メーターカウントが本当なら、実走行距離が1万キロほどでコンロッドのビッグエンドが壊れてしまった空冷2ストロークエンジン。そもそもエンジン故障の原因は「2スト用エンジンオイルの入れ忘れ!?」ではないかと思われる。逆に、走行数百キロでエンジン故障の場合は、その他メカニズム的トラブルも考えられるので、様々なケースを想定しなくては要注意だろう。ここでは、原付2種クラスの単気筒エンジンの「クランクケース分割」にチャレンジしてみよう。

完全分解ならエンジン降ろしがスタート地点

絶版旧車のエンジン分解に無くてはならない必要不可欠な工具がインパクトドライバー(ショックドライバー)だろう。左右クランクケースを締め付けるパンスクリュー(ネベ小ネジ)のサイズは、一般的に3番の+ドライバー(フィリップス)を利用する。ここで使っているのは、普通の3番ドライバーのように見えて、実は「インパクト機能を内蔵」した、ベツセル製のメガドラ「インパクタ」。このドライバーはイザというときに超便利。

分解した部品は「そのまま保管」が原則





クラッチユニットを分解する前に、プライマリードライブギヤを固定するロックナットを緩めよう。後々緩めようとすると、空回りして緩め難くなってしまうので要注意。長年不動車だったツケで、クラッチフリクションディスクとプレートがサビで固着していた。無理に剥がさなくてもドライバーで簡単に剥がれた。ガッツリ固着しているときには新品部品への交換を視野に入れよう。また、何とか剥がれそうな際には、しばらくオイルに浸してから、ヒーターでディスクとプレートを温めてから分解するのが良い。無理に剥がすとフリクション材部分がバリッと割れてしまい使い物にならなくなってしまうことも。分解した各種部品は、ユニットごとに小分けしてビニール袋で保管しよう。

ブレーキピストンツールが意外と使える!!



エンジン腰下の左右に組み込まれる部品をすべて取り外したら、いよいよクランクケースの分割作業に入ろう。すべてのボルトを抜き取ったら(作業開始前に必ず再確認しよう。ボルトの抜き忘れは意外と多い!!)、「ブレーキピストンツール」を上手に利用して左右のクランクケースをセパレートに広げよう(ストレート製を利用した)。ロータリーディスクバルブエンジンなので、エアクリーナーアダプター部とコンロッド部で序々に左右に開いてカポッとクランクケースを分割。今回は、インナーパーツは左側に残こすタイプのエンジンだった。例えば、ホンダ横型エンジンの場合も、左側クランクケースに内部パーツを残し、右側クランクケースを抜き取るようにしてみよう。

ユニットごとにパーツ洗浄

完全分解できたクランクケースは洗浄用灯油を入れたケースの中に浸してブラシでしっかり各所の汚れをゴシゴシ洗う。今回、各種ベアリングはすべて新品部品に交換する予定なので、そのまま洗浄した。真っ黒だったクランクケースがキレイになると気持ちがイイ!!

特殊工具は分解前に準備しよう

エンジン分解のために使った各種専用特殊工具。叩き抜きではなく、クランクシャフトプーリーを使わないとシャフトエンドのネジ山にダメージを与えてしまいがちだ。ブレーキピストンツールを利用することで、クランクケースセパレーター代わりになる。今回はベアリングインストーラーを二分割にして利用したが、寸法的に届かない際には、木っ端を隙間に挟んで作業進行しても良い。

POINT

  • ポイント1・ エンジンの重整備は車体からエンジンをおろして作業しよう
  • ポイント2・ 分解時のエンジン部品にダメージを与えてしまう例が多い
  • ポイント3・ 部品の洗浄は組み立て直前に行おう

「安物買いの銭失い」という格言があるが、そもそもこのカワサキG8の入手時は、購入ではなく「物々交換」だった。仮に、外装パーツにダメージが多く交換が必要だったり、もっと具体的に書けば、サビで穴が開いてしまったガソリンタンクを交換するための部品探しは大変。旧車でしかもある意味「希少で珍しい=不人気モデル」でもあるため、スペアタンクを探すのは大変だ。そんな意味でも、旧車のレストアで重要なのが、欠品部品が無いことと車体コンディションがなるべく良いのに限る。エンジンに関しては、後に登場したモデルと同系列かつ流用可能な部品も多いので、意外なほど修理部品探しで困ることはなかった。それでも最近は、どこのバイクメーカーも旧車部品のストック量を間違いなく減らしている方向なので、末永く乗り続けたいのなら、調子が良いときにでもスペア部品をストックしておくのが良いだろう。

エンジン分解時に気が付いたが、クランクシャフト以外(厳密にはコンロッドセット以外)に、致命的なコンディションの箇所は無かった。あくまで想像妄想だが、おそらく最初のオイル切れ=2ストオイルの入れ忘れでピストンが焼き付いた直後に、ピストンとシリンダーは新品部品に交換していた様子だった。そして、組み立て後に試乗してみたが(もしくはエンジン始動程度してみたが)、クランク音が騒々しいため再び分解。その際にビッグエンドベアリング(コンロッドとクランクピンの間に入るベアリング)にダメージがあることに気が付き、永年の眠りにつき、ぼくの手元へやって来たのでは?というのが妄想的なシナリオである。

ということで、明らかに不調なエンジンオイル供給用チェックバルブバンジョーと各種ガスケットやOリング、そしてコンロッドセットを購入し、内燃機のプロショップへクランク組み換えを依頼。そんな内燃機部品の修理以外はすべてDIY作業で行ったので、ローコストで街中を走り出すことができるようになった。安く仕上げたいからDIYするのではなく「楽しみながら、経験を積むことができるDIY」がサンデーメカニックにとっての醍醐味なのだ。そんな感覚でバイクいじりを楽しもう!!

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