しばらく乗らなかったり、放置期間が長かったバイク、特に、路上放置や保管場所の環境が悪く「湿気過多」が続くと、あっという間に機能しなくなってしまうのがブレーキパーツ。ディスクブレーキのキャリパーメンテナンスで、特に、念入りに作業したいのがキャリパーピストンとキャリパーボディに掘られたシリンダーの摺動関係だろう。ここでは、メンテナンスに取り掛かったけれど、キャリパーピストンがなかなか抜けない、渋い!?と言った時に、お気楽かつ効果的に使える「水圧利用」のメンテナンス手段に注目してみよう。

圧縮エアーでは抜けないことも多い

車体からキャリパー本体ASSYで取り外してしまうと、キャリパーピストンを抜きにくいことがあり、その先の作業へ進めなくなってしまうことがある。エアーガンの先端にエアーの逃げを防止するゴム製テーパーノズルがあるだけでも作業進行は良くなるが……。

マルチピストンはバランス良く引き出す



現代では対向4ポッド、6ポッドも決して珍しくは無いが、70年代以前は、シングルピストンや対向2ピストン仕様が多かった。80年代前半のモデルに多いのが、並列2ポッドキャリパーだ。分解時のコツは、片側だけ取り外すのではなく、左右のピストンバランスを保ちながら2個同時に取り外すことだ。特殊工具のブレーキピストンツール(キャリパーピストンツール)があると作業性が良くなる。本来の使い方ではないが……。動きが渋いキャリパーピストンは、一度押し込んで、再度、押し出すことで仕切り直しすることもできる。ダストシールが溝からはみ出し、ピストンの動きを妨害している様子を伺い知れる。実は、こんな状況で走り続けているライダーも多い。

ネジピッチが同じなら普通のボルトも使える



敢えて寸法は記さないが、ブリーダーボルトサイズにも種類があり、同じネジサイズとピッチのボルトがあれば、エアー漏れは防止することもできる。エアーガンで圧縮空気を吹き込む際には、こんな方法でエアー漏れを防止することもできる。エアー抜け防止ボルトはレンチで締め付けるのではなく、あくまで指先で軽くセットしよう。

手元にあった「飲料水」で!?





圧縮エアーを吹き付けてもピストンが出てこないので、ブレーキホースを暫定的に接続してマスターシリンダーから圧力を掛けてピストンを押し出すことにした。こんな時にはブレーキフルードを使うのではなく、飲料水、水道水で十分だ。ただし、クリーニング完了後に部品復元する際には、パーツをしっかり乾燥させよう。

特殊工具でピストンバランスを合わせよう



ブレーキピストンツールを使って押し出される2個のピストンのパランスを保ちながら作業進行しよう。どちらか一方を先に抜いてしまうと水圧が掛からずもう片側が抜けなくなってしまう。

つねにバランス良く押し出そう



ブレーキピストンツールの併用で可能な限りピストンを押し出しても、まだ渋く引き抜けないことがある。こんな際に、普通のプライヤーなどでピストン外周をクランプするのは絶対厳禁!!内側を広げてつまむブレーキピストンツールなら良いが、それでも抜けないことは数多い。最終的には肉薄の鉄板やレンチなどを利用して、ギリギリまでピストンを押し出すのが良い。

ピストンさえ抜ければ何とかなる!!



何とか押し出し、引き抜くことができた並列2Pキャリパーピストン。ピストン外周に点サビが無ければ、磨き込むことで再利用可能だ。ピストンシールとダストシールは完全に終了していたので新品部品へ交換したが、旧シールを抜き取ったらシール溝内をやさしくしっかりクリーニングし、ピストン摺動面も汚れを除去しよう。2本のシールを組み込む前に、ピストン単品をシリンダーへ納め、内部でスムーズに回転上下作動してからシールを組み込み復元しよう。この際にはシートとピストン外周にラバーグリスを薄く塗布しよう。

POINT

  • ポイント1・キャリパーメンテナンスはピストンの抜き取りから始まる
  • ポイント2・特殊工具は使い方ひとつで状況打開可能
  • ポイント3・摺動部分は磨き込み、虫食いサビがあるピストンは交換しよう

「走る」「曲がる」「止まる」と言えば、バイクの運動性能やコンディションを判断するうえで、もっとも重要な3要素と定義づけられている。そんななかでも、特に重要なのが「止まる=ブレーキ性能」だろう。「効くから大丈夫」ではなく、しっかりメンテナンスされたブレーキシステムは「良く効くうえにしっかりコントロールでき、なにより気持ち良く走ることができる!!」のだ。バイクを押し歩きしたときに聞こえるキーキーッといった引き擦りノイズや、走行中にブレーキレバーを握ると、キキーッ!!と聞こえるブレーキノイズは、メンテナンスによって大半は改善することができる。気にし過ぎるのもいかがなものだが(ディスクブレーキ黎明期と呼べる70年代旧車キャリパーの中には、コンディション維持に気を遣うモデルもある)、「効くから大丈夫」的な感覚で、ノーメンテナンスで走り続けているライダーは、もっともっと「いかがなものか?」と言うことができる。減ったブレーキパッドやブレーキシューを「交換することがメンテナンス」だと考えているビギナーライダーが、意外にも多いことは知っておきたい。

ブレーキレバーの握りタッチは、グンニャリ感からカチッとしたシャープなものに進化させることができる。純正部品に多い強化ゴムホースのブレーキラインから、油圧の上昇に対して膨張が少ないテフロンチューブのブレーキホース(ステンメッシュのカバー付きやカーボンケブラー【米デュポン社登録商標】のカバー付きで知られる)に交換することで、ブレーキレバーの握り込み時のタッチフィーリングは激変するモデルもある。

純正部品であれ、カスタムパーツであれ、ハンドル交換などによっても、ブレーキホースを取り外すことは多く、また、取り回しを変更したり、長さ変更によってブレーキフルードを抜き取らなくてはいけない機会は実に多い。そんなタイミングでこそ、ブレーキキャリパーの分解洗浄を「ついで」に行うのが、効率良くメンテナンス実践するコツでもある。

ブレーキキャリパーに限ったことではなく、メンテナンスには道具や工具、様々なハンドツールが必要不可欠なのは周知の事実。まずはそんな現実をご理解いただいた上で、本題に入ろう。ブレーキキャリパーのメンテナンス時には、キャリパー周辺部品=パッドピンやブレーキパッド、ブラケットやバックアップスプリングを取り外し、キャリパーボディをからピストン本体を抜き取らなければいけない。そんなキャリパーピストンを抜き取る段取りとしてお勧めなのが、周辺部品を分解する前に、キャリパーからピストンを抜き取ってしまうことだ。ブレーキパッドを取り外して、ブレーキレバーを握り込むことでピストンを油圧で押し出し、そのまま押し抜いてしまうのが良い。ブレーキホースを取り外し、キャリパー単体になってしまうと、実は、その先の作業手順が面倒なのだ。

しかし、ブレーキホースを交換しようと分解した後に、キャリパーコンディションがイマイチなことに気が付き、「ついでにキャリパーピストンもクリーニングしよう!!」と考えることもある。ところが、なかなかピストンが抜けずに四苦八苦してしまうケースが実に多いのだ。そんなときには、ブレーキシステムを復元して、ブレーキフルードを注入して、エアー抜きしながらキャリパーピストンを油圧で押し出すのが手っ取り早い。ところが、そんな作業よりもさらに手っ取り早く、スムーズに作業進行できる方法もある。それは、ブレーキフルードの代わりに「水道水」を使ってしまうことだ。

作業後には水分を吹き飛ばし、完全乾燥させることが必須条件だが、このようなやり方を知っておくと、イザといったときに「意外と役立つ!!」ことを覚えておこう。

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コメント一覧
  1. まるす より:

    いやいや、フルード代わりに水なんて! 水分飛ばすのにかかる手間を考えたら、どうせフルード全交換するコンディションなんだろうから、そのままフルードで押し出すほうが早い

  2. MIYA より:

    ブレーキキャリパー、マスターOHは水洗浄が基本です。
    水道水で問題ないと思いますよ。
    エアブローが面倒くさいと思うなら、バイク屋さんにお願いしましょう。

  3. ふぃん より:

    マスターシリンダーも分解するならいいですが、そうでなければ水はあり得ませんね。

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