配線のハーネスやホースをまとめるのに便利な結束バンドはメンテナンスの必需品です。何かを縛って端部を切ればいいだけなので使い方は簡単ですが、切断部分は想像以上に鋭利で、気づかず擦ると手や腕に怪我をすることもあります。そんな時に役立つのが、一般的なニッパより刃が薄いプラスチックニッパです。

包丁と同様、ニッパも切断する相手によって使い分けたい


このニッパはスリーピクス技研製の結束バンド2WAYニッパ。2種類の異なるプロフィールの刃を1本のニッパに盛り込んでいるのが特徴。量産現場で長時間作業した際の疲労を軽減するためにグリップの内側に樹脂製バネを装備している。


根元部分は表も裏も刃をつけたV字型の強力ニッパで、ForPlasticと書かれた先端は表刃をフラットにしたプラスチックニッパとしている。プラスチックニッパ部分は刃が薄いので、硬い相手に対しては刃こぼれしやすいため要注意。

ニッパとラジオペンチといえば、バイクや自動車のメンテナンスに興味があるか否かに関わらずもっともポピュラーな掴み系工具であり、配線や針金、ワイヤーやケーブルなどの切断作業に使うニッパは、どこの家にもあるといっても過言ではありません。

俗に「強力ニッパ」と呼ばれるオーソドックスなニッパは鉄線、銅線、より線など、金属素材を楽に切断できる万能性が特徴です。そして寸法や切断能力や刃部の硬さや強度などの要素は、JISによって規定されています。ただしJIS規格を取得しているニッパが必ずしも最強最善であるというわけではなく、工具メーカーでは規格とは別に自社のノウハウを盛り込んだ独自の製品開発も行っています。

スパナやドライバーは、それぞれの工具のサイズやスペックに応じた使い方をしなくてはなりません。二面幅10mmのボルトに8mmのスパナは入りませんし、12mmでは空振りしてしまいます。#2相当の十字穴に3#のドライバーは合いません。

しかしニッパは、製品の適合や能力にかかわらず、無茶や無理を強いられる場合も少なくありません。本来の能力を超える場面でも、ユーザーが気づかず使っているパターンもあります。それによって刃こぼれや損傷するのは仕方のないことですが、逆に少々手荒く扱っても壊れない、頑丈な製品を選ぶ傾向もあるようです。

刃先が強く、太く硬い材料でも難なく切断できるニッパであるほどシーンを選ばず使い勝手が良いようにも思えますが、刃物という大前提からすると必ずしもそうとはいえません。料理で使う包丁に喩えれば、出刃包丁は硬い骨のある魚をさばくのに便利ですが、大根のかつら剥きはもっと薄い刃の包丁の方が適しています。

ニッパも同様で、強力ニッパは硬い素材にしっかり食い込むよう、刃の断面はV字型になっています。工具メーカによっては、V字の頂点から両側を「表刃」「裏刃」と呼んでいることもありますが、V字の角度を勘案することで刃こぼれしづらい強力な刃先を実現しているようです。刃表が大きいニッパには、柔らかい素材を切った時に切断面に切り残しができるという弱点もあります。

バイクメンテにおいて切り残しをうっとうしく感じる、場合によっては危険でもあるのが結束バンドの切断でしょう。タイラップ、インシュロックなどメーカーやブランドによって名称はさまざまですが、片手で引っ張るだけでロックが掛かる結束バンドは配線やホース類をまとめるのにとても重宝します。引っ張って余った部分はニッパで切断して取り除きますが、切断部分の切り残しは鋭利な山型になり、手や腕が擦れるとミミズ腫れや擦り傷になるので注意が必要です。

POINT

  • ポイント1・硬い素材を切断できる強力ニッパの刃先はV字型で、結束バンドを切断した際の切り残しが擦り傷の原因になる場合がある

表刃を平らにして切れ残りをなくしたプラスチックニッパ


結束バンドのロック部分に表側がフラットな刃先を押しつけてカットすることで、切断面は裁断機で紙を切るように平らに仕上がる。ガソリンタンク下のハーネスを結束バンドで束ねて端部処理をいい加減に済ませると、次にメンテで手を突っ込んだ時に切り残しで怪我をすることがある。そんな危険性をニッパ1本で回避できる。


切断部はロック部分とツライチで、指先や手の平を滑らせてもまったく引っかからない。切り残しがあると軍手がほつれたりニトリルグローブや破れるので、プラスチックニッパできれいに仕上げるメリットは怪我の防止だけにとどまらない。

そんな時に重宝するのが樹脂素材専用のプラスチックニッパです。このニッパは表刃がフラットで切断面が平らに仕上がります。プラモデル経験のあるライダーなら分かると思いますが、ランナーからパーツを切り離す際にヤスリで仕上げる必要がないほど、鋭利にスパッと切断できるのが大きな特徴です。

結束バンドの余り部分を切断する際にプラスチックニッパを使うと、切断部とバンドのロック部分がツライチになり、手で触れても怪我をする危険性はありません。強力ニッパでもロック部分に突き当てて切断すれば切り残しはかなり小さくなりますが、トゲのように残った部分に腕を擦ると痛い目に遭うこともあります。

一度でもプラスチックニッパで結束バンドを切断すると、仕上がりの良さと安全性に誰もが納得するはずですが、針金などの金属に誤って使うとあっけなく刃こぼれすることもあります。それは工具メーカーも注意事項としてアピールしていますので、用途を守ることが重要でしょう。強力ニッパとプラスチックニッパの2本を手元に置いて作業するのは面倒かも知れませんが、それぞれを使い分けることで仕上がりも良くなります。

画像で紹介しているニッパは、刃先の先端部分に表刃がフラットなプラスチックニッパ、根元部分は表刃がある強力ニッパを配置した製品です。これなら一石二鳥で配線の長さを調整しながら、ハーネスを固定する結束バンドを美しく安全に切断することができます。狭い部分で配線やステンレス製のワイヤーロックを切ろうとすると刃の根元まで届かず、結局は強力ニッパも必要になるという場合もありますが、そこで薄い刃先でカットしようとすると刃こぼれを起こすリスクがあるので適材適所で正しく使い分けましょう。

ニッパなんて1本で何でも切れなきゃ面倒くさい、という意見もあるかもしれませんが、斧や包丁やカッターナイフもそれぞれ使い分けることで最善の結果が得られることは誰もが納得できるはず。端部をきれいに処理できる上に怪我のリスクも低減できるプラスチックニッパは、結束バンドをセットで使うことをオススメしたい工具です。

POINT

  • ポイント1・プラスチックニッパは強力ニッパに比べてデリケートな取り扱いが必要だが、表刃はフラットで切り残しが出ず結束バンドの切断部分で怪我をするリスクが低くなる
コメント一覧
  1. 山田太郎 より:

    結束バンドを切断する時、2~3mm残してライターで炙ります。抜け止めにもなるし、角が丸くなって安全です。

  2. だんご より:

    奥まった場所には向きませんが、
    ラウンドタイプの爪切りがおすすめです。

  3. クランクベイター より:

    最近バイクによく使われるようになってきた結束バンドは立ち上がり型ではなく水平にバンドを閉めるタイプがあります。
    使用箇所によってはそっちの方が良いです。
    狭い箇所の結束バンド切断には専用のニッパもあるのでそっちも使い勝手がイイです。

  4. 匿名 より:

    模型では馴染みないかな
    大柄なニッパーだし

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