メーターから出っ張っているトリップカウンターノブを壊してしまった、ウエスでメーター周りを拭き取っている最中に、ウエスが引っ掛かってしまい……、などなど、ガッカリした経験があるサンメカは数多いはずだ。このトリップカウンターノブは、脱着可能なケースが多いので「ノブの取り付け方法」を理解して、どのように修復するべきかを考えてみよう。ここでは「完全新作」してみることにした。

ウエスで引っ掛けてバキッ……



バイク磨きしていて、ウエスに部品を引っ掛けてしまうことがあるが、今回は、クラッチワイヤーをレバーホルダーから取り外した拍子に、ワイヤーエンドがノブにバチッとムチ打ち!!し、パキッと乾いた音とともにポロリと落ちてしまった……。あ~あっ、仕方ないのでメーター本体を外して、内部からノブの破片を取り出してみた。

他メーカーモデル用でも流用できた



日本精機製メーターなので、多分、同じではないか!?と手持ちのFZR400R用スピードメーターからノブを外して取り付けてみた。すると、ネジサイズはまったく同じで、問題なく取り付けることができ、機能もした。ただし、軸が細くゴムシール部分がガバガバだった。

ネジ山サイズを確認してみると……

FZR400R用メーターのトリップカウンターノブの取り付けネジの太さとピッチを確認すると、何と左ネジ(逆ネジ)で太さはΦ2.6mm。ピッチが0.45mmだとわかった。そんなタップがあるものなのかと調べたら、売ってました!!

ジュラコン素材から削り出し製作



ガレージに在庫があった黒ジュラコン(POMと呼ばれる樹脂素材)のΦ20mm棒から削り出し製作してみた。ナイロン樹脂のようなジュラコンは、切削性に優れていて、加工性がとても良い。旋盤を利用し、高速回転で削ると見た目も美しく仕上がるようだ。

滑り止めのローレット加工も追加



指先でつまんでノブを回してトリップカウンターをリセットするので、指先に引っ掛かりやすいように「ローレット加工」を施すことにした。細く加工した後にローレット加工するのでは、軸が折れてしまう可能性があるため、素材棒が太いうちにローレット加工を施した。ゴムカバーのダストシール内径を測定すると、Φ6~7mm前後でダストシールの役割を果たすと理解。そこで、新規削り出しの軸径はΦ7mmにしてみた。旋盤があるとこの程度の作業は朝飯前。

軸心にタップを立てて取付完了





カワサキ純正メーターノブの長さに合わせてみたところ、やや長い印象なので、もう少し長さをツメることもできそう!?しかし今回は、とりあえずこれで良しとしてみた。ノブが壊れたら、再び自作にトライしてみようと思う。デザインうんぬんは抜きにして、機能的にはまったく問題なく製作できたトリップカウンターノブ。フライス盤と割り出しインデックスを使えば、純正ノブと同じ形状で削り出すこともできるはずだ。

POINT

  • ポイント1・ 同じメーカー製のメーター本体なら共用部品もある
  • ポイント2・ 部品探しよりも手っ取り早い部品の自作
  • ポイント3・ 割れ方によっては接着修理が可能なケースも

スピードメーターに組み込まれている樹脂製の「トリップカウンターノブ」は折れやすい部品。無造作にパーツストックしていると、となりに置いたパーツに押されてポキッと折れてしまうケースもある。今回、ここで自作することになったトリップメーターノブは、クラッチワイヤーに叩かれてポキッと折れてしまった。仮に、このノブが金属部品で簡単に折れなかったとしたら、今度はメーター側がダメージを受け、修理はもっと大変だったかも知れない……。

トリップカウンターノブの固定方法もいくつかあるが、80年代の日本精機製メーターの場合は(今回の実例)、メーター内部に「逆ネジがスタッドボルト」のように立っていて、そこに樹脂ノブを締め付けてトリップカウンターをリセットする仕組みが多い。ノブの取り外しは、やや引張り気味、もしくは押し込み気味に右回転させることで、ネジが緩んで抜けてくる。70年代以前のメーターは、ノブ内部にビスが締め付けられており、メーター本体に固定するような構造例が多い。

ここでは、割れて使えなくなってしまったしまったトリップノブの自作をリポートするが、材料にはジュラコン樹脂(POM樹脂)を利用した。強度的にはメーカー純正部品より強いと思う。その気になれば、もっと凝った形状にできなくも無いが、敢えてこの形状で良しとした。

この記事にいいねする


コメントを残す