オートバイにとって大切な「走る、曲がる、止まる」の三要素の中で、もっとも大切なのが「止まる」であるのは言うまでもない。しばらく乗っていなかったバイクや放置されていたバイクを復活させる時には「ブレーキメンテナンス」を必ず実践しよう。ここでは、スーパーカブのフロントブレーキメンテナンスにチャレンジ!!

ブレーキアームを指先で作動確認



ブレーキケーブルを取り外し、前輪をフロントフォークに取り付けたままでブレーキアーム部分を指で作動させてスムーズに動くか否かを確認してみよう。この部分の作動不良もブレーキ操作性に大きく影響する。ブレーキケーブルの作動性も今ひとつだったが、ブレーキカムのリターン(アームの戻り)も決してスムーズではなかった。そんなときには迷わずブレーキを分解して、各部の点検洗浄清掃およびグリスアップを施すのが良い。

メーターギヤ周りも要確認メンテナンス





ブレーキパネルのアクスルセンター付近に取り付けられているメーターギヤを取り外し(スーッと抜ける)、ギヤのコンディション確認とハブ側リテーナー部分(爪部分)が正しく引っ掛かるかギヤ単品で確認してみよう。ハブベアリングの作動状況も指先で確認しよう。ゴロゴロ感があったり硬くて動かなかったりしたらベアリングは交換だ。感覚がわからないときにはアクスルシャフトを差し込み、ホイールを空転させてみるとわかりやすい。メーターギヤは細いマイナスドライバーの先端で回しながらパーツクリーナーで古いグリスを洗い流し、エアブローした後に新しいグリスを塗布する。ギヤ部分だけではなく、ギヤが回転する軸部分にもグリスを押し込もう。また、ドライバー先端でギヤを回したときにギヤ欠けや磨耗が無いかしっかり確認しよう。

ブレーキパネルからシューを外そう



プレーキパネル側のパーツは分解しやすいので、可能な限りバラして、各部の作動性を確認しながら適材適所でグリスアップを施そう。ブレーキシューは折り畳むように手前に引くことで、ブレーキパネルから取り外すことができる。ブレーキシューがパネルに組み立てられている状況を単品で再現し、2本のスプリングの張力が弱かったり伸びていたり、サビや磨耗で折れかかっていないか確認しよう。心配な時には新品スプリングに交換しよう。シューの磨耗具合はどうだろう?シューサイドの残量で確認比較してみよう。

ブレーキカムは抜いて洗浄&グリスアップ





ブレーキアームを取り外してブレーキカムをパネルから引き抜く。この時代のドラムブレーキには、潤滑保持用のオイルフェルトやOリングが入っていないようだ。ドロの侵入でブレーキカムの動きが良くない!!ゴリゴリ感があったのでブレーキカムをパネルから抜き取り、不織布シートで摺動部分をしっかり磨いて洗浄&エアブローしてからグリスアップ。水分に強く極圧性能が良いウレアグリスがベストである。メーターギヤにもグリスアップしよう。

新品ブレーキケーブルに交換

メーカー純正の当時物部品に妙なこだわりを持つマニアも多いが、明らかにダメージがある場合は、純正部品にこだわらず複製の新品部品に交換しよう。

POINT

  • ポイント1・ 「走る・曲がる」よりも大切な要素が「止まる」であることを理解しよう
  • ポイント2・ 作動摺動部分は分解洗浄&グリスアップによって作動性は回復できる。
  • ポイント3・ 再利用部品はコンディションをしっかり確認しよう

ドラムブレーキの「効きが良い、悪い」というのは、ドラムブレーキ本体(ホイールハブ)のコンディションだけではなく、周辺部品も含めたトータルコンディションで判断しなくてはいけない。ブレーキカムの作動不良ひとつで、ブレーキタッチは相当に悪くなるものだ。また、ブレーキシューの引き摺りが発生すると(ブレーキカムの戻りが悪くなるとシューとライニング間に隙間が無くなり引き摺りが発生)、発熱によってフェード状態になり、次にレバーを握り込んだときには「ブレーキが効かない!!」といったパニックになることも多い。

あまり知られていないが、ドラムブレーキが効かない原因のひとつには、ドラム側ライニング面とブレーキシュー表面の摩擦接触部分の「引き摺り」がある。連続的な引き摺りによってシューの表面が焼けてしまい、いざブレーキング時にはシューの食いつきが悪く、ブレーキが効かない状況になってしまうのだ。この引き摺り要因のひとつとして考えられるのが、ブレーキワイヤーのコンディションだ。インナーケーブルのコンディションが悪く、ケーブルの作動性が低下することで、ブレーキアームが戻らず、ブレーキカムが乗り上げたままで、やはりブレーキシュー表面が焼けてしまうことがあるのだ。単純に「新品ワイヤーに交換しただけで、凄く良く効くようになった!!」といったケースは、このブレーキシューの引き摺りに原因があったと考えられる。

過走行車両の場合は、ブレーキドラムの内側=ライニング部分が凸凹に摩耗しているケースが多々ある。新品ブレーキシュー、新品ケーブルに交換しても「ブレーキの効きが今ひとつ……」といった原因がそれだ。ディスクブレーキでもリジッドローターの場合は、ローター研磨で平面再生することができ、ブレーキの効き味やコントロール性が様変わりするが、それと同様に、ドラムブレーキの場合もブレーキハブの内面(内径)を研磨面出しすることで、ブレーキの効きは大きく変化する。そんな作業もエンジン部品の加工と同様に、内燃機加工のプロショップへ依頼することができる。ただしその際には、スポークをバラして、ブレーキハブを単品にしてから作業依頼しなくてはいけない。面倒な作業ではあるが、この加工後は、ドラムプレーキの効き味が大きく変化する。

とはいえ、過走行でライニングが大きく摩耗している状態で研磨すると、ブレーキシューの厚さ範囲内でブレーキ調整できないこともあるので、あまりに摩耗が激しい場合は、ブレーキハブを交換しなくてはいけないケースもある。すべてのドラムブレーキが、研磨再生できるとは限らないことも知っておこう。

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