頭部が平らで横から見るとすり鉢状の先細りになっているのが皿ねじで、バイクではブレーキマスターシリンダーキャップの固定用として使われています。ドライバーで緩める際は回す力より押す力に重点を置くのが基本ですが、それでも何故かナメがちなのがこの皿ビス。十字穴が潰れた時にはセンターポンチの出番です。

ナメた皿ねじの最大の弱点はロッキングプライヤーで掴めないこと


ブレーキマスターシリンダーのリザーバータンクキャップは、皿ねじが使われる代表的な部分だ。ブレーキフルード交換時には、キャップを外した際に塗装を傷めるフルードがこぼれても良いよう、タンクの周囲をウエスなどで養生しておく。その上でドライバーをねじに押しつけるように力を加えながら緩める。


皿ねじに限らずプラスねじを回す際は必ず先端のサイズが合ったドライバーを使うのが鉄則だ。タンクキャップの皿ねじがブレーキフルードで腐食すると十字穴にサビが詰まり、ただでさえカムアウトしやすいドライバーがさらになめやすくなる。貫通ドライバーであれば、十字穴に挿入して1、2回ハンマーで叩いてから回しても良い。

バイクや自動車に使われているねじの頭部にはさまざまな形状がありますが、もっとも多いのは「なべねじ」でしょう。これは部品の表面から頭がポコッと盛り上がっているのが特徴で、頭が出っ張るという点ではボルトと同じような形状になります。

これに対して頭部が平らなのが「皿ねじ」です。なべねじは頭部の裏側が平らですが、皿ねじは裏側がテーパー状になっていて、それに合わせてねじを取り付ける部分もテーパー上に彫り込まれています。

バイクの場合、なべねじに比べて皿ねじを使用する場所は限られますが、皿ねじにはねじの上面と部品の上面がツライチにできる利点があります。皿ねじを使用する代表的な部分として、ブレーキマスターシリンダーのリザーブタンクキャップがありますが、もしあの部分になべねじを使えば、ねじの頭だけが出っ張ってとても違和感があることでしょう。またなべねじの頭が隠れるほどキャップを分厚くしてしまえば、これまたおかしなデザインになってしまいます。ねじの頭を出っ張らせたくない、部品の厚さも抑えたいときに最適なのが皿ねじといえます。

リザーブタンクキャップと並ぶ皿ねじの活躍場所といえば、モンキーやスーパーカブ用としておなじみのホンダ横型エンジンのステーターコイルベースカバーの固定ねじです。ここに使われているねじも、フライホイールとの干渉を避けながらカバー自体を薄く仕上げられる皿ねじを採用しています。

プラスドライバーの先端と十字穴には回転時に互いに離れようとするカムアウトという力が働くため、緩め作業時には「押し7:回し3」とか「押し8:回し2」などと言われるように、なべねじでも皿ねじでも十字穴に対してドライバーを直角に押しつけることに注力しながら回します。それでもサビなどでねじが固着していたり、十字穴の角部がすり減っていると、ドライバーが密着せずなめてしまうこともあります。

このような時にやっかいなのが皿ねじです。なべねじなら出っ張ったねじ頭を直接ロッキングプライヤーなどで掴むことができますが、部品とツライチの皿ねじには文字通りつかみ所がないからです。

POINT

  • ポイント・ねじの頭が平らな皿ねじは十字穴がなめたときになべねじのように頭部を掴んで緩めることができない

センターポンチで打撃力を加えることで徐々に回り始める


ロッキングプライヤーなどで掴めない皿ねじの十字穴がなめた時に重宝するセンターポンチ。ねじに対して立てすぎると回す力が不足し、傾けすぎると表面を削るだけになってしまうので、角度を45度ぐらいにして叩く。


一カ所だけ集中して叩くと十字穴がえぐれてしまうので、場所を変えながら衝撃を加える。尖ったセンターポンチの先端で押しながら回すようなイメージで叩くと良い。

奥の手として、ナメた十字穴をドリルで削り落としてしまう方法があります。うまくいけば皿ねじの「皿」部分だけが切断でき、部品を外した後で露出したねじ部分をプライヤーで回して取り除くことができます。しかし部品の形状やねじの場所によっては、ねじ部分が部品に埋まった状態で皿だけが落ちてしまうこともあるので見極めが重要です。

そうならないよう、手前の段階でトライしたいのがセンターポンチでの押し回しです。先端が尖ったセンターポンチを潰れた十字穴に当てて、緩め方向に傾けつつハンマーで軽く叩きます。こうすることでインパクトドライバーと同様に、打撃力によるショックでねじが緩みやすくなります。

過大な力で叩くと尖った先端がねじに突き刺さり、より激しく潰れてしまうので力加減が重要です。ドライバーが掛からないほど十字穴が丸まってしまった場合はセンターポンチが有効ですが、先端が平らなピンポンチが引っかかるだけの角部が残っている場合は、センターポンチより先にピンポンチを使った方が良いかも知れません。

ドライバーが引っかからないから仕方がないとしても、ポンチを使うことで固着したねじが回りやすくなるのは確かです。本来であれば十字穴がナメる前に、インパクトドライバーで押す力を強く加えてから回せば、ポンチを投入する前にねじが緩んだかも知れません。

ですが現実問題として目の前の皿ねじの十字穴がナメて潰れている時は、無理矢理でもセンターポンチで叩き回して緩めて、抜き取ることが優先されます。穴開け時にドリルの刃が逃げないように位置決めを行う際に使うことが多いセンターポンチですが、場合によってはねじ回しとしても使えることを覚えておけば、いざという時に役立ちます。

POINT

  • ポイント・ドライバーが掛からなくなった十字穴をセンターポンチで叩くことで、皿ねじを緩められる場合がある
コメント一覧
  1. すずき より:

    ワタクシも以前に、ナベねじですが平タガネ様に助けて頂いたことがあります。
    この時は平タガネ様が神に見えましたよ。
    皿ねじも頭をドリルでもいだこともあります。
    メーカーさん、+ねじ使うの止めてくれませんかねぇ。

  2. 匿名 より:

    ポンチもタガネも金属に跡を付けたり傷を入れるのが本来用途。職人レベルなら上手くネジを回しても不思議ではないが、それは例外。素人が手を出したらネジを二度と回らないようにしてしまう可能性の方が高い。ショックドライバーつかうところだろ

  3. トミー より:

    ポンチやタガネは最後の最後です。 ネジ山がぐちゃぐちゃで、どうにもならない時のみ 結局破壊して外すのと変わらん。

    最近こう言う、素人が見て勘違いするようなネット記事?みたいな情報が出回っているが どうしたものかね〜

    私ならヒートガン等で軽く熱を入れてやって ショックドライバーで叩くかな。
    1番最初の画像の状態なら外す事は可能。

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