旧車ムーブメントが定着したことで、週末の街中では70年代以前のスポークホイールモデルを数多く見かけるようになった。それと同時に、スポークを張り替えることで、ぴかぴかに輝く美しい旧車も増えている。一方、70年代後半以降に普及したキャストホイールモデルの場合は、コンディションが悪くなると丸塗りされてしまうケースが多いようだが、「ノーマル回帰派」ならば、新車時のような美しさに蘇らせたい……などと、考えることもあるはず!?ここでは、キャストホイールの再生技術とハブベアリング交換に注目してみよう。

「3次元バレル研磨機」の実力!!




数多くのバイクショップやコンストラクターに注目されている、キャストホイール再生の最終兵器!! カーベックが開発販売する高機能3次元バレル研磨機。設備システムの販売はもちろんホイール仕上げやアルミリム仕上げ、エンジンカバー類の仕上げも請け負っている。そのムラが無い仕上がりは素晴らしい!!ホイール本体はもちろん、ブレーキハブやスプロケットのカップリング研磨まで1台の機械で対応できる。腐食でボロボロのホイールだったが、もはや新品以上の仕上がりに変貌!!研磨後のガンコートペイントで純正調に仕上げることができた。

転がり抵抗の要部品を交換





日本製のNSKベアリングを組み込んだ。純正部品ではなくベアリングを直接購入した。時代を物語るかのようにアクスルシャフトが細い。前輪は原付と同じΦ12mm。でも、寸法的には初代900ニンジャと同じ!!これも驚きだ。

スムーズ圧入を目指そう



バレル研磨後にホイール関連パーツを組み込む際には、キレイになったからと言って、そのまま作業進行してはダメ。組み込み部品はスムーズに組み込むように心掛けよう。ベアリングを打ち込む際には、ホイールやカップリングの圧入部分とベアリング外輪の滑りを良くするためにグリスを薄く塗布しよう。ホイールベアリングはプレスで圧入。作業時は斜めに入らないように要注意。ディスタンスカラー側面が磨耗していると、ベアリングを新品に交換したところですぐにガタがすぐ出てしまう。組み込み時にはディスタンスカラーの摩耗もしっかり点検しよう。

ドラムブレーキならではのメンテナンス





ブレーキパネルを復元するときにはブレーキカムの摺動部分をしっかり磨いて汚れを除去し、その後、高性能グリスを適量塗布して復元しよう。スーパーゾイルグリスを使用した。メーカーによってはオイルフェルトを利用することでシール効果と同時に給油対策している例が多いが、このモデルはOリングでシールしていた。相手がゴム部品や樹脂部品の場合はラバーグリスを塗布するのが正解。ブレーキカム端面にはマイナス溝のようなマークが入っていたので、この刻線を参考にブレーキカムレバーを復元した。ブレーキシューは減っていたが、今回はクリーニングだけ行い復元。ピボット側とカム面には必ずパッドグリスもしくはテフロングリスを薄く適量塗布しよう。ブレーキシューの組み込み復元は、腕力で行なうのが一般的。コツをつかむと簡単だ。スプリングをセットして片側シューを押し付けながら反対側シューをグイッと広げながらセットする。ちなみにメーターギヤは非分解部品でショートパーツの設定が無かった。今回は、洗い油にしばらく浸してからブラッシングで洗浄し、パーツクリーナーで洗い流した。その後、エアーブローしてグリスを塗布し、オイルスプレーで潤滑性を向上させた。

POINT

  • ポイント1・「3次元バレル研磨機」を導入したプロショップでキャストホイールはリフレッシュ依頼できる
  • ポイント2・ ベアリング圧入前には圧入摺動部分にグリスを塗布しよう
  • ポイント3・ ベアリング分解時にディスタンスカラーの端面摩耗を確認しよう(ベアリングにガタがあったときには要注意!!)

ネットオークションでポチッと購入してしまったスズキRG250E購入当初は、油汚れを落として外装パーツを磨いた程度で走らせようと考えていた。しかし、車両を引き取りに行くと「年式にしては程度が良い」という言葉の解釈には大きな隔たりがあった。人それぞれで、バイクの「見た目=査定」に違いがあって当然だろう。外装パーツのキズや凹は承知していたが、インナーチューブのサビサビは完全にアウト!! 摺動部分もサビサビだった。「これぐらいなら大丈夫ですから、走れますよ……」と言われても、それを鵜呑みにするにはサビシイ状況での車両引き取りだった。そんなこんなで、すぐには乗り出すことができず、また、手を付けることすらができずに時間だけが経過。タイミングが良いときに「何とかしよう」なんて考えていたら、気が付いた時には、3年も経過……。

バイクを美しく見せる(魅せる)方法として知られているのが、足周り部品の磨き込みとリフレッシュである。原付モデルから絶版車まで、スポークホイール車はスポークの輝き方ひとつでバイクに対する印象は大きく変わるし、スポークを張り換えることで、その輝き方は別物へと変化する。キャストホイール車の場合は、アルミ地肌部に特有の輝きがあるか無いか? 長期屋外放置でペイントが剥がれ、腐食部が真っ白になって表面へ出ていないか? 丸塗りのペイントホイールでも、汚れやカビで超ょ~汚らしく見えてしまうケースも多々ある。そうなってしまうと、旧ペイントを剥がしてリペイントするしか回復方法は無い。

星型キャストホイールは決して酷いコンディションでは無かったが、アルミ地肌には輝きが無く、磨き込みは必要だった。せっかくなので、ここでは愛知県のカーベックが取り扱う高機能ウエットバレル研磨機で磨き込み依頼して、純正新品ホイールのような仕上がりを目指してみることにした。早速、ホイールからベアリングやその他パーツを分解してホイールを単体にしてから荷造りし、カーベックさんへ宅配発送……。

仕上がってきたホイールの美しさは惚れ惚れするほどだ!! 今回は、ノーマル仕上げと同じ塗り分けでガンコートブラック(サテンブラック)仕上げにしたが、まさに純正部品のような仕上がりになった。カーベックが取り扱う3次元バレル研磨機器を導入しているショップや工房は多いので、地元で作業依頼できるケースもあるはずだ。キャストホイールをポリッシュ&ペイント仕上げにしたい時には、相談してみることをお勧めしたい。

取材協力:カーベック Phone 0562-31-0833

この記事にいいねする

今回紹介した製品はこちら

コメント一覧
  1. John934959Doe より:

    84年3月、新車でSR400赤2H6型車スポークホイール仕様購入するもツーリングでのパンク修理が面倒で購入半年でチューブレスタイヤに切り替える為、キャストホイールに替えて、以降38年間購入時点のほぼ(キャスト換装時にブレーキホースだけステンレスメッシュに)ドノーマル車キャストホイールのまま乗り続けてるので今回の記事は非常に興味深いだけでなく、とても有難い。
    SRも絶版車の仲間入りして、部品もあまり手に入らなくなり、今まで細々とツーリング中に困らない程度に直せるが、部品が無ければ、他メーカー流用してる状態。勿論腕の良いバイク屋が行きつけ先に在ればこそだが。
    ドノーマル車の外観でSR400キャストホイール仕様は非常に珍しいので、部品泥棒に遭わない様に気をつけてと忠告もバイク屋さんや友知人のバイク乗りから良く頂く。
    磨いたら盗まれ易くなるのでは?と磨くコトに躊躇を感じてる今日この頃。

コメントをもっと見る
コメントを残す

今回紹介したブランドはこちら