
エンジンオイルを抜いた時に、真っ黒で「まるで墨汁!?」のようなエンジンオイルが出てくるとがっかりするもの。メンテナンス経験者ならご理解頂けるはずだが、そうは簡単にエンジンオイルは真っ黒にならない。普段からのエンジン内部の汚れが原因で、オイル交換しても、早期にオイルが汚れてしまう例もある。様々な場面で有意義なメンテナンスを実践できるのが「フラッシング」であることを御存じだろうか!?
*タイトル写真の商品パッケージは旧タイプになります*
エンジン暖気後の作業が原則
しばらく走らせていなかったエンジンなので、古いオイルのままエンジン始動し、負荷を掛けないようにアイドリング~低回転エリアでエンジンをしっかり暖機してからオイルの流動性をできるだけ高め、エンジンオイルを排出した。この際にオイルの臭いを嗅いでおこう。暖機運転の前に、エンジンオイルが明らかにヘンな雰囲気だったら、最悪で冷たく古いオイルを抜いてしまおう。これは致し方ないところである。
エンジン内部を効率良く洗浄
エンジン分解せずに、エンジン内部を洗浄=クリーニングすることができるフラッシングゾイルを利用した。昔ながらのフラッシング剤と異なり、高度に精製されたナフテン系やパラフィン系、つまりベースオイルにスーパーゾイル成分を添加した、フラッシングオイルがフラッシングゾイルだ。やり方次第でハイレベルなリフレッシュが可能になる。レベル窓、ディップスティック、いずれのエンジンでも注入下限までフラッシングゾイルを入れて15分程度アイドリングさせる。この作業を何度も繰り返すことでより一層のクリーニング効果を期待できる。走行可能な車両なら、エンジン回転を高めず、負荷を掛けないように(エンジン回転は3~4000rpm以下厳守)、走りながらの内部洗浄も可能。それがフラッシングゾイルの特徴だ。
何度も暖機洗浄後にオイル交換
今回は15分ほどアイドリングさせ、オイルが温まってからは3~4000rpm程度まで高めてみた。こんなエンジン暖機を何度も繰り返すことでフラッシング効果はより一層高めることができる。フラッシング時にクラッチが切れるか、ギヤシフトが正常にできるか点検してみよう。購入したオイルエレメント。GPX250Rはカワサキのミドル系や空冷時代のホンダCBシリーズと共通サイズのようだった。スラッジで汚れていたオイルエレメントケースを脱脂洗浄する機会は多いが、洗浄後にOリングをそのままセットすると滑りにくく切れてしまうことがあるため、新品Oリングにはオイルやラバーグリスを薄く塗布するのが鉄則である。カワサキ車のオイルエレメントにはセパレーター機能となる金属カップが組み込まれるが、洗浄時にカップのエッジで指先を切ってしまわないように要注意。エッジが鋭く手を切りやすい。
エンジンオイルの入れ過ぎ=絶対にダメ!!
水冷エンジン車なので100%化学合成のシンセティックゾイルを利用した。規定オイル量は2リットルに満たないので、まずは1.5リットル入れてエンジン始動し、その後、不足分を追加注入した。アッパーレベル超え=入れ過ぎるとブリーザーからオイルが吹き出してしまうため、絶対に入れ過ぎてはいけない。
- ポイント1・ 旧いオイルをしっかり抜きたい時にはエンジンを暖機運転で温めよう
- ポイント2・ エンジン分解前、オーバーホール前にフラッシングしておくことで、分解後の洗浄作業が楽になる
- ポイント3・ フラッシングオイルを注入する際にはオイル注入規定量の下限で良い
100%化学合成オイルは、低温から高温まで様々な温度域で安定した潤滑性と高い浸透性を持つのが大きな特徴だ。一方、長い歴史を持つ鉱物油にも、特有の特徴や長所がある。ユーザーからすれば「どちらが良いのか?」悩んでしまうところだが、まずは悩む前に愛車のエンジンタイプを理解することが重要だろう。旧車ファンのあいだで語り草となっている話題のひとつに、旧車に化学合成オイルを入れると「オイル漏れや滲みが出やすくなる」といったお話だ。この問題は、化学合成オイルが持つ「高い浸透性」に起因しているようだ。そもそもガスケットやパッキンなどのシール性能が低い旧車系エンジンは、どんなオイルを入れても機種によってはオイル滲みが出やすいもの。そこに浸透性能が高い化学合成オイルを利用すれば、症状が顕著になって当然と言えば当然だ。
また、旧車系エンジンに粘度が低い化学合成オイルを入れたところ「メカニカルノイズが大きくなってしまった」といったお話もある。原因として考えられるのは、各摺動部分の「クリアランス」にある。旧車系エンジンの場合(特に大排気量エンジンで四輪車の場合は尚更)は、現代のエンジンと比べて、各摺動部のクリアランス(例えばピストンクリアランスやタペットクリアランス)が明らかに大きく設計されている。低粘度な化学合成オイルを注入すると、広いクリアランスの狭間で強固な油膜を維持できなくなり、結果としてメカノイズが大きくなってしまうこともあるのだ。そんな状況を踏まえ、旧車系エンジンには、強固な油膜厚で耐衝撃性を高めている鉱物油が良いとされる意見が多いのだろう。
常にエンジンコンディションが良く、継続的に乗り続け、しかも定期的にオイル交換してきた履歴のあるバイクなら、エンジン内部の汚れは大問題にならないはず。しかし、20年近く放置され続け(ガレージ内ではあったが)、オイルレベル窓で残量を覗き見すると、比較的クリアに見える????なぜなのか!?このようなケースは意外とある。実は、汚れ成分が沈殿して、オイルレベルを確認する表層がクリアに見えることがあるのだ。オイル残量を確認できたのでエンジン始動にトライし、しっかりエンジン暖機してからエンジンオイルを抜き取ったら、案の定、クリアだったはずのオイルが真っ黒になって排出された。
ならばと、エンジン内をフラッシングしてみることにした。汚いオイルはもちろん、エンジン内部に残留した湯垢やスラッジを可能な限り排出してから、新しいエンジンオイルに交換するのがベストだろうと考えたのだ。それこそが「フラッシング作業最大の目的」だが、近々、オーバーホールするようなエンジンの場合は、あらかじめフラッシングしておくことで、完全分解後のエンジン内部洗浄が楽になるのも事実である。
そんなときにお勧めできるのがフラッシングゾイルである。注入量はオイルレベルの下限で良い。注入後はしばらくのアイドリングで暖機し、その後は、軽い空吹かしでエンジン内部にフラッシングオイルを巡らせよう。走行可能なら、走りながらフラッシングできるのもフラッシングゾイルの大きな特徴だ。その際には、エンジンに負荷が掛からない4000rpm程度に最高回転を抑えて走行するのが良いだろう。ナフテンやパラフィン系ベースオイルで作られているフラッシングゾイルは、従来のフラッシング剤=有機溶剤系洗浄剤を主体にした商品とはまったく別物。オイルベースの商品であり、洗浄能力を高める様々な添加剤と金属表面を改質する効果を持つスーパーゾイル成分を含有しているのが特徴でもある。走ることができないコンディションなら、数日に渡ってエンジン始動し、エンジン暖機を繰り返すことで、エンジン内部は想像以上にきれいになる結果も得られている。オーバーホール時は分解後に部品洗浄するが、前述したように、そんな際にもある程度部品の汚れが落ちていると、作業性は明らかに良くなるのだ。
フラッシング後はオイルフィルターを交換し、エレメントケース内部の汚れをウエスで拭き取ろう。新品オイルフィルターを復元してドレンプラグを締め付けたら、エンジンオイルを注入しよう。このオイル注入の際には、最初はオイル下限まで注入してエンジン始動。しばらくアイドリングさせてからエンジン停止し、その後、不足分のエンジンオイルを継ぎ足すようなオイル交換手順が正解である。つまり、当初から規定容量を入れずに、継ぎ足しで調整するように心掛けよう。オイル量の測り間違いもあるが、エンジンオイルは上限以上入れると良くないのだ。
エンジンオイルを入れ過ぎるとクランクケース内圧が高まり、ポンピングロスが増え、ブリーザーからオイルを噴出す原因にもなってしまう。逆に、オイルレベル下限以下も良くないが、いつも規定レベル「上限」で走っているライダーなら、一度はレベル下限で走ってみることをお勧めしたい。モデルによっては、想像以上にエンジンが軽く振動が少なく、エンジンが調子良くなったかのような印象に気が付くはずだ。
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「旧車の再始動」は、ホント「十人十色」だよなぁ。
俺の場合は「まず抜く」そして「ホムセンの格安バイク用オイル」を「通常レベルまで入れて始動」し各部チェックに…「何時からあるかわからないモノ」は「抜いてから始め」る方が良いと思う。