
全閉から全開まで、バイクをライディングする上でライダーは常にデリケートなスロットルコントロールを行っています。スロットルワイヤーが引っかかりなくスムーズに作動するのはもちろんですが、スロットル開度も重要です。カスタムやチューニングではハイスロットル=ハイスロを装着することがありますが、その目的や効果を理解して正しく活用しましょう。
少ない開度で全開になる分、低開度のギクシャク感が増すこともあるハイスロットル

アフターマーケットのハイスロットルキットによって、かえってスロットルが扱いづらくなったといいオーナーのために、純正パーツを組み合わせてロースロットル化の作業を行う。
スロットル周りのカスタムやチューニングの定番といえば、ハイスロットル化=「ハイスロ」です。ハイスロの対義語としてロースロがありますが、それぞれどのような特徴があるのでしょうか。ロースロに対するハイスロのメリットは、少ないスロットル開度で全開にできることです。
スポーツ走行やサーキットライディングでスロットルを全開にする機会があると分かりますが、純正のスロットル開度(ロースロ)では全閉から全開に至るまでの角度が大きく、手首のひねりが大きくなるため途中でグリップを握り直さなくてはならないことがあります。ハイスロットルに変更することでスロットル開度が小さくなるため、握り直しなしで全閉~全開のコントロールが可能になることが大きなメリットとなります。
また全開までの開度が小さくなる=一定角度あたりのスロットル開度が大きくなるため、ロースロと同じ感覚でスロットルを開けるとキャブレター(またはインジェクション)のスロットルバルブが大きく開くため、スロットルレスポンスが良くなりより多くの馬力が出ているように感じられるようになります。
ただしハイスロにはデメリットもあります。4ストミニに装着されることも多いケーヒンPEやミクニVMといったピストンバルブ式キャブレターの場合、小径タイプはピストンストロークが少ないため、ハイスロで開度が小さくなると僅かなスロットル操作でピストンが大きく開いてしまい低中速領域のコントロール性が低下することがあります。
このデメリットは小排気量車だけではなく中・大型車でも発生します。特に大型車の場合は低速からのトルクが大きいので、ハイスロによって街中走行時のギクシャク感が強調されてしまう可能性があります。
純正のスロットル開度とハイスロットルでは、具体的にはスロットルパイプのワイヤー巻き取り径が異なります。ハイスロ度が大きい=全開までのスロットル開度が小さいほど、巻き取り径が大きくなります。パーツメーカーのアクティブでは、巻き取り径のサイズが異なるスロットルパイプを何種類も用意しており、主要機種に関してはホームページ内に巻き取り径ごとのスロットル開度も掲載しています。
ワイヤー巻き取り径を変えることで開度がどの程度変化するかを知りたい時はこうしたデータを参考にして、開度の変化が極端にならないよう留意することで乗りづらさを軽減できることを知っておくと良いでしょう。
- ポイント1・ハイスロットル化によって全閉から全開までのスロットル開度を小さくできる
- ポイント2・グリップの開度変化に対してスロットルの開度変化が大きく現れるので低開度でのギクシャク感が強調される場合がある
スロットルパイプの巻き取り径変更はワイヤーの巻き取り量も考慮する

ハイスロキット用のスロットルホルダーが純正スロットルパイプに合わないため、スロットルホルダーも純正パーツを流用する。

左の純正に比べて右のハイスロットル用ホルダーのタイコ引っ掛け位置は中心から離れている分ワイヤーの巻き取り径が大きくなるため、スロットルグリップの開度が同じならインナーワイヤーの巻き取り量が多くなる。グリップの開度が小さくてもスロットルバルブの開度変化が大きくなるため、特に低開度域の扱いやすさに影響が生じる場合がある。

純正スロットルホルダーにはブレーキレバーのマウントがあるが、ハイスロットルキット装着時に別体ブレーキホルダーを装着しており、これを継続使用するため純正ホルダーのレバーマウント部をカットしてハンドルに取り付ける。

巻き取り径の小径化によってスロットル開度が大きくなり、スタート時のエンジン回転の上昇が穏やかになり扱いやすさが向上した。ハイスロ化はスロットル開度が大きくなるスポーツ走行時には有効だが、街乗りメインならロースロ(純正)の方が穏やかに扱えるメリットがある。
先の通りスロットルワイヤーの巻き取り径を拡大することで、スロットル開度が小さくなりハイスロ化が可能になりますが、機種別に設定された専用キットではなく汎用部品や純正ワイヤーを組み合わせる場合にはいくつかの注意が必要です。
最も重要なのは、スロットルパイプ巻き取り径拡大によるスロットルインナーワイヤー長の変化です。巻き取り径が拡大することで、スロットルバルブ側のインナーワイヤーの露出量が少なくなるため、キャブレターやスロットルボディのスロットルドラムとの位置関係に変化が生じ、アジャスター部分で遊びを最大にしてもスロットル全閉にならなくなる場合があります。
こうした状況に対応するため、ハイスロ用スロットルパイプの中にはインナーワイヤーのタイコを掛ける穴を複数箇所に設けることで、スロットルドラム側のインナー露出量を調整できる製品もあります。
また当然のことですが、ハイスロ化によってスロットルパイプの巻き取り径が大きくなればスロットルホルダーの変更が必要になる場合も多く、スロットルホルダーにキルスイッチやセルモーターボタンが組み込まれている機種は右側ハンドルスイッチも交換が必要です。
ハイスロ化はスポーツライディングにとって有効なパーツであることは確かですが、メリットとデメリットを理解し、さらに取り付けに関する技術的な条件にも配慮した上で選択することが重要です。
- ポイント1・スロットルパイプの巻き取り径を大きくすると、ノーマルワイヤーのインナー側の露出量が不足してスロットル全閉にならなくなる場合がある
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XR250にXR230スロットル流用でハイスロ化したら低速のギクシャク感は勿論、早期開け過ぎの影響で加速も悪影響を受けていたのでついさっき250純正に戻したタイムリーな私が通りますよ
以前にショップチューンのフルタイムVブーストを転がしてましたが、そのうえ更にハイスロ・キット?……三途の川が渡れそうだな。なんせロースロで直ぐにパワードリフトしちゃって苦労してたんですよ。しかしアルマイト処理されたハイスロには憧れてました。
自分もです笑
まだ免許とれたてのおっさんですが
高速使って通勤してるので、ハイスロにしたのですが
下道でエンストするわ加速し過ぎで突っ込みかけるわで2日でもとに戻しました笑
最終的に、フロントスプロケ変えることで高速での問題点を解決させましたが
旧車はハイスロにすると、重いアクセルがさらに重くなり、きつい。
キャブがノーマルの場合はノーマルのスロットルが良いかも。