エンジンの掛かりが悪い！？ そんな時はスターターモーターやスターターリレーをチェックしよう【画像ギャラリー】

スターターモーターの調子がイマイチの時、まずはバッテリー電圧を確認するのが第一優先。次にスターターモーター本体に手が伸びそうになるが、その前にスターターリレーをチェックする。万が一、リレー内部の接点が摩耗して接触不良を起こしていたら、バッテリーの状態が良くてもスターターモーターに充分な電流が流れない可能性もある。

スターターボタンを押した時にスターターリレーがカチッと鳴らない場合は、リレー自体が破損しているため新品に交換する。カワサキKZ900用の純正部品は販売終了で、社外品のリプロパーツがあるが、形状にこだわらなければ他車種用の純正リレーを流用できる。これはカワサキエストレヤ用として購入した。

バッテリーのプラスターミナルからリレーにつながる赤色配線と、リレーからスターターモーターにつながる黒色配線は、大電流を抵抗なく流せるよう車体の中で最も太い配線を使用している。配線とリレーの接続部もナットで締め付ける丸型端子を使用する。

スターターリレーに直接ハンダづけされた２本が、スターターボタンを押した際に電磁石に電流を流す配線となる。スターターモーターつながる配線に比べて、流れる電流が少ないので細い配線で事足りるのだ。

純正リレーが付いていた場所に、アルミ板を折り曲げたステーを取り付ける。ゴム製のホルダーに板の幅を合わせておき、長さはホルダーに通してから切断位置を決める。

純正リレーと同じ位置に取り付けることで、バッテリーとスターターモーターをつなぐ極太配線の長さを変更しなくても済む。電磁石につなぐ配線の端子は、ギボシ端子から平端子に変更して対応した。

上面２個のボルトを外せば、スターターモーターカバーを取り外すことができる。

エンジンからスターターモーターを取り外す際に干渉するカムチェーンテンショナーを取り外す。この状態で不用意にクランクシャフトを回すとバルブタイミングがずれるので、クランクシャフトには絶対に触れないこと。

スターターモーターマウントボルトを２個を取り外して後部を持ち上げてずらし。ピニオンギヤを引き抜いて傾けると、本体下部にスターターリレーからつながる配線が現れる。ゴムグロメットを外してナットを緩め、配線を取り外す。

油性ペンで前後のカバーと円筒形の本体に合いマークを入れて、前後のカバーをつなぐ長いビスを取り外す。

リヤカバー側にはワッシャーとシムが１枚ずつ組み込まれている。組立時にシャフトに通す順番を間違えないように記録しておく。カーボンブラシの摩耗が進むとカバー内に摩耗粉が溜まるが、とてもきれいな状態だ。

アーマチュアを抜く前に、カーボンブラシをコンミュテーターに押しつけているゼンマイバネの張力を抜いておく。強くひねると曲がり癖が付いたり折れることもあるので、変形は最小限に留めておく。

カーボンブラシ後部を押すゼンマイバネの位置をずらせば、ブラシを後方に引き抜くことができる。ブラシが摩耗するとバネが押す力が低下して、コンミュテーターとの当たりや弱くなって接触不良の原因となるため、使用限度の7mmになったら交換する。このブラシはカワサキ純正部品が購入できる。

フロントカバーを外すと、爪が立ったロックワッシャーと一般的な丸ワッシャー、シムが組み込まれている。

フロントカバー（ピニオンギヤ側）も外して並べたが、交換用部品として購入できるのはリヤカバー側のカーボンブラシのみ。ゼンマイバネもリヤカバーのOリングも販売終了している。リヤカバー側のシムはそもそも部品設定がないので、紛失しないよう注意しよう。

本体内部のホコリや汚れはエアーブローで吹き飛ばしておく。

車種によっては4個のブラシを使用するスターターモーターもあるが、カワサキZ1系のブラシは2個。本体からブラシホルダーを取り外し、ブラシのリード線を留めるビスを外せば、後方に引き抜くことができる。

ブラシの標準値は12～13mmで、実測値で12mmあるので摩耗は僅か。走行距離が多ければ始動回数も比例して多くなるので摩耗が進行する。裏を返せば、新車時のカーボンブラシの摩耗が少なければ、走行距離も少ない証拠となる。

カーボンブラシが接するコンミュテーターには短冊状にセグメント（電極）が並んでおり、隣り合う電極の間には絶縁体が配置されてる。酸化したセグメントの表面はサンドペーパーで磨いて修正する。

セグメントの隙間の絶縁体に堆積しているカーボンブラシの摩耗粉は、カッターナイフの刃やスクレーパーで擦って取り除く。その際に溝を深く掘ったりセグメントを傷つけないように注意する。