バイクも自動車もLEDヘッドライトが普及していますが、絶版車や旧車ユーザーの中には光量不足に悩む人も少なくないようです。光量低下にはいくつかの原因がありますが、経年劣化したハーネスによってバッテリーからヘッドライトカプラー間で電圧降下が発生している場合には、専用リレーの追加によって改善が期待できます。

バッテリーからヘッドライトカプラーまでの配線が電圧と電流を減衰させる

組み立て時の作業性や効率をアップするため、純正配線途中のカプラーにはいくつもの要素が組み込まれており、このカプラーにヘッドライト用の電源も入っている。消費電力に応じて配線の最適な太さが決まっており、太い配線を使えば電気が効率的に流れるというわけではない。だがスイッチやカプラーの接点が多ければ多いほど、各所では僅かな抵抗が少しずつ蓄積されていく。


イグニッションスイッチを入れてエンジンを始動しない状態でのバッテリー端子電圧は12.46V。コンディションの良いバッテリーをフル充電すれば、電圧は12.8V前後まで上がる。


ところがヘッドライトカプラー部分で測定した電圧は0.76V降下した11.7V。抵抗値を測定しても取り立てて不具合はないが、配線やスイッチ接点によって電圧は低下してしまう。100V用の電工リールでも、長くなるほど電圧が低下する。


配線に電気が流れた時に発生する磁場を電流に変換して表示するクランプテスターを使って、ヘッドライトバルブに流れる電流を測定すると4.23Aとなった。ヘッドライトテスターの有無で相対比較するために電力を計算すると11.7V×4.23A=49Wとなる。

バイクの車検で緊張する2大チェック項目といえば排気音量測定とヘッドライト検査ではないでしょうか。ブレーキテストはタイヤがロックできる効力があればOKですし、スピードメーター検査も事前にスマホのGPSメーターを利用して自車のメーター表示と比較することができます。しかし音量と光量、光軸は車検場のテスターが絶対です。

ヘッドライトの場合、社外品のHIDやLEDバルブが数多くあり、純正ハロゲンバルブと交換するだけで白く明るいヘッドライトになる製品も少なくありません。しかし見た目の明るさとテスター上の光量が必ずしも一致するとは限らず、1万5000カンデラという基準を満たせず不合格となる場合もあります。

ユーザー車検でLEDバルブを装着して検査ラインに入り光量不足で不合格となり、持参したH4バルブで再試験を受けて合格した後で、黄色く薄暗く感じるハロゲンバルブの方が光量が出ていることを訝しんだ経験のあるライダーもいるかもしれません。

社外ヘッドライトバルブの見た目が明るいのに光量が出ていない原因としては、バルブの光点とヘッドライト筐体の反射鏡との位置関係などの理由がありますが、車検付きバイクにとっては大きな問題となります。ヘッドライトの光量は保安基準で定められているので、本来は250cc未満のバイクにも適用されますが、現実問題として車検がないため光量を問われる機会がないだけのことです。

ヘッドライトの光量不足は視認性だけでなく対向車に存在を知らせるための被視認性にも影響を与えます。1998年の道路運送車両法改正によって昼間点灯が義務づけとなり、旧車や絶版車にも常時点灯が浸透し、ヘッドライトの光量問題がよりいっそう身近なものとなりました。

ここでクローズアップされたのが純正配線による電圧、電流降下問題です。カプラーやギボシが抜けたり配線が断線しない限り、スイッチを入れればライトは点灯します。しかしスイッチの接点や端子、かしめ部分の酸化など時間の経過による内部抵抗の増加により、バッテリー端子部分とヘッドライトカプラー部分の電圧に差が生じ、それがヘッドライトの光量を低下させる原因となることがあるのです。

「そんな減衰は大したことないだろう」と思うかも知れませんが、ここで示した例では、バッテリー端子電圧にからカプラー部分までの配線内で0.76Vの電圧が消滅しています。またこの時に配線に流れる電流を測定して計算すると、バルブ本来の定格が55Wなのに49Wにしかならないことが分かりました。そして見た目は決して暗いとは感じられませんでしたが、車検場のテスターで光量不足となってしまいました。

POINT

  • ポイント1・スイッチ各部の接触やカプラー部分での酸化によって純正配線の抵抗が増加するとバッテリーからヘッドライトカプラーに至る過程で電圧降下が生じることがある

カプラーオンで接続できるヘッドライトリレーで電圧降下を解消


デイトナから発売されているヘッドライトリレー。ハイ/ロービームに対応する2個のリレーの近くの赤と黒の配線をバッテリー端子に直結して、配線の反対側のオスとメスのカプラーを純正カプラーとヘッドライトバルブの間に割り込ませる。バッテリーに直結した電気はディマースイッチで切り替わるリレーを通じてダイレクトにヘッドライトバルブに流れる。だがディマースイッチに電気が流れないとリレーの接点が動かないので、イグニッションスイッチがオフの状態でヘッドライトは点灯しない。


これは汎用リレーを使った自作のヘッドライトリレー。構造はデイトナ製と同じで、ライトを点灯させる電気はバッテリー端子から直接バルブにつないでいる。リレーが2個必要なのは、バイク側のディマースイッチを通ることでハイとローの電流が切り替わるため。配線やリレーの容量は大きい方が余裕ができるが、一般的なH4ハロゲンバルブの定格が60/55Wなので、それを上回っていれば過剰に大きくする必要はない。


純正配線で11.70Vまで低下した電圧は12.29Vとなり、電圧降下は明らかに改善された。僅かと言えばわずかかかもしれないが、0.6Vあまりが純正配線内で失われていたことになる。


電圧が上昇した分電流も多く流れ4.23→4.62Aとなった。この結果電力は56Wとなり、ヘッドライトリレーで失われていた7W分の仕事を回収できた。ヘッドライトテスターによる測定では2万カンデラを超えて、1万3000カンデラ台で失格した車検も無事に合格できた。

現在では車検に対応することを謳った交換用LEDヘッドライトバルブが市販化されており、そうした部品を装着することで電圧が減衰した状態でも効率良く明るさを確保できる例もあるようです。しかしその前に、光量不足を根本的に解決するヘッドライトリレーを追加することで電圧降下の解消を図ることができます。

ヘッドライトリレーはバッテリーとヘッドライトバルブに差し込むカプラー部分を直接配線でつなぐため「バッ直」と呼ばれることもあり、その中間にリレーを組み込んでいます。リレーを作動させるための電源として使うのは、車体側の配線(具体的にはハイ/ローを切り替えるディマースイッチ)です。

バイクのイグニッションスイッチを入れると、ディマースイッチのロー側がヘッドライトリレーのロー側リレーに通電して、ヘッドライトバルブにバッテリーからダイレクトに電気が流れます。ディマースイッチをハイに切り替えると、ヘッドライトリレーのハイ側のリレーを通った電気がヘッドライトバルブに流れます。

純正配線ではバッテリーからヘッドライトに電気が流れる過程でいくつもの経由地を経て電圧が降下しますが、ヘッドライトリレーはそうした寄り道をせずバイパスのようにバッテリーとヘッドライトを直結します。

その結果、このバイクの例ではライトカプラー部分の電圧が11.70V→12.29Vとなり、出流は4.23A→4.62Aとなりました。そして計算上のワット数は49W→56Wとなり、車検場のテスターで1万5000カンデラ以上の光量を記録して無事に車検もクリアしました。

ヘッドライトチューニングというと、純正以上のハイワッテージバルブを装着することで明るさをアップするイメージがありますが、ヘッドライトリレーは純正配線によって減衰した性能を取り戻す部品です。最新鋭のLEDバルブも魅力ですが、ハロゲンバルブで現状より光量をアップしたいと思った時には装着してみてはいかがでしょうか。

POINT

  • ポイント1・バッテリーとヘッドライトカプラーを直結するヘッドライトリレーで電圧降下を抑制することでヘッドライト光量のアップが期待できる
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