
バイクに跨ったとき、走っているときの目線の先にはスピードメーターやタコメーターなどの計器がある。しっかり機能しているし、カウンターも作動しているので走行距離は理解することができる。しかし、メーターレンズのガラス内側に付着した汚れが、どうしても気になってしまった……。そこで分解清掃にチャレンジしてみた。
目次
分解方法を想定して道具を準備
ドライバー類はJIS規格や工具規格に準じた商品が発売されている。それ故に「リム起こしにベストな商品」は無い。不要なドライバーがあればそれを改造して「専用工具」を作ってしまえば良い。金属リムを固定するカシメ部を起こす際には、リムの反発=スプリングバックを極力押さえることでスムーズにカシメ部分は起きてくる。そんなときにあると便利なのが金属製のホースバンドだ。
使わないマイナスドライバーで特殊工具製作
ドライバー先端の角部分でカシメ部分を引っ掛けて起すが、その際は、メーターケースボディー外周を「テコの支点」にするため、ケース側にキズを付けてしまいやすい。ボディ側のテコ部分外周にはテープを巻き付けてキズを予防。先端がつぶれたマイナスドライバーは使い物にならないので、ベルトサンダーで削ってメーターリムを起こしやすい形状へ加工改造した。小さなマイナスドライバーでカシメを僅かに起して小さなきっかけを作り、後々大きめなドライバーに変更してカシムを起こした。
何とか取り外せたレンズ&リム
メーター本体からレンズリム+ラバーパッキン+インナーリム+ガラスレンズを取り外した。インナーリムが付くタイプは、おおむね艶消し黒仕様となっている。すべての道具が手元にあり、段取りが良ければ、ここまでの作業に費やす時間は15~20分程度、かな?
ガラス磨き【その1・汚れ取り】
メーターのガラスレンズ内側が曇っていたり、汚れていたりすると気になるものだが、こんな汚れもレンズリムのカシメを起して分解すればクリーンナップ可能。ガラスレンズ単品はコンパウンドや花咲かGワックスなどで磨くことでキレイになる。リムの内側に入るパッキンゴムで押し付けられる汚れもきれいに落として磨こう。リムとレンズの境界部分に体積した粉塵が詰まっていた。しっかりクリーンナップ。
ガラス磨き【その2・曇り止め】
メガネ用や自動車ガラス用の曇り止めケミカルを利用して、ガラスの内側を特にしっかり磨き込もう。ヘアードライヤーなどで軽く乾燥させてから復元するのが良い。組み立て後、すぐに内側が曇ってしまうような場合は、メーター本体の気密度や内部パーツに原因があることも。
細部にもこだわりを持って
テーパー形状(円錐形状)のインナーリムは、文字盤を見やすくするのと同時に、暗い夜間走行時の照明バルブの光りを反射させる役割も担っている。表面は艶消しブラックで仕上げられている例が多いので、汚れが酷く剥離しているような時にはペーパーで磨いて足付けして、艶消しブラックを吹き付けよう。完全乾燥してから組み立て復元作業に入る。320番のサンドペーパーで磨いたら、艶消し黒のペイントは簡単に剥がれて金属地肌が露出した。
指先が触れたらしっかり拭き取り
組み立て復元の途中にガラスレンズに指先が触れてしまったら、前工程に作業を戻してガラスレンズの脱脂&拭き取りをしっかり行おう。組み込み時にカシメ部分を折り戻すときには、リムをプライヤーで直接的に押し込み潰すのではなく、アルミ板や木の板をリム表の台にして、板ごとプライヤーで挟み、カシメ部分を折り込み戻すのが良い。
- ポイント1・ すべてが作業者の自己責任。失敗が怖いならプロへ依頼しよう
- ポイント2・ コツをつかむと作業が楽しくなるメータークリーニング
- ポイント3・ 組み立て前の磨き込みと「曇り止め」が意外と重要
パイクオーナーなら、目線の先にあるコックピットは気になるものだ。特に、メーターレンズの汚れは、バックミラーの汚れと同じように気になってしまう。レンズ上の汚れは、濡れ雑巾で拭き取った後にマイクロファイバークロスで拭き取ると思う。ところが、いくら磨いても汚れが落ちないどころか、汚れそのものが移動しない……。そぅ、ガラスレンズの内側に汚れやゴミが付着していることがあるのだ。待っていても汚れやゴミが消えることは無い。そんなときは仕方ないので、失敗を覚悟かつ自己責任に於いて、メーターを分解。ガラスレンズ周辺の汚れを磨きで仕上げて、戻通りに復元してみよう。過去にもメーターレンズを分解したことがあったので、ここでは、そんな以前の経験を元に、レンズ分解やリムカシメの「起こし方」などをリポートしよう。
タイトル画像をご覧になればご理解頂けると思うが、指針周りのレンズ中央付近と外周の文字盤カバーには、汚れやゴミが散らばっていた。楕円や逆三角形などなど、変形メーターリムはカシメ起こしが意外と大変だが、丸型リムも決して簡単ではない。これまでの経験では、コツさえつかめば丸型よりも変形リムの方が分解しやすいこともある。丸型の場合は、カシメ全周をほぼ起こさないと、ボディからリムやレンズを取り外すことができない。カシメ部分を起こすのには、先端を加工したマイナスドライバーが使い易い。どんな形状にするかは、人それぞれ意見が異なることもある。重要なのは「ドライバーエッジが面取りしてある」ことだろう。カシメを持ち上げる部分のエッジが鋭いと、その形状に合わせて起こした部分がギザギサ形状に倣ってしまうようだ。
寸法的に丁度良いのがマイナスドライバーの3番と2番サイズ。使わなくなったものがあればベルトサンダーで先端形状を変えながら加工。使いながらさらに追加工することで、2本のドライバー先端は異なった形状になりつつ使い易くなった。アイデアが思い浮かんだときには、さらに形状修正することで使い易さを増すことができる。
カシメ部分のフランジをボディと平行になるまで起こしたら、細長いマイナスドライバーを2本準備して、リムを支点にボディ側を持ち上げるように抜き取る。ガラスレンズは中性洗剤と歯ブラシで汚れを落として水道洗浄が良い。汚れがこびりついているときにはコンパウンドで磨くと良い。仕上げ時にはキレイなウエスでしっかり拭き取り、さらにガラスの汚れ落としや曇り止め成分の入ったクリーナーを利用して磨き込もう。過去には、曇り止めケミカルを使い忘れてしまったレンズと、しっかり使ったレンズのメーター2個を同時にクリーニング&復元したことがあったが、曇り止めケミカルの効果は数日後に証明された。磨き忘れた方は、雨降り後にレンズ内側が白く曇ったのに対し、曇り止めケミカルを使った方は、その後もクリアレンズをキープしていた。メーター自体にも個体差はあるが、そんな事実を目の当たりにすれば「使わない手は無い!!」と思うのが普通だろう。
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