4ストロークエンジンでは吸排気バルブが閉じてピストンが上死点に達した時に燃焼室内の圧縮が最も高まりますが、何らかの理由で圧縮が漏れると充分な力を発揮できません。圧縮が逃げる理由を大別すれば、吸排気バルブが閉じていないか、ピストンリングの気密性低下の2種類です。エンジンをオーバーホールすれば原因は分かりますが、リークダウンテスターがあれば分解前にある程度の想定ができます。

コンプレッションテスターとシリンダーリークダウンテスターの役割と相違点


リークダウンテスターを使用する際は、フライホイールのT(TOP)マークを頼りにピストンを圧縮上死点に合わせる。ただし上死点には圧縮上死点と排気上死点があり、同じTマークでも排気上死点の時はバルブが開いているので要注意。バルブクリアランス測定や調整の際にも圧縮上死点と排気上死点を間違えないように気をつけよう。

エンジンにとって重要な「良い圧縮」。空気とガソリンがエンジンに吸い込まれても、シリンダー内でしっかり圧縮されなければ、混合気が爆発的に燃焼してもピストンを強く押し下げることができません。

エンジンの「圧縮」には2つの考え方があります。一つは「圧縮比」です。これはピストンボア×ストロークによるシリンダー容積と、燃焼室容積から計算でき、(燃焼室容積+シリンダー容積)÷燃焼室容積=圧縮比となります。シリンダーに吸い込まれた混合気を圧縮する比率が大きければ燃焼時に発生する圧力も大きくなり、市販車では8.5:1~11:1ぐらいの範囲に収まる場合が多いようです。

もうひとつの考え方は「圧縮圧力」です。圧縮比は計算値ですが、圧縮圧力はピストンがストロークする際に燃焼室内に発生する圧力を示します。そして実際のエンジンコンディションやエンジンパフォーマンスを知る上では、圧縮圧力が重要な判断基準となります。

圧縮圧力は機種(エンジン)によって異なります。大まかに判断すれば、圧縮比が低いエンジンは圧縮圧力が低めで、圧縮比が高いエンジンは圧縮圧力も高くなりがちです。

画像で登場しているヤマハSR400 の場合、サービスマニュアルによれば標準値が10.5kg/cm2で下限値は8.5kg/cm2となっています。圧縮圧力はコンプレッションゲージで測定しますが、その数値が8.5kg/cm2を下回る場合、エンジン内部で何らかのトラブルが発生していると考えられます。

圧縮圧力が低い=シリンダーと燃焼室の気密性が保たれていない=混合気が爆発的に燃焼して発生する高い圧力がピストンを押すだけでなくどこかに漏れている、となるからです。混合気はどこに漏れるかと言えば、一般的には「バルブ周り」か「ピストンリング」となります。圧縮圧力はプラグ穴にコンプレッションゲージを取り付けて、スターターモーターやキックペダルでクランクシャフトを回し、ピストンをストロークさせて吸排気バルブを開閉させながら測定します。

圧縮圧力が規定値まで上昇しない場合、原因として考えられるのは燃焼室内の圧力が最も上昇するピストン圧縮上死点で吸排気バルブが完全に閉じていないか、ピストンリングの合い口隙間が広いか、シリンダー壁に押しつける張力が低いかなどです。これらはエンジンを分解してみれば分かります。

しかし、コンプレッションゲージとは別の「シリンダーリークダウンテスター」を活用することで、分解前にエンジンのコンディションや圧縮漏れの原因を想定することができます。そしてリークダウンテスターの測定結果を活用することで、エンジンメンテナンスを効率的に進められる場合もあります。

POINT

  • ポイント1・エンジン内部の状態を測定するテスターには、コンプレッションゲージとリークダウンテスターの2種類がある
  • ポイント2・コンプレッションゲージは圧縮圧力を測定し、リークダウンテスターは圧縮漏れの有無を測定する

圧縮空気の漏れ量で燃焼室内の気密性が測定できるリークダウンテスター


インターネット系の工具ショップサイトでも購入できるリークダウンテスター。2つ並んだゲージの左側のカプラーをエアーコンプレッサーに接続して、右側ゲージの黒いホース先端のアダプターをプラグ穴にねじ込む。ピストンを圧縮上死点にして左側ゲージ下のレギュレーターを徐々に開いて測定圧力のエアーをシリンダーに送り込むと、右側ゲージにリーク率が表示されるという仕組み。


プラグ穴から圧縮空気を注入するため、ピストンが上死点から僅かでも回転していると勢いよく押し下げられてしまう。完全に上死点にすればコンロッドとクランクシャフトが一直線になって突っ張るのでピストンは動かないが、不安ならフライホイールが回らないよう固定した状態で測定を行う。


リークダウンテスターを使用する際の注意点は、テスターにエアーコンプレッサーのホースを接続する際は必ずレギュレーターを閉じておくこと。開いた状態でホースを繋ぐと高圧の空気がいきなり流れてゲージを傷めたりピストンが勢いよく下降する危険性がある。レギュレーターを閉じてエアーホースをつなぎ、ピストンが圧縮上死点にあることを確認してから徐々に圧力を加えていく。/color]


このゲージはコンプレッサーからの供給圧力が30~40psiとなっているので、レギュレーターで調整して右側のリーク率を確認する。右端の0%がリーク率ゼロで、左端の100%は全量漏れていることを示す。バルブが開いていると100%でインテークかエキゾーストから空気音が聞こえて、圧縮上死点ではゲージの針が右に振れて漏れが少なくなる。このゲージでは40%までのリークはLOWと判断するが、オーバーホール直後で吸排気バルブやピストンリングのコンディションが良いエンジンならば10%かそれ以下になることもある。

シリンダーリークダウンテスターは、ピストンを圧縮上死点位置に固定した状態でプラグ穴からエアーコンプレッサーの圧縮空気を注入して、注入量に対する漏れ=リーク割合を測定します。吸排気バルブが完全に閉じていてピストンリングの合い口隙間や張力が充分であれば、注入した空気の漏れ量はゼロか最小限となります。

対して経年劣化やトラブルでバルブがしっかり閉じなかったり、ピストンリングが摩耗すると気密性が低下して、注入した空気の何割かが燃焼室から抜けていきます。リークダウンテスターは、注入した空気に対する漏れ量をリーク率としてゲージに表示します。

リーク率が小さいほど気密性が高いため、コンプレッションゲージで測定する圧縮圧力は高く、リーク率が大きいほど空気の漏れが大きいため、圧縮圧力は低くなります。圧縮圧力とリーク率には因果関係があるので、コンプレッションゲージで圧縮圧力が下限値以下であることが分かれば、リークダウンを測定するまでもなく分解を伴うメンテナンスが必要です。

しかし圧縮圧力が既定値内であっても、リーク率が小さくないこともあります。燃焼で得られる圧力の一部が漏れながらも、圧縮圧力自体は許容範囲にある場合がそれにあたります。コンプレッションゲージだけで判断すればOKでも、リーク率は要注意ならメンテナンスを行った方が良いかも知れません。また単気筒のSRのリーク率はひとつですが、4気筒エンジンの場合はリーク率は4気筒分あるため、各シリンダーごとのバラツキも分かります。

リークダウンテスターがなくてもコンプレッションゲージがあれば、エンジンコンディションやメンテナンスの必要性の有無が分かるのは確かです。しかしリークダウンテスターはエンジンを作動させず静的状態で測定するため、ピストンが圧縮上死点でプラグ穴から入れた圧縮空気がどこに抜けたが分かります。

例えば吸気バルブの当たり面にカーボンが噛み込んでいれば、抜けた空気はインマニからキャブレター側(インジェクションならスロットルボディ側)に流れます。逆に排気バルブが閉じきっていなければ、空気はマフラーに流れます。ピストンリングの合い口隙間が基準より広かったり、リング自体の張力が低下していれば、空気はピストンとシリンダーの隙間を通ってクランクケース内に流れます。

そして空気が流れる時に発生する「音」が、リーク場所を特定する助けになります。

テスター上のリーク率が高い時にエアークリーナーボックスの入り口やマフラーの出口、キャップを外したオイル注入口に耳を近づけて「シューッ」という音が聞こえた場所に気密性低下の原因があると考えられます。

コンプレッションゲージで圧縮圧力が規定値以下でバルブからリークがある場合、バルブシートとバルブフェイスに異物が噛み込むか、経年変化によるシート面の摩耗で当たり面の幅が広がり面圧が下がって気密性が低下していることが考えられますが、一方でバルブシートの摩耗によりバルブが沈み、バルブクリアランスがゼロ近く、またはマイナスになっていることもあり得ます。

もしバルブクリアランスの詰まりすぎが原因なら、適正に調整することでリークが治まるかも知れません。圧縮圧力が規定値より低い場合、慌ててエンジンを分解する前にバルブクリアランス測定を行うのは定石ですが、並行してリークダウンを測定することで原因特定の一助になります。

バイクのエンジンではクランクケースとシリンダーが分割する場合が多く(年式が新しいスーパースポーツ系エンジンではケースとシリンダーが一体ということも多いですが)、エンジン分解時にピストンリングを目視で確認することが容易です。

しかし自動車のエンジンはシリンダーとエンジンブロックが一体で、ピストンやピストンリングを取り外すには、クランクシャフトを外してブロック下部から引き抜くことになり、きわめて大作業になります。このようなエンジンでリークダウンテスターで測定を行い、もしブロック下部へのリークがなければピストンは抜かずに済む可能性もあり、作業範囲の特定に大いに役立ちます。

リークダウンテスターはコンプレッションゲージほど一般的な測定機器ではありませんが、両者をうまく使い分けることで分解前のエンジンコンディションがある程度把握できるようになることを知っておくと良いでしょう。

POINT

  • ポイント1・リークダウンテスターはピストンを圧縮上死点にしてプラグ穴からコンプレッサーのエアーを注入することで気密性を判断する
  • ポイント2・空気が流れる場所を聞き分けることで、問題がある場所を特定できる

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