工業用ヒートガンは200℃以上の熱風でパーツを温めることができるが、加熱部分はヒートスポットになってしまい長時間温め続けるとパーツにダメージを与えてしまうケースもある。そんなときに意外と「大きな助け=熱湯」の存在を忘れてはいけない。ここでは、最も身近に手に入る材料や道具で実践するメンテナンス手段に注目してみよう。

「なべ・やかん」で効果絶大な暖機洗浄!?





カートリッジボンベを使ったカセットコンロを利用し、やかんで水を温めてみた。なべ・やかんはメンテナンスに利用できる道具なので、不要になったものは確保しておくのが良い。花咲かGマルチクリーナーを少量混ぜて、パーツの脱脂洗浄効果を高めてみた。キャブボディ内部の細かな通路の洗浄にも、この洗浄液の添加は間違いなく効果的だ。作業場環境の換気と周辺に引火物がないように注意しながら作業進行しよう。マルチクリーナーを混ぜて沸かしたやかんの中にキャブレターをまるごと浸し、フタをして火を消して30分ほど経過を待ってみた。その後、引っ張り上げてプランジャ上部の溝にドライバーを掛けて軽く回したところ、ギュッと回った次の瞬間にスポッと抜くことができた。固着スラッジが堆積して抜けなかったようだ。無理して常温でドライバーでひねり、プランジャのワイヤー引っ掛け部分を折ってしまう例は多い。

小物部品は「茶こし」を利用





フロートチャンバー内のインナーパーツを茶こしネットの中に入れてワイヤーロック。キャブ本体と一緒にマルチクリーナー入りの熱湯やかんに沈めてみた。フロートを完全に沈めることでフロートのパンク状態を同時に確認することもできる。穴あきがあると、フロート内にお湯が浸入して、取り出したときにチャプチャプ音が聞こえてパンクを知ることができる。実は今回、この作業後にフロートのパンクが発覚!! 仕方ないので、パンク修理を実践した。

スタッフ推奨「効果絶大」ケミカル!!





2リットルのペットボトルを横向きにして、上面をカッターナイフで切り落とすことで、小排気量モデルや単気筒モデル用なら使いやすい洗浄トレイを自作することができる。プランジャを抜き取ることができたキャブ本体と茶こしに入れた小物パーツを、絶大なる信頼を誇る「ヤマルーブ・スーパーキャブレタークリーナー【原液タイプ】」に浸して完全洗浄を狙ってみた。このキャブクリーナー【原液タイプ】は、純粋にガソリンで希釈するのが最大の特徴だ。

説明書通りに作業進行することが重要





フレッシュなガソリン7に対して、キャブクリーナー原液3の割合で希釈。キャブ部品をしっかり浸すことで完全洗浄できる。キャブレターは分解洗浄するだけでも性能回復できるケースが多々ある。しばらく走らせていなかったバイク用は最初から完全分解&完全洗浄が望ましい。分解時にはベトベト、ネチョネチョしていたパーツも、クリーニング後はキレイさっぱりしていて組み立て復元が楽しくなる。オーバーホールの前にガスケット類を準備できればタイムリーな作業進行が可能に!!

POINT

  • ポイント1・ ヒーター熱のチカラ以上に効果的なのが「お湯」のチカラ
  • ポイント2・ 作業中に部品紛失しないように容器=カゴを活用
  • ポイント3・ ケミカル利用時には事前に使い方説明書を熟読理解しよう

灯油洗浄でも固着したチョークプランジャは引き抜けないケースがある。今回は複数のキャブレターを同時に分解洗浄したが、灯油洗浄で抜けたプランジャと抜けないプランジャがあった。ここでは「熱湯」を使った洗浄方法をリポートしよう。直火バーナーなら熱源で1000℃以上、工業用ヒートガンなら熱源で400℃近くある事実を知れば、使い勝手が良くても、これらの道具は慎重に扱いたいものであり、尚且つ、場所によっては使えないケースもある。一方で、熱湯なら100℃前後1なので、前出の道具と比べて温度管理はしやすいはずだ。ただし、洗浄したいパーツによっては、熱湯に反応してしまうマテリアルもあるので(ビニール系の樹脂など)、洗浄時には部品を取り外すなど、あらかじめ処置しておくことで満足のクリーニング作業を実践することができる。

ここでは、キャブ本体を熱湯+マルチクリーナー液の中に浸し、火を消して30分程度待ってみた。時間を見計らいながら熱湯からキャブを取り上げ、火傷しないように皮手袋でキャブボディを保持しつつ、抜けなかったフランジャ上部の溝をマイナスドライバーで優しく回してみた。すると、常温のときはビクともしなかったのに、お湯に浸した後は、ギギッ、ネチョッといった感触とともにスーッと回り、その直後にはスポッと引き抜くことができた。

プランジャ外周や周辺を凝視すると、カルキのような白いスラッジが大量に堆積していた。このプランジャは底部分にゴム栓がカシメられていて、普段はバネの力でゴム栓がスターターチョーク通路を閉じる弁の役割を果たしている。経年劣化によってゴム栓が潰れてしまうと、チョーク通路から常時ガソリンがチョロチョロ漏れてしまい、それが原因で「ガスが濃い」症状=キャブセッティングが狂う、迷う、間違う原因にもなる。冷間始動時は調子イイが、暖機完了後にガスが濃い症状=プラグカブリが発生する際は、このスターターチョークプランジャのコンディションを確認してみるのが良い。もちろんゴム栓が傷んでいなくても、プランジャ本体の作動不良によって、弁の役割を果たしていないケースもあり、そうなると前述した内容と同じ不調症状になるので覚えておこう。

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