今ではネット通販や工具ショップで、当たり前のように大型ブラストキャビネットを購入できる時代。購入時に「自分で組み立てるキャビネット」が普及しているが、以前は専門メーカー品もしくは工具ブランド系の商品しか無い時代もあり、決して普及しているとは言えなかったのが、サンドブラストキャビネットだった。しかし、今は大きく違う!!ここでは、市販サンドブラストシステムを、より一層「高効率」仕様にするべくカスタマイズを探求してみた。

各機器が正しく稼働しているのが大前提

ぼくが好んで使っているブラストガン&ノズルはスナップオン製。メディアに対して耐摩耗性が高いのがタングステン製のノズル仕様。一般の市販品はピンク色をしたセラミック製だ。タングステン製ノズルでも長年の利用で減るため、摩耗に気が付いた時には、ガンにダメージが及ぶ前に交換しよう。タングステン部品が高値なので、調質材からノズルを削り出してブッシュのように押し込み使っていたが、あっと言う間に擦り減ってしまった。ガン仕様も自分にとって使いやすいのが一番だろう。

格安「塩ビパイプ」で自作可能





金属パイプだった吸い上げパイプは、水道用の塩ビ管で完全自作した。砂に突き刺すタイプは空気の流れ(呼び込み)がスムーズにいかないため、V字パイプ仕様にして「空気の流れの中でメディアを吸い込む仕様」へ変更。面取り穴をガン側に3箇所加工した。サイフォン形状の底に溜まるメディアを、スムーズに吸い込み穴へ寄せるためのカラーをVパイプのガン側に取り付けた。キャブレターのメインエアブリードを参考に、このような仕様にしてみたが………。

効率良くメディアを吸い込ませる



メディアをスムーズに穴方向へ送り込むカラーは段付き構造でフリーに回転する。(上の左)カラーの上側端部内側にテーパー加工を施し、メディアが流れやすい構造にしてみたつもり。このカラー内径とパイプ外径には、ある程度のガタが無いとメディアがスムーズに流れない。この隙間にメディアがサーッと流れ込むような条件になると、吸い上げ式サンドブラストでも驚くほど切削能力が高まるのだ。

キャビネット形状に合わせて「V字」設計



キャビネット外でブラストガンとV字パイプを接続してフットスイッチを押し、パイプのメディア吸い込み穴に発生する吸入負圧を指先で感じてみた。調整確認中は他の穴をテープで塞いだりして、吸入負圧の発生状況を確認するとその違いが実に面白い!!改善なのか改悪なのか!?今回は間違いなく改善することができた。V型の塩ビ管と噴射ノズル(ガン)を接続するホースは、過去に色々試している。結果としては価格が安くて入手しやすいテトロンブレードホースが一番良かった。ホースがカーブする外側は内側に流れるメディアが擦れて徐々に薄くなり、気が付いた時には穴があき切削能力が無くなる。あれっ!?と思ったらホースを点検し、穴あき時は新品ホースに交換しよう。

意外と落下しにくいブラストメディア

サイフォン状キャビネットの底部分(の少し上部)にV字塩ビパイプの角が来るようにセットすると良い。この吸入パイプをセットするときにはメディアを必ず抜き取ってから行い、パイプのセット状況を確認しながらメディアを投入するのが良い。作業中の落下メディアはサイフォンの傾斜面でも溜まって落下しないことがあるので、作業中はゴムハンマーでキャビネットのサイフォン外部をドンドコッと叩いたり、コンクリートバイブレーターのようなものを投げ込むことで作業効率はさらに良くなる。

POINT

  • ポイント1・ 吸い上げパイプの自作で激的に効率良くなることもある
  • ポイント2・ 既製品にこだわらずアイデアを具現化してみよう
  • ポイント3・ コンプレッサー容量やモーター出力で大きく変化する

ペイント前パーツの下処理用として、アルミ地肌のエンジンパーツやブレーキハブなどのクリーンナップとキラキラ仕上げ用として。また、エンジン分解時に燃焼室のカーボンやピストントップのカーボンを除去したり、クランクケースの汚れやサビを落として美しい仕上がりを求めたいときなどなど、そんなときに利用したいツールがサンドブラス。分解したエンジン部品内部をクリーニングしたい際には、エアー圧を下げてガラスビーズメディアを利用するなど、様々なノウハウもある。

本格的な直圧式ブラスターやウエットブラストも導入したいサンデーメカニックは数多いと思うが、インフラ整備の前に魅力的な原付二種モデルが登場して、増車決定!!なんてことが多い。結局、インフラ整備は後回しになることが多いようだ。

現在利用しているサンドブラストキャビネットは、すでに「自分仕様」に使いやすく!?改造しているが、思いの外、効率良く働いてくれるため、ここでは、最近リフレッシュした「メディア吸入パイプのレイアウト」をご紹介しよう。市販キャビネットの吸入パイプには、パイプ端部をメディアに突き刺すだけの仕様が多い。しかし、それでは作業効率は決して向上しないので、ブラストシステムを効率良く働かせたいのなら、こんな吸い込み部分の改造にもチャレンジしてみよう。

キャビネット本体があっても作業できないのがサンドブラスト。施工には圧縮空気=コンプレッサーが必要不可欠で、しかもハイパワーコンプレッサーほど効率が良い作業を行うことができる。しかし、小物部品やエンジンカバー程度なら、家庭用電源のAC100Vの1馬力コンプレッサーでも何とかできてしまうので、小型コンプレッサーの時は、コンプレッサー本体とは別に「サージタンク」を用意することで作業性を高めてみよう。

連続運転によって圧縮空気の中には水分が混ざってしまう。その湿気がサラサラなメディアをシケった重いメディアにしてしまい切削能力が一気に低下。キャビネットへのエアー通路やコンプレッサー+サージタンクから出るエアー通路には「水抜き」を取り付けることで、環境良く作業進行することができる。

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