
クラッチレバーの操作性が重いのは、ライダーにとっては疲労度が増すものであって、良いことなどひとつもない。操作性が重くなる要因は様々で、単純に部品交換するだけですべてが改善される保証もない。ここでは、部品交換の前に「やるべきこと」を再確認してみるのも良い。
注油前の「汚れ落とし」は常識!?
クラッチレバーホルダー組み付け部分の作動性低下で、クラッチ操作が重くなってしまうことが実は多い。本来なら分解して、すべてをクリーンナップしてからグリスアップし、締め付けトルクを管理するのがベストだが、バラさずにメンテナンスすることでも確実な効果をえることができる。その際にはウエスでレバーホルダー部分をおさえてパーツクリーナーを吹き付け、レバーを作動させながら汚れを洗い流す。その後、パーツクリーナーが乾燥したら(エアーガンがあると便利)、スプレーグリスを塗布することで良好な作動性を維持することができる。
クラッチケーブルもまずは洗浄から開始
クラッチケーブルに注油する際にも、まずはケーブル内の汚れをパーツクリーナーで洗浄しよう。今では当たり前になったケーブルインジェクターを利用したい。ケーブルインジェクターにパーツクリーナーのノズルをセットして噴射。うまく噴射できないときにはケーブルインジェクター全体にウエスを巻いて握って噴射するのが良い。
エアーブロー後に注油しよう
ケーブルインジェクターのノズル差し込み部分にエアーガン先端を押し当ててエアーブロー。洗浄のときからケーブルの出口側にウエスを巻いておこう。汚れたグリスが溶けて吹き出すからだ。エアーブロー後にスプレーグリスやケーブルグリスを十分に吹き付けよう。
ドライブチェーンもまずは洗浄から
しっかり洗浄するとこを想定して、汚れが飛び散らないようにタイヤ側を古新聞や段ボールなどで養生してからパーツクリーナーで洗浄。この際には、ドライブチェーン専用のブラシを使うと作業性が良くなる。また、洗浄時、グリス塗布時はチェーンが温まっていると洗浄性や潤滑浸透性が一気に高まる!! 久しぶりにエンジン始動するようなケースでは、スパークプラグ穴からスプレーオイルを噴射することで初期馴染みや作動性が良くなり、カジリを防止することもできる。
- ポイント1・ 動きが渋いクラッチレバーは、ケーブル注油だけではなく、各作動部分の洗浄から始めよう
- ポイント2・ パーツクリーナーで洗浄したら、しっかり乾燥もしくはエアーブローしてからグリス給油しよう
- ポイント3・ ドライブチェーンの洗浄時もグリスアップ時も、ドニイブチェーンが温間時に作業しよう
金属同士が擦れ合うことで様々な仕事をしているのがエンジンパーツである。代表的な例としては、ピストンやピストンリングとシリンダー間に発生する摩擦である。4サイクルエンジンならば、カムシャフトとロッカーアームやタペットの摺動面にも摩擦熱が発生する。エンジンパワーを路面に伝えるトランスミッションでは、ギヤ同士の噛み合い時に極めて高い圧力と摩擦力が発生している。
これら金属同士の擦れによって発生するのが「摩擦熱」であり、稼動中のエンジンが高温になる理由は、吸入された混合気が爆発燃焼することで発生した爆発熱だけではなく、実は、様々な場所で発生する摩擦熱によっても大きく影響しているのである。エンジン内部に発生した熱を冷却するのと同時に、様々なパーツの動きをよりスムーズに「潤滑」しているのがエンジンオイルの役割だ。擦れ合っているように見えるエンジンパーツではあるが、実は、パーツとパーツのあいだには微小なクリアランスや凸凹面が存在する。そんなクリアランス=すき間や凹部分を埋めるように、エンジンオイルが油膜を形成し、潤滑性能を維持しているのだ。
潤滑の必要性はエンジンに限ったことではない。車体の各部にも金属摺動部分は数多くあり、そんな部分への処方によって、驚きの潤滑性能を発揮することもある。クラッチワイヤーは動けば良いというものではなく、極端な例では「新品部品」の段階から潤滑性に気を配ることで、その後のコンディションには大きな違いが出ることもある。また、クラッチワイヤーへ定期的に注油する際にも、単純にオイルを注すのではなく、まずはケーブル内の汚れをパーツクリーナーで洗い流し、さらに洗浄したパーツクリーナーを吹き飛ばすためにエアーブローを実施、そこまでの段取りを済ませてから始めて「オイル注油」や専用グリスを「吹きこむ」ことで、潤滑性の維持がより良くなることも知っておこう。
また、金属同士の摺動や摩擦が激しい部分にドライブチェーンがあるが、このチェーンのメンテナンスも同様に、しっかり段取りしてからグリスアップすることで、その効果はより一層高いものになる。
具体的には、ドライブチェーン汚れの洗浄から始めよう。カチカチに固着した汚れをケミカルのちからで「溶解」することで、古くなったチェーングリースによる汚れを確実に落とすことができる。またこの際には、作業前に試運転で数キロ以上走り、ドライブチェーン自体をしっかり温めることで、油が溶解しやすく=汚れが落ちやすくなることも忘れてはいけない。汚れを落したらチェーンルーブを全体的に少量吹きつけて、もう一度、試運転に出掛けてみると良い。試運転から戻ったら、ドライブチェーンが冷えないうちにチェーンルーブをしっかり全体的に吹き付けて、ブッシュ内部まで浸透するのを待とう。その後、再度試運転に出掛け、リムやタイヤ側面に飛び散ったチェーンルーブをパーツクリーナーとウエスで拭き取り作業完了だ。
冷えたままのドライブチェーンにグリスアップしても、上っ面にグリスを塗布しただけになってしまうケースが多いため、グリスアップの際には、直前に試運転へ出掛け「チェーン本体を温めて」から作業すると効果的なグリスアップが可能になる。次の機会にはチャレンジしてみよう。
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