
悪路でもない舗装路面を走っているのに、なんだか「もの凄い悪路感覚!?」こんな経験、したことありませんか?そんなときにはホイールのコンディション「ホイールの振れ具合」を簡単に点検してみよう。驚きのコンディションだったりするときもありますよ。
転倒で歪みやすいスポークホイール車
レストアが目的ではなくても、新しいに越したことは無いのがスポークホイールのスポーク。サビが進むと驚くほど簡単にポキッと折れてしまうもの。特に、悪路走行ではその傾向が強く出てしまう。旧車モトクロス=VMXファンのみなさん、ボロくサビたスポークホイールには要注意ですね。
ホイールを外さずにリム振れ確認
路面コンディションが良く平たんな舗装路面が、まさかの悪路のようなガタゴトハンドリングに……!?前ホイールに振れがあった。早速点検することにした。メインスタンド仕様車が多い旧車とは言え、さすがにオフ車なのでサイドスタンドしか無かった。そこでオフ車スタンドで車体を持ち上げ、ズッコケ防止に輪留めをセット。これで安心して作業進行できる。前輪を持ち上げてホイールをフリーで回転できるようにしたら、目安となるものをボトムケースにセット。今回は、バルブタイミングの測定時に利用する金串を改造した目安金具を利用し、ボトムケースにガムテープで固定してみた。
法則に従ってリム調整
鉄リム側面に触れるか触れないかの位置関係になるように金串先端をセット。この状態でタイヤをゆっくり回転させることで、リムの振れ具合をおおよそ判断することができる。果たしてどんな感じだろう!?仮に、回転方向(外周方向)で一箇所だけが凹った感じなら、そのリムはお釈迦だと考えられる。障害物に強く乗り上げてしまうとリム外周に凹曲り(変形)が発生してしまうのだ。今回は、スポーク3セット分の区間で、最大横振れ幅が何と30mm!!しかし、この程度なら直せるかもしれないので、トライ!!振れている方向の反対側に引っ張るスポークを締め付けながらセンタリングしていく。ニップルが閉まらないほど硬いときには、引っ張られている方向のニップルを緩めて調整してみよう。この振れ取り調整は何度も経験することで確実にスキルが高まり、慣れればあっという間に調整することができるようになる。ある程度の振れに抑えたら、すべてのスポークに緩みが無いか?張り過ぎが無いか?レンチでスポークを軽く叩いて、響く音色で判断しよう。
使いやすいニップルレンチを見つけよう
個人的なお気に入りはKTC製のニップルレンチ。先端の裏表で大きく面取り加工を施すと、ニップルにアクセスしやすく使い勝手がさらに良くなる。ニップルがスムーズに動くのなら、KTC製のような汎用ニップルレンチでスイスイ調整作業を進行できるが、ニップルがかじり付き気味だったりサビが出ていると渋く回り難いので、そんなときには作業前に防錆スプレーを吹き付け、ニナップルレンチも専用サイズを使うのがよい。
- ポイント1・ ときには前後ホイールを手で空転させてコンディション確認してみよう
- ポイント2・ スポークホイールの振れや歪みは車載状態でも調整可能(なこともある)
- ポイント3・ニップルレンチも様々なので「使いやすいもの」を探してみよう
試運転で舗装路を走っているのに、まるでオフロードを走っているかのような振動の連続!!とてもスロットル全開などできない足周りコンディションだった。ここは舗装路なので、これは明らかに変だ。ガレージへ戻り、オフ車スタンドで前後足周りを浮かせて手でホイールを回してみた。リアはまったく大丈夫。振れ無く回り続けてくれた。
ところが、フロントは回したとたんに、タイヤのパターンが左右に大きく振れる!!これなら試運転時の様子を理解できる。後輪の下に輪どめを押し込み、さらにハンドルを固定。より安定した状況で前輪を空転させながら、ホイールを真横から見てみた。すると、楕円状態でグルングルン回転している状況ではなかった。次に、正面から確認すると、ある一部が進行方向右側に大きく振れている様子を確認することができた。
走行中、前輪を縁石に強くぶつけたり、溝にハマッたりすると、リムの一部分が凹ってしまいリム交換しない限り直らないケースがある。しかし、大きな振れながら、この振れはリムの曲がりではなく「振れ」と判断。何とか直せるかも?などと考えながら、早速、車上での振れ取り作業を開始した。何故、このような触れが発生したのだろう?そんなことを考えながらリム修正していくと、ニップルが1個だけ細くレンチが合わない………。スポークの太さは同じだが、ニップル径が細いのだ。あくまで想像だが、過去にスポーク交換されていた!?ということになる。つまり何らかの理由でスポークが折れ、交換していたのだろう。その際に、スポーク交換のみ行い、振れ修正は行わなかったのだろう。ホイールを取り外すことなく、車上にて修理トライしてみたが、ニップルの締め付け調整でリムの横方向振れ幅は1mm以内に収めることができた。
早速、再度試運転に出掛けて状況確認すると、今度はハンドルにブレは感じず、直進性はすこぶる良くなっていた。もちろんスロットル全開もできる!!モトクロスコースのピットでは、レース前にスポーク調整している様子を見ることがあるが、車上整備でも調整可能なことを知ることができた。
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