愛車のシートに両手を載せて、地面に向けてグイッと押し込むことで、リアサスペンションの動きの様子を確認することができる。その時に、沈み込みが渋いとか、戻りの反発が遅いなどなど、様々な印象を持つことがある。前後サスペンションの動きが悪いと、コーナリング中の挙動が悪いうんぬんではなく、直線路ですらまっすくに走れないこともある。ここでは、リアのモノサスペンション周り「当たり前のメンテナンス」を実践してみよう。

リアショックの作動性が悪いときには………



雨天走行後の汚れや泥汚れで作動性が著しく低下してしまうことがあるリアシックユニット。高性能なスペシャルパーツへ交換する前に、単純な分解洗浄&磨きによって本来持つべき性能に回復できることもある。特に、ダンパーロッドへの直接的なケア=ケミカル塗布は、高い効果を得られるケースが多い。

定期的に分解メンテナンスしよう!!

ツインショックでもモノショックでも、特に重要なのは「横方向から締め付ける各種ボルト」のトルク管理である。ナットが緩まないように強く締め付け過ぎると、いわゆる「オーバートルク」で本来の作動性を悪くしてしまうケースもある。フロントもリアも、サスペンション関連の締め付け時には、しっかりとトルク管理したいものだ。

各摺動部分のグリスアップで様変わりする





サビが噛みこんで抜けなかったり、潤滑不良で回転摺動部が部分的に摩耗してしまうなど、スイングアームのピボッドシャフトやリンクシャフトを抜き取ると、そんな現象を目の当たりにすることが多い。まずは不織布シートなどでサビ取りを行い、摩耗が激しいときには新品部品へ交換。まだ使えそうなときには、摩耗箇所を180度回転させて位置をずらして組み込むのが良い。もちろん適材適所でグリスをしっかり塗布しよう。

意外と動きが悪いのがブッシュ類





通勤バイクとして2年も走り込んでしまえば、ショックユニット周り、リンクユニット周りともグリス切れは必至。こうなってしまうと二字曲線的に摺動抵抗が増えてしまう。こうなる前に分解洗浄&グリスアップは必要不可欠。サビを除去したらシャフトを各部へ復元し、すり合わせ確認しながらグリスを塗布しよう。こんな状況で走りっぱなしの通勤快足車は多い。

グリスは理想的に使い分けよう



完全なグリス切れでサビとカジリが決定的だったリンクシャフト。あまりに酷いので今回は新品シャフトに交換。ブッシュ側はそのままだが、受け側の摩耗がひどく新品シャフトでもガタがある場合は、この際、ブッシュも打ちかえ直そう。ベアリング軸受けではなくブッシュ軸受けの場合は、二硫化モリブデングリスでカジリを防止したいものだ。

肝心要は「締め付けトルク」の管理






各シャフトを差し込みナットを締め付けるが、この際にはハンドツールでシャフトを回り止めしながら、ナットをトルクレンチで規定値に締め付ける。強く締め付けすぎると作動性が低下してしまうため、トルク管理が重要なのだ。旧車であろうが新車であろうが、締め付けトルク管理が重要なことに変わりはない。

POINT

  • ポイント1・ リアサスの動きが悪いのはショックユニットだけの問題ではない
  • ポイント2・ 適材適所でケミカル=グリスは使い分けよう
  • ポイント3・ 復元時は「締め付け毎に作動確認」しよう

リアショックの動きがどうも良くない………。リアサスがヘタったから「新品サスに交換したい」とか「高性能リアショックに交換しよう!!」といったお話はよく聞くことができる。
メーカー純正リアショックと比べてスペシャルメイドの高性能リアショックが良く動くのは当たり前だ。
コスト度外視の思想で開発されたリアショックが、ノーマル部品以上に良く動くのは当然である。しかし、部品交換の前にやるべきことはたくさんある。
まずは、ノーマルのリアショック「クリーニング」だ。コンプリート状態で磨くだけではなく、分解後に各部を磨くことで、本来の作動性を取り戻すこともある。分解したらダンパーオイルが抜けていて、スコンスコン状態になっていることに気が付くこともある。単純にリアショックボディを分解して、ダンパー本体とスプリングやリテーナーをバラバラにしてみよう。各部品をしっかり磨くだけでもかなり違うが、さらに「ダンパーロッド表面にラバーグリスを塗布」して、ロッドを何度か出し入れしながら作動確認することで、組み立て復元後には、様変わりしたショックユニットの作動性に驚いてしまうことが多い。単純なクリーニングとグリス塗布だけで、リアショックの作動性が様変わりするのだから面白い!!それがメンテナンスでもある。

ショックユニット本体だけではなく、モノショックならリンクユニット周辺摺動部も洗浄&グリスアップしてみよう。このリンク部分の摺動抵抗が減ることで、リアサスペンションのトータル性能が良くなる!!というよりも、本来の作動性を取り戻すことができるのだ。ツインショックの場合は、スイングアームピボットシャフトとベアリングやブッシュの摺動抵抗を減らすようにグリスアップ。摺動部が真っ黒に汚れているときには、パーツクリーナーで汚れを洗い流し、しっかり拭き取ってから新しいグリスを塗布しよう。グリスを守るダストシールがある場合は、そのコンディションも確認し、必要に応じて新品部品に交換することも大切だ。モノショックでもツインショックでも、ショックユニット上下は摺動するので、焼き付けゴムダンパー以外は、摺動個所にグリスを塗布するのが鉄則だ。

グリスも使い分けたいものだ。シャフト×ベアリングのような箇所にはマルチパーパスな高性能グリスを塗布し、ブッシュ×シャフトのような箇所には、二硫化モリブデングリスを塗布するのが良い。また、ダストシール周辺の摺動部へは、ラバーグリス=シリコン系グリスを利用するのが良いだろう。適材適所でグリスを使い分けることで、衝動抵抗に対してより一層適切な潤滑作用を示してくれるのだ。

すべてのパーツを洗浄し、作動確認と同時にグリスアップを施したら(摺動摩耗を発見したら新品部品へ交換しよう) 組み立て復元だが、そのときにはトルクレンチを利用し、しっかりトルク管理しながら作動確認しよう。一気に復元するのではなく、ボルトを締め付けたら作動確認。また締め付けたら作動確認………というように、ひとつの作業毎に作動確認することで、不具合に気が付くこともある。特に、スイングアームピボットやリンクブッシュ周辺は、トルク管理が重要な部分なので、トルクレンチを必ず使って組み立て復元するように心掛けよう。

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