ってサガサと揺らした。ボルトナットを放り込むと、後々の作業時に抜き取りが大変になる。タンク内部にブリーザーパイプがあるモデルは、チェーンが絡まることがあるので、何も使わずにじっくり作業進行しよう。
水道水でしっかり洗浄しよう
汚れが酷かったのでこのガサガサ作業を3日間繰り返してみた。適当に時間を見計らい、ガサガサを1日に数回行ってみた。それでも大きな効果を得ることができた。バケツに処理液を排出してから、水道ホースでタンク内部に水を流し入れる。高圧洗浄器に細いノズルがあれば、このような作業時にもタンク内部を高圧洗浄できるのですが……。水道水を半分くらい入れてロングノズルのエアーガンでタンク内部を「うがい」する。エアーの併用によって固着していた不純物をさらに剥がすことができる。圧縮エアーの併用が高効率作業に最適だ。
汚れ落とし後に「サビ取り」開始!!
ひと通りの作業を終えたら固着汚れが残っていないか目視確認しよう。ガサガサ作戦とエアーガンでのうがいをしっかり行なっていれば、かなりいい感じに固着汚れを除去できるはずだ。内部の汚れが落ちたら、ここで初めて花咲かGタンククリーナーでサビ取り実践に入ろう。やかんでお湯を沸かして、タンククリーナー原液を20倍に希釈してタンクに投入する。口切り満タンまで注入するのがコツだ。しっかりキャップを閉じたら毛布を使ってタンクを巻いて、可能な限り保温しよう。処理液の温度がぬるま湯を保つと洗浄活性力を維持することができる。車移動があるときには、液漏れ対策を施しつつ、クルマに揺られることでサビの落ち具合は圧倒的に良くなる。ストップアンドゴーによってタンククリーナーが揺れて、作業効率が良いようだ。
偶然の出逢い (物々交換) でゲットした1973年型のカワサキ製ビジネスバイク、90デラックス号。型式はG8S。同系列のG8Tこと900SSとは大差が無い。ツーリングモデルはリターンシフトだが、ビジネスモデルのDXはロータリー式ギヤシフトを採用。
- ポイント1・タンク内の「汚れ」と「サビ」は大違い。まずはそれを理解しよう
- ポイント2・劣化ガソリンの汚れは大敵!!洗剤は必ず「お湯割り」しよう
- ポイント3・洗剤洗浄後は水道水で徹底的に洗い流そう
- ポイント4・タンクのサビ取り作業は夏場がお勧め。サビ取り処理中は「自動車移動」が効果的
タンク内部を覗き込むと、側面は金属地肌がピカピカ光っているが、LEDライトを照らすとタンク底や奥に劣化ガソリンがあちこちに固着していている状況が燃えた。これまでの経験則からして、まずはこの固形物を除去しない限り、徹底的なサビ取りはできない。何故なら、ガソリンタンクのサビ取りケミカルは、サビに強く反応しても、ガッチリ固着した劣化ガソリンの不純物には、ほぼ反応しないようだ。ちなみに、ガソリンに含まれる様々な添加剤が、このような劣化不純固着物となり、放置すると面倒なことになるケースが多い。しばらく乗らないバイクの場合は、ガソリンタンク内もキャブレター内も、ガソリンは完全に抜き取り、通気可能な状況にするのがベストなようだ。突っつき棒をタンクキャップ部から差し込み、固着物周辺をガリガリとこそぎ落としてみた。かると、その下の鉄板は、完全なるこげ茶色。思った通りの展開である。ここでは、花咲かGマルチクリーナーの原液をタンクへ流し込み、そこへお湯を注いで原液を15倍程に希釈。その状態で数日待てば、おそらく固着物は洗い流せる状況になるはずだ。
ガソリンタンクのサビ落としで重要なことは「サビ落しを始める以前の段取り」である。現代には高性能ケミカルがあるので、よっぽどサビに蝕まれていない限り、タンク内部に発生したサビは完全除去することができる。軽度なサビを処理すると、処理後のタンク内部は新品タンクの頃のように美しく輝いて見えるほどだ。
要注意ポイントは「タンクの底に堆積している不純物」の存在だ。つまり劣化したガソリンの堆積物である。サビ取りケミカルは、サビに対して強く反応するが、この不純物=劣化ガソリンにはほぼ反応しない。したがってサビ取りを実践する際には、タンク内部を目視確認して、不純物による汚れが無いことを、まずは確認するように心掛けよう。
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