1970年代の絶版車のリヤフェンダー。光沢クロームメッキは樹脂や塗装より硬い金属だが想像以上に簡単に傷が付くことがある。またメッキ面は平滑なように見えるが、目に見えない極小サイズの穴やクラックが無数に存在し、そこから浸入した水分によってサビが進行する。手入れや保管状況によってサビの程度や進行はまちまちだが、適切な手入れを怠れば多かれ少なかれサビは発生する。
右・クロームメッキを特殊シリコーン被膜でコーティングする「メッキング」(100ml・税込5980円)。
中・クロームメッキの錆を落とす「サビトリキング」の大容量版である「デカキング」(260g・税込2980円)
左・メッキに傷をつけずに汚れやくすみを落とす、超微粒子コンパウンドを配合した「ミガキング」(180ml・税込2780円)
いずれも長年にわたりクロームメッキを施工してきたNAKARAIの知見を生かしてた独自開発のケミカルである。
メッキングとミガキングに付属する「史上最鏡クロス」とサビトリキングに付属する「汚れ拭きクロス」は、使用中に汚れたら洗濯ができない特殊繊維を使用している。そのためどちらのクロスも交換用として単品で販売されている。
汚れ拭きクロスは5枚組みで税込2000円、史上最鏡クロスは1枚税込1000円、5枚組みなら税込4000円だ。
メッキングは新品パーツ状態またはなるべくきれいな状態で施工するのが理想的だ。大量にドボドボと塗布するのではなく、できるだけ薄く塗るのがコツ。目安としては、史上最鏡クロスに1~2滴をたらしたら10×10cm四方を目安に塗り広げる。過剰に塗布すると光沢剤の影響で塗った部分が虹色になるので、乾かないうちに塗り広げること。
塗布後5~10分程度で初期乾燥が始まり、完全硬化まで24時間以内は水分が掛からないようにする。屋外保管の場合は翌日の天気予報までチェックした上で施工しよう。
このバイクはフロントフォークのボトムケースが鉄製でクロームメッキ仕上げなのでメッキングが有効。また機種を問わずフロントフォークのインナーチューブに塗布しても防錆効果がある。インナーチューブの硬質クロームメッキは外装パーツの装飾クロームメッキよりも被膜が厚いが、目に見えないピンホールは存在し点サビの原因になる。インナーチューブに使用する際は油分があると密着しないので、パーツクリーナーで事前に脱脂しておくこと。
ゴミやホコリなどは事前にシャンプー洗車や水拭き洗車を行う。ボトルをよく振って内部を攪拌してから、付属の史上最鏡クロスに適量のミガキングをつけてメッキ面を擦る。コンパウンドといっても粘度は低く手触りはサラサラ。
キメが細かく汚れを絡め取る能力が高い史上最鏡クロスとミガキングの組み合わせで、表面のくすみがなくなりメッキのクリア度が向上する。
耐候性が高く洗車時の汚れ落ちも良くなるので、ミガキング使用後はメッキングを塗布しておくと良い。
クロスで塗布する際は塗れているのかどうか分からない程度でも、メッキングの特殊シリコーンが強力なコーティング被膜となる。
クロームメッキ仕上げのマフラープロテクターの汚れもミガキングで美しくなる。磨き後のメッキングは完全硬化後は200℃まで耐えられる耐熱性があるので、プロテクターなら全面に使用できる。マフラー本体に塗布する際は、エキゾーストパイプ根元から15cm程度は使用しない。
絶版車や旧車のクロームメッキパーツによく見られる点サビ。これらはクロム被膜の奥に浸透した水分によって内部で発生し、噴火のようにクロム被膜を突き破って出てきたもの。そのためサビが取れてもクレーター状の痕跡は残ってしまう。
付属の汚れ拭きクロスにサビトリキングをたっぷりつける。量が少ないと擦り傷がつくことがあるので要注意。
サビ部分を中心に優しく磨いていく。磨き始めはフェルト状のクロスが点サビ部分に引っ掛かる感触があるが、サビトリキングがサビに反応して落ちると滑りが良くなる。この時取れたサビがクロス内に取り込まれるので、クロスは常に新しくきれいな部分を使うことが重要。
サビトリキングで磨いた部分とそれ以外の差は明確。サビの深さや広さによって効果はまちまちだが、サビトリキングで磨くことで確実に点サビは落ちていく。サビトリキングに防錆作用はないので、サビを落としてしっかり拭き取ったらこれ以上のサビの進行を防止するためメッキングを塗布しておく。
スポークホイールのクロームメッキリムに生じた点サビの例。
地面に近いホイールリムは、屋外保管車では錆が発生しやすい部分となる。雨の後はリムに付着した水分を拭き取るだけでもサビ予防になる。錆びてしまった場合はクロスにたっぷりつけたサビトリキングで優しく磨く。
粒度の粗い金属磨きで擦るとメッキ表面に傷が付いてしまうことがあるが、NAKARAIが開発したサビトリキングはクロームメッキに使用する前提で設計されているので、サビは取れたけど傷が付いた……といった失敗はない。
形状が複雑なリムはメッキング塗布に気を遣うが、丁寧に塗布することで足周りのコンディションを維持できる。