サビが進行して輝きが無くなってしまうと、薄汚く見えてしまうのがバイクである。何とか輝かせたいものの、構造が複雑すぎて、思い通りに部品交換できない部品のひとつにスポークホイールがある。ここでは「スポーク張り専門プロショップ」の仕事を覗き見して、そのやり方や作業手順を垣間見てみよう。組み立て作業時のポイントや仮組時のヒントを掴み取ろう。

スポークは輝いていてこそ本物

バイクを美しく仕上げたいときに、足周りやブレーキ周りの輝きは重要なファクターだ。特に、ドラムブレーキモデルの場合は、ハブ単品にして磨く=スポークをバラしてハブを磨くことでその仕上がりは確実に良くなる。単純に前後ホイールが輝くことで、バイクに対する印象は様変わりするものだ。
撮影協力:フェイス
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純正部品の新品スポークを準備!?







スポークを張り替えるときには、純正スポークやニップルを購入するのが基本中の基本だが、メーカー純正部品が欠品していたり販売中止になっている例は珍しくないので、そんなときにはコンストラクターから発売されているキットパーツで対応することもできる。特に、人気モデルのカワサキZ2/Z1やホンダCB750Kシリーズなどは、はるか以前から対応部品が様々なメーカーから発売されている。適合スポークやニップルが見つからない時には他機種用パーツを流用することもできるが、そんなときにはスポークの長さや太さだけではなく、首の周りの曲げ角度や曲げ長さもほぼ一致した部品をチョイスしよう。スポークの張り込み実践時には、ハブベアリングを事前に新品部品へ交換し、ホイールの空転抵抗を減らそう。

内側張り込みスポークから組み立てよう







内掛けスポークを差し込み、左右フランジでクロスさせながら(一般張り込みの場合)均一にニップルを仮締めしていく。内掛けスポークの仮組を終えたら、外掛けスポークの仮組を行う。この段階でハブセンターとリムセンターの一致を意識しながら仮組することも重要だ。

ニップルの「仮締め」が極めて重要

スポークエンドのニップルを締め付けるネジ山が見えなくなるまで一気に仮締めするのではなく。同じ山数を残して仮組していくことで、結果的には後々の芯出し振れ取り作業が楽になることが多い。仮組仮締め段階では工具を使わず、指先のみで作業することもできる。

ハブセンターとリムセンターを一致させる





長い金尺と150ミリ程度の金尺(サシ金)を組み合わせて利用することで、ハブセンターとリムセンターの位置関係を明確にすることができる。ハブの内幅、リムの実幅を測定したら基準ポイントを設定して、それぞれのセンターが出るようにニップルを締め付け調整しながら合わせていく。

ニップルレンチは使いやすく改造



ニップルレンチにも様々なタイプや種類があり、こだわりのメーカーには数種類のニップルレンチが存在するほど。実際に使って使いやすいものが、自分にとっては最高のニップルレンチになる。したがって「これが一番!!」という商品は、人それぞれで、異なることが多い。また、使いやすくなるように面取りするなど、ニップルレンチを改造するのも楽しい。



茨城県坂東市に工房があるフェイス。日本全国のバイクショップからスポークの張り込み依頼がある、国内屈指の「スポークホイール専門店」。新品スポークが見つからない時には、スポーク製作を含めたコンプリート依頼も可能。スポークホイールに関する知見はとにかく膨大!!

POINT

  • ポイント1・新品スポークと新品リムの組み合わせは作業性が良い
  • ポイント2・アルミリムでも鉄リムでも溶接ポイントは振れやすいので理解しよう
  • ポイント3・ 振れ取り方法、やり方は人それぞれ。自分にとってやりやすい方法で作業進行しよう

太陽光や照明光線の加減でキラキラ輝くのがスポークホイールの特徴である。カスタマイズでペイント仕上げにする例もあるが、一般的には、ユニクロメッキ仕上げ、クロームメッキ仕上げ、ステンレス製の3種類がある。汚れていたりサビで輝きがないスポークホイールは、決して美しいものではない。ユニクロメッキスポークを採用した旧車の場合は、独特の風合いに落ち着き、輝きが無くなっても旧車相応の美しさがそこにはあるが、赤サビに覆われていたり、部分的にサビているようなスポークホイールと、全体的に落ち着いたスポークホイールは、同じ旧車でもまったく違った印象を与えるものだ。

ここでは、ヤマハの原付(ミニトレール)のスポーク張りをダイジェストでリポートしよう。理屈とメカニズムとコツを知ることで、DIY作業が楽しくなるのもスポークホイール張りの特徴だろう。ベテランサンメカやレストアファンの中には、このスポーク張りを得意にしている者もいる。何度か実践し、経験を積むことで、新たな発見があるのも、この作業の特徴で「そこが面白い!!」と語るベテランサンメカは数多い。

スポークの張り込み手順は、一概にこうだとは決めつけることはできない。メーカー純正とは違う長さのスポークを張るケースもある。モデルによっては、ハーレーのようにすべてのスポークを内掛け張りにする例もある。その時その時の状況によって、当然に作業手順も変化する。だからこそ、経験の積み重ねが重要な作業といえるのだ。

百聞は一見に如かず。さらには実体験、実経験に勝るものがないのもスポーク張りだ。ここではスポーク張り専門店、フェイスの作業をご覧いただくが、前述したとおり、画像を見て、文章を読んだだけでは作業進行できるものではない。ここでは、実体験していく中で失敗しやすい部分や、知って得する部分のごく一部を解説しよう。それほどまでに奥深いのがスポーク張りなのだ。

まずはその機種用の純正スポークやリムを購入すること。旧車のように販売中止になっている場合は、適合部品を調達しよう。スポークは長さだけではなく、首先の曲がり角度や曲げ量も極めて重要だ。ハブ側引掛け部分の肉厚が薄ければ、曲げ量(曲げ部分からクギ頭の先端まで)は少なくて済むが、肉厚が厚いとその厚さに合致した曲げ量でないとスポークはセットできない。逆に、曲げ量が長過ぎるとハブ側フランジからクビが飛び出してしまいカッコ悪い。

通常の張り込みでは、内掛けスポーク(ハブの外側から内側へ向けて差し込む)を先に仮組して、その後、外掛けスポークを仮組するが、この際に要注意なのがニップルの締め付け量だ、組み立て前の確認で理解できるが、同じ長さのスポークは、基本的にニップルの締め付け量は同じだと考えよう。したがって、ニップルの仮締め時にバラバラに締め付けてしまうと当然ながらリムの振れは大きくなってしまう。逆に言えば、同じ長さのスポークは同じニップルの締め付け量(ネジ山の残し量を一致させる)にすることで、自然と振れは最小で仮組することができる。実は、このニップルの仮組、仮締めを適当にやってしまったがために、後々、大変な思いをしてしまう例が多いのだ。

さらに気を遣うとすれば、内掛けを終えた状態でハブセンターとリムセンターを可能な限り一致させ、その状態から外掛けスポークを同じように仮組みすれば( ニップルの締め付け量が重要)、芯出し振れ取り調整前の仮組状態で、かなり高精度な仮組が可能になる。さらに付け加えれば、ニップルの仮組時に、ハブとリムのセンターが一致するようにリムの下に高さ合わせの台を置くことで(木っ端を台にしても良い)、驚くほど仮組精度は高めることができる。

百聞は一見に如かず、ではなく「いち経験に如かず」なので、前述した部分に注意しながら、まずは精度の高い「仮組」ができるサンメカになろう。芯出し振れ取り以前に、まずは「仮組の重要性」を理解することが、文字通り重要なのだ。

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