絶版車でも現行車にとっても不可欠な電気。一部のバッテリーレス車を除く大半のバイクに搭載されたバッテリーのコンディションは、バイクにとってきわめて重要です。バッテリーの電圧測定はバッテリーの良否を判定する重要な指針ですが、いちいちバッテリー端子にテスターを当てるのは面倒です。そうした手間を解消し、いつでもスマホからバッテリーの状態をチェックできるアイテムがあります。

機種によってはバッテリー端子にテスターを当てるのに苦労することもある


バッテリーに接続して得られた電圧データをスマートフォンに送るバットチェックは、イグニッションオンで通電する車体のハーネスから分岐して取り付ける既存の電圧計より簡単に取り付けられる。6、12、24Vバッテリー対応なので、バイクや自動車にすべて取り付け可能。バッテリーのリード線がターミナルナットではなくコネクター式の場合は、バットチェック側の配線加工が必要だ。

充放電を繰り返すことで電解液(の中の水成分)が徐々に減少するため、定期的的な補水が必要な開放形バッテリーが主流だった時代は、バッテリーのチェックは定期メンテの必須項目のひとつでした。しかし密封型バッテリーが台頭し、さらに電解液がジェルタイプになり縦横自由にできるようになると、簡単に触れない部分に搭載されることも多くなりました。

とはいえ、開放形がジェルタイプになってもバッテリー交換が不要になるわけではありません。また電圧のチェックも必要です。特に現行車は燃料ポンプやECUなど、キャブレター仕様の旧車に比べて電気への依存度が高くなっているので、いつでも好調でいつまでも使えると思い込まないことが重要です。

バッテリーチェックの基本は電圧確認です。満充電ならバッテリー単体で12.8V前後、エンジンを始動して充電が始まると14V台になるのが一般的ですが、電解液補充不要のメンテナンスフリー化と搭載自由度のアップにより、簡単に触れない場所にバッテリーが搭載されているバイクも少なくありません。電解液がこぼれないよう垂直取り付けが必須で、簡単に補水できるようシート下やサイドカバー内に設置されることが多かった開放形時代との大きな違いです。

シートを外しただけではサーキットテスターを使った電圧チェックができないとなると、徐々に低下するバッテリーのコンディションを把握するのが難しくなります。ただ電圧を測定したいだけなのに、あれこれと部品を取り外すのは面倒だからです。その結果「最近なんだかスターターモーターの勢いがダウンしているような……」と気がついた時に始動不能になってしまった、というパターンは少なくありません。

POINT

  • ポイント1・定期的な補水が必要な開放形に対して、メンテナンスフリー化が進むことでバッテリーの搭載位置の自由度がアップしている
  • ポイント2・バッテリー搭載位置が限定されなくなることで、バッテリー端子にテスターを当てて電圧測定しづらい機種も増加している

バッテリー電圧やエンジン始動中の発電状況を知らせるキジマのバットチェック


バットチェック自体はとてもコンパクトなのでバッテリー周辺の僅かな隙間に設置できる。待機中は点滅し、スマホと接続中は点灯するLEDインジケーターが付いている。


バッテリーターミナル直結なので、エンジンを始動しなくてもコンディションを確認できる。バッテリーチェック機能を使うと、測定時のバッテリー容量をグラフィカルに把握できる。イグニッションオンで100%でも、ヘッドライトやブレーキランプを点灯して容量が一気にと低下したら、バッテリー自体が弱り始めていると判断できる。

バッテリーのコンディションをチェックできるアクセサリーとして知られているのが、イグニッションオンで通電する回路に接続することで走行中の電圧がチェックできる後付けの電圧計です。

その電圧計を大幅にアップデートしたのが、バイク用品メーカーのキジマから発売されている「バットチェック(Batt Check)」です。この製品の最大の特長は、ペットボトルのキャップほどの小さな本体で測定したバッテリー電圧を、ブルートゥースで接続した自分のスマートフォンに送ってモニターできることです。

既存の電圧計をバッテリーに直結すると常時電圧が表示される上にバッテリーと消費するため、イグニッションオンで通電するアクセサリー電源に接続しなくてはなりません。つまりイグニッションオフ状態での電圧は分かりません。

対してバットチェックはバッテリーターミナルに直結して常に電圧を測定しているので、ブルートゥースの接続範囲で専用アプリを起動すれば、エンジンが止まっていても電圧を測定できます。バッテリー直結だと放電が懸念されますが、待機電流は約2.0mA、スマホ接続時でも約10.5mAなので、長期間乗らなくてもバッテリーを上げてしまう心配は不要です。

また12Vバッテリーはもちろん、旧車や小排気量車の6Vやトラック用の24Vバッテリーにも対応するので機種を問わず装着でき、バットチェック自体はバッテリーターミナル付近の僅かなスペースに装着できるので、アクセサリー類を目立たせなくない旧車や絶版車オーナーにも最適です。

POINT

  • ポイント1・キジマが販売するバットチェックは、バッテリーターミナルに接続した本体とスマホをブルートゥースで接続して電圧を表示する

オルタネーターやレギュレーターの状態もリアルタイムに分かる


電圧メーターを使えばリアルタイムにバッテリー電圧を確認できる。アイドリング状態で13.5Vまで上がっているので、オルタネーターからの立ち上がり電圧が充分だと判断できる。バッテリーの充電状況が良好なら、レギュレーターが電圧をカットする。


エンジン回転数の上昇に比例してオルタネーターの発電量が増加するためバッテリー電圧も上がるのは問題ない。しかし上がりすぎるとバッテリーが過充電となりトラブルにつながる。過充電の最大の原因はレギュレートレクチファイアの破損であり、12Vバッテリーの場合端子電圧が15Vを超えるとスマホから警告音と振動が発生する。また電圧低下で11V以下になった場合にも警告音と振動で知らせてくれる。この機能はブルートゥース接続中は有効なので、地図画面で走行している時でも異常を察知できる。


ブルートゥース接続中の電圧の推移も自動的に記録される。一般的にセルスターターが最も電力を消費するため、始動時に電圧が一瞬落ち込み、それを補うために走行中に高めの電圧で充電するという動きがよく分かる。

バッテリー電圧を表示するだけの電圧計に対して、専用アプリによってさなざまな測定モードや記録機能を選択できるのもバットチェックの特長です。

バッテリー状態を診断できるチェック機能は、満充電状態を100%として現在のコンディションが表示されます。バッテリーは短時間で突然性能低下するように思われていますが、実際は緩やかな坂を下るように徐々に劣化していきます。それを知ることができるのがチェック機能です。

感覚的に分かりやすい指針式メーターと数値表示を組み合わせたディスプレイを通じて、メンテナンス中だけでなく走行中のバッテリー電圧や発電状況をリアルタイム表示できる電圧メーター機能は、バットチェック最大の魅力です。自宅で保管する際にトリクル充電器などで連続充電を行っている場合、走行前のバッテリーコンディションは問題ないはずです。スマホホルダーにバットチェックをセットしておけば、走行中にエンジン回転が上昇した状態での電圧が表示されるので、走り始めると徐々に調子が悪くなってくる場合、オルタネーターやレギュレートレクチファイアの不調が疑われます。

レギュレートレクチファイアの不具合には、充電電圧の制御不良による過充電もあります。これもバットチェックで電圧が表示されるので、バッテリーにダメージを与える前に適切な対策を取ることができます。

エンジンを止めた状態でも走行中でも常にバッテリー電圧を測定し、必要な時にいつでもスマホに表示できるバットチェックは、電気系に何の不安もない現行車にも、常に気を遣いたい旧車や絶版車にも有効な実用性の高いアクセサリーです。

POINT

  • ポイント1・スマホをホルダーに取り付けて走行すれば、バッテリー電圧に加えてオルタネーターやレギュレートレクチファイアの機能もチェックできる

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